生暖かく見守る | 誰かの妄想

生暖かく見守る

相変わらずですな。
http://ianhu.g.hatena.ne.jp/bbs/14
lunakkoさんの発言


爆笑ポイント1
http://ianhu.g.hatena.ne.jp/bbs/11/77
lunakkoさんの発言
「よって、イギリス軍票の価値が無くなったビルマでは日本軍票(ルピー表示)が刷りあがるまで、当面、イギリス軍票:日本軍票:内地円=1:1:1で使用することにした。そもそも、資源の無い日本は、紙で出来た軍票をそんなに刷れない。

いや、あの、当時の日本って、そんなに資源がなかったの?紙幣を刷る紙がないほど?



爆笑ポイント2
「イギリスの占領地ビルマが日本に占領される。
(中略)

(中略)
イギリスが現地通貨(イギリス軍票)の使用禁止を宣言する。」


イギリスはどうやって日本軍占領下のビルマで、現地通貨が使用されるのを禁止するのだろう?

これはlunakkoさんの致命的な勘違いなんですよね。
「そもそも、占領地を占領したら、現地通貨の価値が0になるのですよ?敵国貨幣なのですから。」
という発想も上記の論理に支えられているわけですが。

敵国貨幣が流通している地域を自国が占領した場合、その現地通貨(敵国貨幣)を使用できるかどうか決定できるのは占領軍しかいません。当たり前ですけど。
ビルマの場合、日本軍がビルマを占領した後、それまでビルマで使用されていたビルマルピーが従来どおり使用可能かどうかを決めるのは、日本軍(政府)であって、イギリス軍(政府)ではないんですね。(さらに言えば、通貨の価値を最終的に決めるのは利用者であって政府じゃありません。)
そして、日本軍は基本的に現地通貨であるビルマルピーの使用は禁止しませんでした。したがって現地通貨の価値は、(占領直後に)0にはなりませんでした。


爆笑ポイント3

(軍票を大量発行してもインフレが起こらないロジック)
「軍票を発行したけれども、総流通貨幣量が変化しない場合ですよ。」

これを示す資料は、1943年8月の新聞だけです。
「現在の通貨流通量は戦前通貨流通量と大差なき状態にあるものとして推定せられ、悪性なインフレーションなどの傾向は起っていない。」
しかも、”1943年8月当時”の推定です。21世紀の今日、半世紀にわたる歴史研究の結果として、日本軍票がインフレをおこしたことは明白なわけですが、それよりも”1943年当時の推定”を信じるわけですね。面白いなあ。
この方は、きっとミッドウェイ海戦も日本が勝ったと思ってるんでしょうね。

爆笑ポイント4(これが一番面白い)
lunakkoさんの発言
http://ianhu.g.hatena.ne.jp/bbs/14/19?fromtreemode=1
「(小林英夫は、本を書くにあたり、自分の主張と史実が合わないがため、わざと、指数グラフを使用し、あたかも物価が上がっているように思わせたと、私は推測しました。ご自分で判断してください。)」

日本近代経済史・アジア経済史専攻の大学教授を呼び捨てにした挙句、「わざと」と誹謗までしてますね。
ちなみに「指数グラフ」ではなく「対数グラフ」です。


そもそも物価指数の考え方自体、基準時点に対するある時点の物価の増減を比で表したものです。例えば物価が年間50%増で推移した場合、
基準年:100
第1年:150
第2年:225
第3年:338
第4年:506
第5年:759
第6年:1139
となります。これを通常の軸でみると、基準年から第1年までは50しか増えていないのに、第5年から第6年の間は380も増えており、視覚的に第5年から第6年の方が、基準年から第1年までより悪化しているように見えてしまいます。言うまでもなく物価上昇率は50%で同じなのに、です。これでは物価指数の増減を見る上で適切ではありません(なぜなら基準年の取り方によって、恣意的に視覚的印象を操作できるからです)。

こういった視覚的誤認を避けるため、変化率がごく小さい場合(1~5%程度)を除いて、対数グラフを使うのが基本です。対数グラフを使うと、物価上昇率が一定の場合、傾きが一定になります(つまりグラフ上は直線に見えるわけです)。なんらかの政策や事件により物価が上がったりすると、直線から上にそりあがった曲線になり、逆に物価が下がると下にそった曲線に変わります。対数グラフだとこういう変化が視覚的に読みやすいわけです。


「日本軍政下のアジア」p179のグラフは、ビルマの物価についてほぼ一貫して上昇していることを示してます。日本軍撤退の時期を契機にやや上に沿った曲線を描いているので、日本軍撤退がさらに悪化の原因となったことがわかります(これは当たり前)。問題は日本占領下でほぼ一貫して上昇していること。これほとんど直線です。つまり日本軍・政府はインフレに対して有効な対策を取れなかったことを意味しているわけです。


それはともかく、「あたかも物価が上がっているように思わせた」ではなくて、実際に物価が上がっていたわけです。まあ、「私は推測しました」なので、推測するのは自由ですが・・・。


物価指数推移の表示において対数グラフを使うべき(変化率がごく小さい場合を除いて)だというのは、右派左派、従軍慰安婦高給説賛成派否定派に関係なく一致した意見だと思います。
http://ex20.2ch.net/test/read.cgi/wall/1180512078/
にいるlunakkoさん応援団は違うかもしれませんが。


そう言えば、「ご自分で判断してください」と書いていたので、私の判断を書いておきましょう。


その推測は間違ってますよ。



ちなみに、ラングーンの物価指数推移を四半期単位の物価上昇率で見ると
1943.12   1718
1944.3    2629 53%
1944.6    3635 38%
1944.9    5765 59%
1944.12   8707 51%
1945.3   12700 46% 
1945.6   30629 141%
1945.8  185648 506%
こんな感じ。
誰とは言いませんが「ほら、日本軍撤退後に増えてるじゃない!」とか言い出しそうなので、楽しみに待っていよう。
いずれにせよ、日本軍占領下で3ヶ月ごとに物価が40~50%上昇する(年間上昇率は400%、つまり物価は5倍になってます)と言うのは異常ですな。

ま、lunakkoさんによると、悪性インフレではないらしいですが(新聞記事は1943年8月なので上記の論拠にはなりません)。

えー根拠は示されてませんね。何かなあ。楽しみだなあ。