書評・どこの架空世界だ?これ?
- マンガ日狂組の教室/大和 撫吉
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作者は漫画の読みすぎだと思う・・・。というか漫画にしても、今どきこの設定はどうなの?
まあ、ただの漫画なら、第一話で転校生が校門で地雷を踏んで爆発しても、水をかぶって女になっても、引き出しから青い猫が出てきても、男子の制服を着た女子生徒が薔薇の花嫁争奪に参加しても、別に構わんのだが(どれも古いなあ・・・)。
これで教育問題をわかった気になるバカが素でいそうなので・・・。
マンガ日狂組の教室 (単行本)
今、学校が危ない! 日教組(日本教職員組合)が引き起こしている「教育テロ」の実態がマンガでわかる!!
◇あらすじ
瀬良中学に転校してきた村上宏一は始業式で驚くべき光景を目にする。そこでは、君が代の斉唱を拒否して日の丸を引き裂く過激な教師や生徒たちが学校全体を牛耳っていた。彼らは我が物顔で自虐的な歴史教育、行き過ぎた性教育、ジェンダーフリー思想を子どもたちに押し付けていた。そんな状況を打ち破るべく、新任教師の桜井旭が立ち上がった。彼は校内にはびこる偏向教師たちを次々に論破して、子どもたちを惑わせる諸悪の根源に迫る。果たして、偏向教育の背後に潜む黒幕とは? 子どもも親も知らなかった教育界最大のタブーに、真っ向から斬り込む野心作がついに登場! 教室で起こっている"教育テロ"の実態を暴く!!
◇マンガ本編
◆一限目 荒れる始業式 ----「日の丸・君が代」問題
◆二限目 サヨク教師の「特別平和授業」---- 偏向歴史教育
◆三限目 セックス革命 ---- ジェンダーフリーと性教育
◆四限目 「教育テロ」集団 ---- 日教組の正体
ちなみに、「君が代の”君”は、天皇を指すか、二人称の”あなた”を指すか決まってない。それなのに君が代が国家主義みたいに言うのはおかしい」的な主張をまんがの転校生君はするのだが・・・。
確かに、もともと君が代の元になった歌では、二人称の意味で”君”を使ってます。それは、雁屋哲(ネトウヨの言う「反日漫画家」、捕鯨問題では相当アメリカを叩いてたんだけどなあ・・・。ネトウヨは従米なのか、単に読んでないのか・・・)の「日本人と天皇」でも出てきます。
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ただし、雁屋氏がこのまんがを書いた前後1999年7月に状況が変わります。
国旗国歌法を巡って、当時の総理大臣小渕くんが以下のように発言しています。
平成11年07月28日 参議院 国旗及び国歌に関する特別委員会
○国務大臣(小渕恵三君) 橋本聖子議員にお答え申し上げます。
国旗と国歌を法制化する意義についてお尋ねがございました。
議員御指摘のとおり、日の丸と君が代はともに長い歴史を有するもので、さまざまな国際会議や、議員が出場されたオリンピック大会など国際競技大会でも我が国の国旗と国歌として内外にあまねく認知されてきたものであります。
政府としては、このように日の丸と君が代が、長年の慣行により、それぞれ我が国の国旗・国歌として内外で広く定着していることを踏まえ、二十一世紀を迎えることを一つの契機として、成文法にその根拠を明確に規定することが必要であるとの認識のもとに法制化を行うことといたしたものであります。
君が代の「君」に関する解釈についてお尋ねでありますが、政府といたしましては、日本国憲法下における国歌君が代の「君」は、日本国及び日本国民統合の象徴であり、その地位が主権の存する日本国民の総意に基づく天皇のことを指しており、君が代とは、日本国民の総意に基づき、天皇を日本国及び日本国民統合の象徴とする我が国のことであり、また君が代の歌詞も、そうした我が国の末永い繁栄と平和を祈念したものと解することが適当であると考えております。
もう、日本の内閣総理大臣が、「国歌君が代の「君」は、(中略)天皇のことを指して」いる、と断言しちゃってるわけですな。
特に失言と言うわけでもないらしく、以後も政府委員が以下のように説明してます。
(国会議事録で1999年から2007年まで「君が代 天皇」で検索したけど、特に取り消すような発言は見当たらなかった)
平成11年08月02日 参議院 国旗及び国歌に関する特別委員会
○政府委員(竹島一彦君) 政府といたしまして、まず君が代の「君」につきましては、日本国及び日本国民統合の象徴であり、その地位が主権の存する日本国民の総意に基づく天皇、要するに象徴天皇のことを指しておるというふうに申し上げておりまして、その「君」に関して国民が同時に入るという見解は政府としてはお示しをしておりません。
しかしながら、君が代とはという段になりますと、これは日本国民の総意に基づき天皇を日本国及び日本国民統合の象徴とする我が国のことであると。「代」というのは本来、時代、時間概念でございますけれども、広辞苑にもございますように、これは転じて国をあらわすというふうにも使われておる言葉でございまして、君が代というのは象徴天皇の代ということではなくて、象徴天皇、まさにこれは日本国及び日本国民を象徴されておる、その日本国民から成る日本国、それが君が代である、それで君が代の歌詞全体もそのような日本国、我が国の末長い繁栄を祈念したものである、こういうことになっておりまして、そこまで御説明申し上げると国民主権との関係も何ら矛盾がないというふうに私どもは考えております。
平成11年08月06日 参議院 国旗及び国歌に関する特別委員会
○政府委員(竹島一彦君) 君が代の解釈について戦後いろいろあったのではないかというお尋ねでございますけれども、政府といたしましては、今回、政府見解でお示ししているのと同様でございますけれども、君が代の「君」は、一言で申し上げますと象徴天皇を指す、君が代は我が国のことを意味している、君が代の歌詞の意味は我が国の末永い繁栄と平和を祈念したものであるということについては変化がないと思っております。
というわけで、日本政府の解釈において、君が代の「君」は「天皇」であることは明白です(”君が代”=我が国、という言い訳はありますが)。
まあ、雁屋氏のまんがは、この政府発言の前(記載のある第4章は1999年6月初出)に書かれているもので別におかしくはないのですが、大和氏のまんがは、政府発言から既に8年経っている時点で「今ごろ何言ってんの、こいつ?」という感じですね。
大体、日の丸・君が代について語るんなら、国旗国歌法制定時の国会論議くらいは把握しとくべきと思うんですが・・・。
ま、「日の丸万歳、君が代万歳、俺って愛国者、みんな俺を褒めて」という自己陶酔満載の結論が最初にあるから、そういうことは調べないんだろうね・・・。
これを読んで「日の丸万歳、君が代万歳、俺って愛国者、みんな俺を褒めて」型ネトウヨが量産されるんだろうな・・・。