産経症・危ないことには首を突っ込まなくていい自由 | 誰かの妄想

産経症・危ないことには首を突っ込まなくていい自由

連休前にUPしようと思ってて忘れてた・・・


「危ないことには首を突っ込まなくていい自由」
極めて消極的ではありますが、それだけに最後の自由でもあります。
自らの”正義”に基づいて行動する、というのは立派なことであり(正義の観念には個人差があり、常に万人に評価される行動とはなりえないにしても)、そうすべきである、というのは言うまでもないのですが。
だからと言って、「危ないことには首を突っ込まなくていい自由」を行使した人を責めるのは、ちょっと違うと思います。

何かというと、この話。


【産経抄】
 昨年8月3日の夜、JR北陸線の特急車内で起きた強姦(ごうかん)事件は、日本という国が抱える病巣そのものといえる。若い女性の隣に座った35歳の男が、「逃げたら殺す」などと脅してわいせつ行為を繰り返し、さらに車内のトイレに連れ込み、約30分間にわたって暴行したという。

 ▼トイレに連れて行かれる間、女性は恐怖のあまり声もあげられず、ただ泣いていた。車内に居合わせた乗客は何をしていたのか。男にすごまれて怖かったといっても、車掌に通報する方法はいくらでもあろうに。味をしめた男は、その後も同様の犯行を重ねた。


★「車内に居合わせた乗客」に関しては色々批判がありますね。私個人としては、(強姦犯が全面的に責められるべきであり、被害者の落ち度などあったとしても取るに足らないものであることは当然として)乗客を責めるつもりはありません。特に産経など右派がそんなこというのは論外でしょう。
★3年前のことですが、「14日の外国特派員との会見では家族から謝罪の言葉も聞かれたが、救出された3人も猛省が必要だ。」(2004/4/16読売社説)
「解放された三人は帰国後、各メディアに多く登場することだろうが、こうした責任の自覚としかるべき感謝の表明なしに政治的主張を続ければ、国民の反応は冷ややかなものとなろう。」(2004/4/16産経社説)
「▼誤解を恐れずにいえば、“いわぬこっちゃない”とは、本来、人質になった三人の日本人に対していわねばならぬ言葉だ。イラクでは日本人外 交官も殺害されて治安悪化は深まっていた。外務省は再三、最高危険度の「退避勧告」を行ってきたのである。」(2004/4/10産経コラム)
「3人は事件に巻き込まれたのではなく、自ら危険な地域に飛び込み、今回の事件を招いたのである。自己責任の自覚を欠いた、無謀かつ無責任な行動が、政府や関係諸機関などに、大きな無用の負担をかけている。深刻に反省すべき問題である」(2004/4/13読売社説)
★当時のこのような論調に対し、江川詔子氏は次のように述べてます(参照しているのは4/10と4/13の論調について)。
「「危ない所に行ったのは自分が悪い」という言い方には、私は与しない。そうした考え方は、人が助けを求めているのに、「自分さえよければいい」と見て見ぬふりをする風潮につながる。」(2004/4/13いわゆる「自己責任論」について)
★右派メディアが数年来展開してきたことが、そういう「見て見ぬふり」をする風潮を作ったのではないかな?
★それに、詳しくはないのですが、もし犯罪に巻き込まれて怪我をした場合、生活の保障は誰がするのでしょうか?第一に加害者に請求は出来るでしょうが、自己破産などされた場合、暴力団の仲間などがいた場合、現実的に回収可能なのでしょうか?こういう現実的なバックアップがないのなら(ホントはあるのかも知れませんが周知されていなければ意味がないのであえて書きますが)、それは、”名誉”と”正義感”だけのために、自分と家族の生活を捨てる覚悟を持て、という意味になりませんかね
★乗客を責める、という論調を見ると、”危ないことには首を突っ込まなくていい自由”それすら奪われようとしているようにも感じます。


 ▼「見て見ぬふり」が横行するのは列車内だけではない。いじめや虐待のSOSを発していながら、犠牲になった子供たちは数知れない。北朝鮮の工作員による拉致事件にいたっては、何十年間も、犯罪自体が存在しないことになっていた。


★「見て見ぬふり」・・・安倍が統一協会に祝電を打ったことを産経だけは全国版で報じなかったですね。



 ▼昭和48年に失踪(しっそう)した渡辺秀子さんの2児拉致事件の捜査から、今になって驚くべき事実がわかってきた。拉致には工作船だけでなく、万景峰号や貨物船が使われ、5年前までは積み荷、乗下船者ともにノーチェックだった。

 ▼犯行グループが所属する組織と朝鮮総連とのかかわりも明らかになりつつある。悪質きわまりない犯罪がどうして見過ごされてきたのか。これまで総連を擁護し、献金を受けてきた政治家だって、知らなかったではすまされない。


★ほう、そういえば、こんなニュースもありましたが。
2006/6/6産経記事小泉純一郎首相は6日夜、与謝野馨金融担当相が村上ファンド前代表の村上世彰容疑者から政治献金を受け取っていたことについて「政治資金規正法にのっとってやれば問題はないでしょう」と述べた。官邸で記者団の質問に答えた。


 ▼昨年、日本でも上映された「ユナイテッド93」は、9・11米中枢同時テロの乗っ取り機内を再現していた。乗客が敢然と犯人に立ち向かう姿に、国柄の違いを思い知らされたものだ。「悪」に立ち向かう気概がなければ、いくら法律を整え、ミサイル対策に金をつぎ込んでも、安全保障は絵に描いた餅(もち)にすぎない。


★個人的には「ユナイテッド93」の内容に不審を抱いてますが、特に証拠もないので不審だけですけど。
★強者にコバンザメのようにくっついて、弱者を「悪」とみなしてたたくのは、さぞ気分がいいでしょうな。
★そういえば、産経は、権力者である現与党・安倍やブッシュにべったりですね。


(2007/04/27 05:10)


ま、何と言うか、国家が国民に「「悪」に立ち向かう気概」を求めるにあたって、その代償が”名誉”と”自己満足”だけというのは、成熟した社会とは言えない、と思うわけです。まして日本は60年前に、気概どころか命まで求めた前科がありますし。