タミフルの問題
従軍慰安婦の宿題はちょっとかかりそうなので、お茶を濁してみる。
厚生労働省研究班の横田教授(の研究室)に中外製薬が寄付金。
うーん、6年間で1千万だと年間約200万円程度ですよ。他の製薬会社もこのぐらい出していると思うんだがなあ・・・。
タミフルについて問題なのは、ここだと思う。
http://www.mainichi-msn.co.jp/science/medical/news/20070228k0000m040149000c.html
「 厚労省安全対策課は「専門家の見解からみて、タミフルと異常行動の因果関係は否定的だと判断している」と話す。」
必ずしも間違ってはいないのだが、因果関係を否定するっていうのは実際かなり難しい話。
「同省研究班(班長・横田俊平横浜市大教授=小児科)は06年10月、「タミフルと異常言動との関連は確認できなかったが、さらに調査が必要だ」との報告書をまとめた。」
後に中外製薬からの寄付金で騒がれる横田教授の報告だが、「タミフルと異常言動との関連は確認できなかったが、さらに調査が必要だ」というのは、正確な表現であって、寄付金で手心を加えているような発言ではない。
基本的には、タミフルを服用した患者(服薬群)としなかった患者(比較群)での異常言動の発現率の統計的な有意差を判定した結果であろうけど、実際に差があっても偶然に差が出ない確率は結構ある(この場合、どうだったかわからないが、検定手法としては20%くらいと設定することは珍しくない)。
なので、現時点のデータを見る限り、差があるとはいえないけども、それが偶然検出できないだけなのかどうか、「さらに調査が必要」といっているわけだ。
「 研究班は05~06年に、主に小学生以下のインフルエンザ患者2800人余りを対象に、タミフル服用とおびえ、幻覚、理由なく怒るなど「異常言動」との関連を調べた。
患者の9割がタミフルを服用しており、タミフルを飲んだ後に異常言動が出た率は11.9%。飲む前や全く飲まずに出た率の10.6%より高かったが、統計的には差がない範囲だとされた。」
この後にやるべき調査(記事に書いてないだけでやってるとは思うが)としては、まず年齢別・体重別・男女別での解析であろう。また、ひょっとしたら未知の要因が絡んでいるかもしれない(例えば、おたふくかぜをやったことがあるか否かで異常行動の発現率が異なるとか、ね)。実際、「服用からの経過時間」について今後調べるとのことだし、結果待ちというところでしょうか。
ただ、簡単に「否定的」と言ってしまうのはどうかと思う。
世の中には、「あったという証拠がないんだから、それはなかったんだ」という短絡的思考をする人がかなりいるようだし。
対策として、服薬後一定期間は患者の行動に注意することか、或いは、少なくとも一定年齢以下の患者への投薬には入院など条件付でしか行わない、などは行った方がよかろう。
どうにも予防投与という形で、やたらと適用範囲を広げていること自体が問題な気はする。