上海ワンダーランド | 誰かの妄想

上海ワンダーランド

上海ワンダーランド/林 律雄
¥550
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ビッグコミックで「山口六平太」を描いてる高井研一郎氏の自伝的な漫画。

高井氏は、1937年、佐世保生まれで1歳のときには上海にいたそうです。とすると、第二次上海事変が終了した1937年11月よりちょっと後、という時期か。漫画の舞台は、1941年。当時3歳か4歳出会った高井氏が、1944年に上海を引き揚げ、佐世保で暮らし1945年に終戦を迎えるまでの話である。


書籍商とやっていた父(内山書店とも関係があったらしく、店も上海にあった内山書店と近かったらしい、てことは今の魯迅公園の近くかな)とか、インド人の交通警官、爆弾テロなど、日本占領下の上海の雰囲気ってこんな感じだったのかな、と。

ただ、1941年12月からは太平洋戦争が始まっているのだが、その後もインド人警官いたのかな?よくわからん。

戦時中の話ながら、この人の作品らしく殺伐とした雰囲気がなくて、よい。

さすがに全部記憶ではなく後日親から聞いた話など脚色が入っているだろうが、別の本(ボクの満州―漫画家たちの敗戦体験 )でも、同様の体験談を語っていることから、多くは自分の体験なのだろう。

この上海漫画や体験談から判断すると、高井氏はそれほど苦労してはいない様子。というと、怒られるかも知れないが、実際1944年まで上海にいたことで内地ほどの物資不足に悩まされることもソ連参戦後の引き揚げの混乱にも遭わずに住んでいる。父親も招集されたが、本土決戦用部隊で実際にまともな戦闘には巻き込まれてないだろう。そういう意味で、あくまでも比較的、です。
どちらかというと、上記「ボクの満州」に描いている北見けんいち氏(釣りバカ日誌の人ね)の方が、満州生まれで父親はシベリアに抑留されたり、と大変だったみたい。

この高井氏と北見氏は仲がいいみたいで、そのエピソードも「上海ワンダーランド」の中に短編として収録されいます。