南京事件・20万人しかいないのに30万人殺すことは可能か
南京事件否定論者のいう根拠のうち、よく聞くのが
「当時南京には20万人しかいなかったのに30万人殺せるわけがない」
というのがある。
しかし、否定論者は、南京事件犠牲者数30万人は怪しい、と思っているにも関わらず、当時の南京人口20万人というのは全く疑わない。また、20万人の根拠を伴った主張も非常に少ない。
「ショーコ、ショーコ」という割には、20万人という非常に根拠の薄い数字は、証拠もなく鵜呑みにする。ダブルスタンダードの典型の一つと言えよう。
ところで、1937年6月(南京事件の6ヶ月前)については、人口統計が残っている。
南京城区:853,781人
南京郷区:161,669人
合計:1,015,450人
ざっと100万人である。
この後、8月から日本軍による空爆が始まるが、地上戦自体は12月から始まっている。
避難の必要性を感じるのは、早くとも上海戦が終結する11月ごろと考えるのが自然であろう。
すると、否定論者の説に従うと、ほぼ80万人がわずか1ヶ月の間に逃げ出したことになる。大体、千葉市の全人口が一ヶ月で丸まるいなくなるようなものだ。この方がよほど荒唐無稽ではなかろうか。