産経症・統一協会安倍と靖国参拝
さすがは産経(棒読み)、相変わらず問題のある表現が多い。
「安倍晋三官房長官が今年4月に靖国神社を参拝していたことが分かった。」
そう報道されているが、安倍本人は肯定も否定もしていない。
筆者は、個人として公にならない状況でなら、どんな宗教でも信奉して構わないと思っている。なので、安倍晋三自身が、統一協会の信者だろうが、国家神道の信者だろうが、法輪功だろうが、オウムだろうがそれそのものを非難するつもりはない。ただし、それが公になれば話は別である。公職にある者が特定宗教に対して過度に支援している印象を与えるからだ。
なので、今回の報道自体、情報源を明確にすべきであると考えているし、本人が肯定していないのに、明確な事実であるかのように報じるようなマスコミは最悪であると思う。
とりわけ産経の「閣僚としても当然の行為だ。ことさら自民党総裁選の争点にすべき問題ではない。」などという表現には、吐き気を催す。
争点にすべきでないのなら、報じる必要もないだろう。わざわざ政治問題化しているのは、産経自身である。
また、マスコミが報じる以上それは公人であるからであり、私人として行ったのなら、安部はプライバシーの侵害を訴えるべきだろう。(そもそも誰がリークしたのかも気になるところだが)
「小泉純一郎首相が同じような形で行った靖国参拝をめぐる訴訟で、最高裁は違憲確認を求めた原告の訴えを退けている。安倍氏の靖国参拝も、憲法上の問題は生じない。」
どう曲解すれば、こうなるのか?そもそも最高裁は憲法判断に踏み込んでいない。憲法上の問題はグレーのままだ。
「憲法上の問題は生じない。」などというのは、ミスリードそのものである。
「紳士協定自体、極めて疑わしいもので、日本政府はこれを認めていない。」
これも、疑わしいというのは、産経の判断に過ぎない。
「小泉首相に加え、安倍氏が官房長官として靖国神社を参拝したことは、日本政府が改めて明確に紳士協定の存在を否定したといえる。」
このあたりも、本人が明確に肯定していない事項を基に積み重ねた仮説に過ぎない。産経の言い方を使うなら、「官房長官として靖国神社を参拝したことを安倍は認めていない」となる。
責任者が明言を避け、取り巻きが補足すると言うのは、いかにも日本的だが、ここでも、安倍が自分の責任となりそうなことについて明言を避け、産経のような御用新聞が補足している。これが、安倍から産経に対する明確な指示によるものか、阿吽の呼吸かはわからないが、政治と報道の醜い癒着・連携の実例と言えるだろう。
ところで、共謀罪の案では、目配せでも成立することになっていたが、この場合でも成立出来る要件は整っているのではないか?(最も共謀罪の場合は権力者に適用されることなどないだろうが)
「国内で靖国問題を考えることは必要だが、あえて外交問題化させることで喜ぶのはどの国か。政治家もマスコミももう一度、よく考えるべきだ。」
一番考えるべきなのは、もともと国内問題である靖国問題を、「中国の言いなりになるのか」という論調で外交問題に転嫁してきた産経自身だろう。
(以下、原文)
平成18(2006)年8月5日[土]
■【主張】安倍氏靖国参拝 戦没者への当然の行為だ
安倍晋三官房長官が今年4月に靖国神社を参拝していたことが分かった。安倍氏がふだんから持っている戦没者に対する気持ちを表した、閣僚としても当然の行為だ。ことさら自民党総裁選の争点にすべき問題ではない。
安倍氏が靖国参拝したのは、春の例大祭に先立つ4月15日早朝だ。モーニング姿で「内閣官房長官安倍晋三」と記帳し、玉ぐし料を私費で払い、昇殿参拝した。小泉純一郎首相が同じような形で行った靖国参拝をめぐる訴訟で、最高裁は違憲確認を求めた原告の訴えを退けている。安倍氏の靖国参拝も、憲法上の問題は生じない。
ただ、中国への強いメッセージになったことは間違いない。王毅駐日大使は昨年4月、自民党本部での講演で、昭和60年8月15日の中曽根康弘元首相の公式参拝後、首相、官房長官、外相の3人は参拝しないとの「紳士協定」を日中間で交わした、と述べた。紳士協定自体、極めて疑わしいもので、日本政府はこれを認めていない。
小泉首相に加え、安倍氏が官房長官として靖国神社を参拝したことは、日本政府が改めて明確に紳士協定の存在を否定したといえる。
安倍氏は「戦没者のために手を合わせ、冥福を祈り、尊崇の念を表する気持ちは持ち続けたい」と話す一方で、「この問題が外交、政治問題化している中で、参拝したか、しないか、申し上げるつもりはない。問題をさらに拡大すべきではない」としている。
与党内の反応はさまざまだ。
自民党の武部勤幹事長は「憲法の下で信教の自由があるので、誰が参拝しても問題はない。政治問題化すべきでないとの見方が大勢で、総裁選への影響はない」と強調した。他方、加藤紘一元幹事長は「官房長官は政府を代表する閣僚だ。行ってほしくなかった。安倍氏は東京裁判否定論が根底にあるので、事態は深刻だ」と述べた。
案の定、韓国は「大変遺憾なことだ」(外交通商省)と反発し、中国は「隣人が一番嫌がることを控えめにするのが東洋人の伝統だ」(王毅大使)と皮肉めいた批判をしている。
国内で靖国問題を考えることは必要だが、あえて外交問題化させることで喜ぶのはどの国か。政治家もマスコミももう一度、よく考えるべきだ。