書評・再軍備とナショナリズム | 誰かの妄想
- 憲法改正に関する話題の多い昨今、特に9条をめぐる論争をネット上でも多く見かける。その中でも、9条改正・反中・中国脅威論・押し付け憲法反対・大東亜戦争正当化の右翼さんたちや完全非武装中立・9条原理的護持・自衛隊破棄の左翼さんたちを除くと、「自衛隊の存在は違憲だけど、防衛力は必要」という人が結構いるようです。
- 私自身、そういう意見で、付け加えて「現有自衛隊戦力で防衛力は十分で、違憲状態の解消は将来的には望ましいが、現在の自民党案のように米英並みに海外での戦争参加の可能性を高くする改憲案には反対」という立場です。
- 「違憲だといいながら、自衛隊を認めるなんて矛盾じゃないか!」という人もいますが、この矛盾は私が生まれたときには既にあったんで、言わば現代日本の抱える持病のようなものだと思う。直せるに越したことはないが、直ちに死に至る病というわけでもない。何も急いで劇薬を飲む必要はないだろうということ。
- 大嶽 秀夫
- 再軍備とナショナリズム―戦後日本の防衛観
さて、この本だが上記の矛盾がいかにして生まれたかを戦後政治の流れを通し、また西ドイツの例と比較して述べている。
特に現憲法をアメリカの押し付けだといっている人は、本来改憲後に自衛隊創設にいたるべきだったにもかかわらず、改憲前にアメリカに押し付けられて自衛隊を創設した流れを読んでもらいたい。押し付け軍隊の正当化のために押し付け憲法を変えようという論調がいかに矛盾しているかわかるだろう。

