選挙結果に対する考察
選挙の結果は出てしまったので、今さらどうこう言っても始まりません。
親自民の方が、親民主(というより反自民?)の方を「負け犬」呼ばわりしているのを見かけたりしますが、親自民の方は、「これで日本が良くなる」と思っているはずで、その恩恵は全国民が平等に享受できるはず(階級別に差別的な処遇をするような政策をとらない限り)です。だとすれば、みんな幸せになるはずなので、「負け犬」という呼び方は適当ではありません。こういう状況での「負け犬」呼ばわりは、特定の人たちに対して不利になる政策をこれからとりますよ、ということを暗示していると解釈できます。政権外のただのシンパが言ったところで大して意味はありませんが。
逆に、親民主(反自民?)の方が、「これで日本の終わり」のような言い方で「有権者は見る目がない(注:穏やかな表現に変えてます)」と言っているのも見かけます。これもどうかと思います。(公職選挙法上はどうか知りませんが)「小泉政権が続いたらよくない」という表現・議論は、投票前に行うべきであって、結果が出た後はあきらめるしかありません。
正直なところ、私も「小泉(自民党)政権が続くのはよくないなあ」と思いますが、これは現時点ではあくまでも予測に過ぎません(過去の実績に基づいているとしても)。
自民党政権が続くことを望んだ人たちが、正しかったのか誤っていたのか、はこれからの歴史が判断することで、現時点で決め付けることはできません。
個人的な気分としては親民主の方同様、鬱ですが、これは「自分の意思に反した政権によって生じるであろう損害を許容しなければならない理不尽さ」を感じるためです。民主主義国家にいる以上、ときとして受け入れざるを得ない理不尽ではありますが、どう感じるかは個人の自由としても、他者の判断を非難するのはよろしくないと思います。(鬱な気分の人をあげつらうような人は問題外)
さて、自民と民主ですが、議席数では296対113で、民主党惨敗といえますが、死票の出やすい小選挙区の219対52に対し、比例区では77対61であることから民主党支持層は結構いたようにもみえます。実際のデータからその辺を考えてみたいと思います。
(以下、ネット上での公開情報から自分で集計した数値を元にしていますので間違いがあるかもしれません)
・小選挙区(票数は1万以下を四捨五入)
自民党:219議席、3252万票
民主党:52議席、2480万票
公明党:8議席、98万票
社民党:1議席、100万票
共産党:0議席、494万票
国民新党:2議席、43万票
新党日本:0議席、14万票
無所属(郵政反対):13議席、206万票
無所属:5議席、118万票
・比例(票数は1万以下を四捨五入)
自民党:77議席、2589万票
民主党:61議席、2104万票
公明党:23議席、899万票
社民党:6議席、372万票
共産党:9議席、492万票
国民新党:2議席、118万票
新党日本:1議席、164万票
新党大地:1議席、43万票
上記の結果で特徴的なのは、公明党の得票数で、小選挙区:98万に対し比例:899万という差です。言うまでもなく自民党との選挙協力の産物と考えられます。この結果からは実際の公明党支持層の規模は判断できません。したがって、自民と公明は別々ではなく、自民+公明でひとつと考えた方が適切な気がします。
自民+公明 対 民主という図式で考えると、以下のようになります。
・小選挙区(票数は1万以下を四捨五入)
自民党+公明党:227議席、3350万票
民主党:52議席、2480万票
・比例(票数は1万以下を四捨五入)
自民党+公明党::100議席、3488万票
民主党:61議席、2104万票
こうしてみると、与党を支持した有権者は、約3500万人で、小選挙区・比例区ともに重複していると判定してよさそうです。一方、民主党ですが、小選挙区での票数が若干(380万票)多くなってます。あくまで予測ですが、この380万人は、親民主ではないが反自民で、小選挙区内に指示する政党候補者がいなかったため、民主に投票した人であろうと考えられます。すなわち純粋な民主党支持者は約2100万人程度でしょうか。
これらから、有効投票した有権者内の与党支持者と民主党支持者の比率は、およそ5対3であろうかと判断でき、実際比例の議席比率は、そのとおりになってます。
今回の民主党敗北の理由ですが、大きく二つに分けられると思います。
1つめは、有権者内の支持者を増やせなかったこと。
2つめは、選挙制度を効果的に利用できなかったこと。
まず、政権交代を狙うなら、与党支持者対民主党支持者の比率はせめて5対4くらいにはなってないと、小選挙区を効果的に運用したとしても難しいでしょう。また、支持者数が不利な場合は損害を最小限にするための戦術を用いるべきで、その点でも失敗したように思います。
ただ、実際に政権交代を目指すという攻勢から、議席を維持するための防勢に転じる判断はかなり難しいとは思いますので選挙期間中に現実的に可能だったかは疑問です。もし、攻勢か防勢かの戦略判断をするとしたら、解散が決まった直後しかなかったでしょう。
戦略判断としては、攻勢「議席激増か激減、ただし激減の可能性が高い」、防勢「議席維持、ただし政権は取れない」の2種類あったものの、民主党党首としては、「政権交代を目指す」と公言している以上、防勢をとるという判断はしにくかったと思います。
結局のところ、民主党の議席減はあの状況では避けられない判断の結果とも思えます。民主党がふがいない、と言えば、そうとも言えるが、それよりむしろ、あのような状況を作り出した自民党側の手際が優れていたと評価したほうがよいでしょう(好き嫌いはともかくとして)。