賛否両論だったAI美空ひばり、山下達郎が痛烈NO!!といった件。。。 | SCONEオフィシャルブログ「転がる石には苔は生えない」

 

30年前に亡くなった国民的歌手、美空ひばりさんを

人工知能(AI)で現代によみがえらせた「AI美空ひばり」。

NHKの番組企画で秋元康さんを中心としたプロジェクトが

現代技術のすべてを注ぎ込み、

CGとヤマハのボーカロイド音声合成技術により

まるでひばりさんが生きているかのように

再現された。

しかも紅白歌合戦にも

歌手の一人として出場し、

そのプロジェクトの総決算として

”新曲”「あれから」が歌われた。

 

会場でお年寄りのみなさんがうっすら

涙を浮かべていたのが印象的だった。

 

 

あれから1カ月程が経つ。

 

世間ではこのAI美空ひばりに

様々な意見が寄せられているが。

 

似てる、似てないから始まって、

中にはどうしてもあのCGが受け入れられず

ひばりさんの実写に差し替えてYouTubeにUPするものや、

逆になくなった人に会えたり会話ができるなら

必要な技術だと、大絶賛している方もいた。

 

 

リリー・フランキーさんは。

 

親が親族が亡くなったあと、

仏壇に手を合わせながら

なくなった方と会話をする。

下手すると、

生きている時よりも多く会話している、

それを手助けするものとしてこういった表現は

日強ではないか、と行ったニュアンスのことを

インタビューでおっしゃっていた。

 

たしかにそうだ、

と腑に落ちた。

 

でも。

 

山下達郎さんは

自身のラジオでズバリ、と言われた。

 

 

「冒瀆(ぼうとく)です」

と。

 

これはラジオ中で

リスナーから送られてきたお便りで、

「単刀直入にお聞きします。昨年の紅白、

『AI美空ひばり』についてはどう思われますか?

私は技術としてはありかもしれませんが、

歌番組の出演、CDの発売は絶対に否と考えます。

AI大瀧詠一とかAI山下達郎なんて聴きたくありません」

と感想を求められたことに対しての返答、だった。

 

ああ、

たしかにそうである、

ボクも

AIマイケル・ジャクソンとかAIデヴィッド・ボウイとか

見たくないもの。

ただ、今の技術としてどこまで再現できるか、

は、知りたいが。

 

もちろんこのプロジェクトは

ひばりさんの息子さんの許可を得て進めたものである。

遺族は悪しきと思っていないはず。

それにリリーさんの意見もあるので

一概に冒涜、とは言えない気もする。

 

では

達郎さんが言った

冒涜、とは

何を指すのか。

 

おそらく達郎さんは

こういう技術に対しての否定ではなく、

それらを用いて造られたものが

商品として流通すること

(パッケージCDとして売られたり、

有料でホログラムコンサートを行うこと)

に対して言ったのだと思う。

仮に

達郎さんが亡くなったあと

AI山下達郎が新曲を出し続けて

コンサートを定期的に行ったとしても、

達郎ファンは

喜ばないよ、ということだろう。

それに加えて

美空ひばりという偉大なシンガーに対する

達郎さん自身の尊敬の念、から

ではないのだろうか。

 

もちろん達郎さんは
「冒瀆(ぼうとく)です」と

一言しか言ってないので、

これは推測でしかないのだが。

 

それに

今のCG技術で

人間を100%再現するのは非常に

難しい。

ボクもずっと

CGを作っているのでよく分かるが、

たとえ実際の物と寸分狂わぬ寸法で作ったとしても

CGは絶対実物とイコールにはならない。

むしろ寸法が違っても多少デフォルメしたほうが

似てくるのである。

それはモノマネ芸に近いものがある。

 

ボクは以前

故ロニー・ジェームス・ディオの

ホログラム・ツアーに否定的な意見を言ったことがある。

ホログラムツアーは

映像と歌声は故人のものを流用し

バックの演奏を生で行うライブのことである。

何かねセレモニーで行うのは良いが

これがロニーのライブですよと言わんばかりに

お金をとってやるのはいかがなものかと。。。

 

今回のAI騒動も

感覚的には近い気がする。

 

先日。

 

駅で少年が

この「あれから」を口ずさんでいた。

 

少年はたぶん

ニコ動、ボカロ世代である。

 

美空ひばりを知らない世代が

美空ひばり自身が(現実的に)歌っていない曲を聞いて

つい口ずさむところまで

時代は変わってきたのかと、

ちょっと感慨深いものを感じた。

 

 

 

少し前に。

ビートルズの新曲をAIで作る研究が

話題になった。

AIが作り出した出メロディは確かに

ビートルズぽかったが。。。

多分ボカロでビートルズは歌えないだろう。

ポール本人が歌えばいいのでは、

と思ったのだが

それもなにか違うと思った。

 

 

 

星新一さんの「新作」をAIで作る研究が

進められたり

AIを使って手塚治虫さんの「新作」を作るという

プロジェクトが始まっていたりと

AIが今後、

芸術やクリエイティブに

進出してくるのは確かなことだが、

それらと

人間の作り出すものは

ちゃんと区別してほしいものだと、
強く思った。

 

1クリエーターとして。

 

 

でも。

 

仏壇に手を合わせた時に

亡き父がAIで語りかけてくれたら、

って

思ったことはあります、

正直。

 

 

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