十日町タイムス記者の冨沢さんは、

事前インタビュー告知と、コンサートの模様を

毎年ポケットマネーで演奏をお聴きくださり、

記事として取り上げてくださいます。

今年も大きくご掲載いただいて感激しております。

 

インタビューの内容は、

「本業を持ちながら、何故10回もリサイタルを

続けることができたのですか?」などでした。

 

十日町新聞記者の金澤さんも同様です。

インタビューの内容は

「昨年までのコンサートと

 今年のコンサートで、違っている点は何ですか?」

というご質問などでした。

 

おふたりのご質問にお答えすることをきっかけに

いろいろと考えることができて、

お蔭様で素晴らしい記事に仕上げていただいて

とてもありがたいと感謝しています。

 

十日町市はイタリアのコモ市と姉妹都市提携をし

来年2025年には50周年を迎えます。

市の国際交流員として1年間派遣された

イタリア人のMatteoさんによるイタリア語講座を

数か月間受講し、大変勉強になりました。

また空いた時間にイタリア語の歌詞を朗読し、

録音したデータを送ってくださいました。

画像は受講者から贈られた十日町のロゴ入キャップを被り

朗読してくださっているMatteo先生です。

先日、任期を終えて退任されましたが「ジェット絆大使」

という称号を十日町市から与えられ表彰されました。

 

さて、コンサートが近くなり、

いろいろな方がチケットをお求めくださって嬉しいです。

長年、教員を務められた80代の女性K・Oさんは

初めて昨年のコンサートにお越しくださり

「天から、天使とか福の神を呼び寄せながら

 響き渡っているような、、何て言うか、

 大きな愛に包まれてるような感じで感動しました。

 会場を出る時はすっかり心が温かくなっていました。

 あんな体験は生まれて初めてでした。

 その感動が1年経った今でも褪せていないのです。

 それって、とってもすごいことでしょう?!」

 本当に両手を天に仰ぎながら

 嬉しいお言葉をかけてくださいました^^

 

 いよいよ来週となりました。

 心身ともに平安な状態で当日を迎えられますように。

 

 

 

 

 

 

 

「愛といのちの讃歌

  ~第10回樋口由佳里ソプラノリサイタル~」

 新潟県十日町市の

 「越後妻有文化ホール段十ろう大ホール」にて

 2024年8月21日(水)開場18時、開演18:30

 

 今回で5回目の共演となる

 チェロの懸田貴嗣さんと

 チェンバロの上尾直毅さん、

 3回目の共演となる

 ヴァイオリンの荒木優子さんをお招きし、

 第10回リサイタル記念の演奏をいたします。

 

 バッハ、ヘンデル、スカルラッティ生誕333年

 にあたる2018年のお3人との共演から6年となります。

 

 「あらかじめ演奏曲の内容について

  勉強できれば嬉しいです」と、

 友人からリクエストを頂戴したので

 解説をさせていただきます^^

 

 G.F.ヘンデル作曲「9つのドイツアリア」より

  「かぐわしく咲く優しい花の輝きは」

   Süßer Blumen Ambraflocken HWV204

 ヴァイオリンソロが美しいこの曲は 

 自然の美しさを愛でつつ、

 「この世界を創り上げた方」への

 感謝が綴られていて

 歌ってみたら、深い温かさと

 ヘンデルの偉大さを感じました。

 

 冒頭のヴァイオリンソロは

 高音から下降する音で始まります。

 天上の創造主の元から舞い降りた

 美しく香る花のようです。

 豊かな香りに癒され、

 輝くような美しい花を見た時に

 最も深い感銘を受ける感受性が

 研ぎ澄まされるのは

 もしかすると

 人生の試練の時かもしれません。

  

 「この花が散る頃には

  天に昇ってその栄光を讃えたい」

 の詞の部分ではヴァイオリンが

 低音から上昇する音を奏でます。

  「いのち」には限りがあり儚く

  「美しさ」も移ろいゆく寂しさが

  感じられます。

 

 通奏低音の安定したリズムは、

  心の静寂を支えてくれます。

 絶妙な通奏低音が、

  歌とヴァイオリンの間で効果を発揮します。

 お互いを引き立て合う調和する音に、

  心地よさが見出されます。

 そこにも「この世界を創り上げた方」への

 感謝が生まれます。

 

 そこで、コンサートのオープニングには

 前述の「この世界を創り上げた方」への

 感謝(讃歌)として

 J.S.バッハ作曲のシェメッリ讃美歌集より

 「優しくも愛らしき

    O Jesulein süß BMW493」

 まずは可愛らしいクリスマスキャロル

 (コラール)を演奏し

 光が差しているような

 温かい響きに包まれたいと思います。

 

 「おお、愛しいイエス様、

  優しいイエス様

  父なる神の御旨により

   天からくだって貧しい人となり

  父なる神の怒りを癒し、

   恩顧・慈悲を得る為に

  私どもの罪の償いの代価と

  なられました」

 

 次に、お客様からのアンコールの多い2曲

 イギリスの古い歌

「スカボローフェア Scarborough Fair」と

   少年コーラス”リベラ”(ボーイソプラノ)

 の名唱で知られる

 「彼方の光 Far Away」を

 ソプラノ・チェロ・チェンバロの

 3人で演奏させていただきます。

 

 子供の頃からとても好きだった

 S&Gの「スカボローフェア」は

 今だに「大人な映画~!」と

 ドッキリする映画「卒業」の

 挿入歌として発表されて

 ヒットした曲で知られています。

 (ミセスロビンソンや、

 サウンドオブサイレンスもそうです)

 

 恋人を失うのではと不安でいる

 主人公の心情を

 名曲「4月になれば彼女は」と共に

 効果的に表現していて

 アート・ガーファンクルの

 透明な声が何とも切ないですね。

 

 イギリスの古い曲を

 ボブ・ディランがギター弾き語り演奏し

 それを聴いたポール・サイモンは

 この曲を気に入って

 反戦歌といわれる歌に編曲しました。

 

 「パセリ、セージ、ローズマリー、タイム」

 という歌詞は

 「あの人によろしく伝えておくれ」と

 魔界から囁かれた人間が

 うっかり返事をすると

 魔界に連れていかれてしまうので

 魔除けの言葉としてハーブの名前を

 唱えるのだとのことです。

 

 マザー・グースのように

 悪霊が無理難題を提示する歌詞と

 このハーブの名前のおまじないを

 アート・ガーファンクルが歌うかたわらで、

 「司令官は命令する、人を殺すことを」

 などとポール・サイモンが歌います。

 

 ルネッサンス~バロックのマドリガルや

 宗教曲を含む重唱曲など

 ポリフォニー音楽(各声部が独立した旋律と

 リズムを持ちながら調和を保つ多声様式)

 が好きな私はこの曲に惹かれました。
 

 古く伝わる原曲をア・カペラ

(教会風・無伴奏で歌う)で歌い

 やがて特別な雰囲気を醸し出す

 チェンバロによる絶妙な演奏、

 声とチェロがポリフォニーで

 調和してゆく音をお楽しみください。

 

 村松崇継作曲「彼方の光Far Away」は

 ボーイソプラノ”リベラ”が歌う

 NHKのドラマ「氷壁」の挿入歌で

 その美しさと詩に感動した時から、

 ずっと大切に歌っています。

 

 「私がどこへ行こうとも 

   いつでもあなたは輝いて・・・」

 「私が泣いている時は 

   いつでもあなたは・・・」

 「Venite Spiritu 

   聖霊よ来てください 

   精霊よ来てください」

 

 聖霊とは悪霊の反対で守護霊等、

 恩恵や祝福をイメージしており

 精霊とは亡くなった方、肉体を離れ

 魂だけとなった大切な方です。

 私はこの歌を、両方の想いを込めて

 歌わせていただいています。

 

 もうこの世で

 会うことができなくなった人を想って

 「精霊よ来てください」と心が叫んでも、

 広い宇宙に砕け残響が消えてゆく、

 空虚で寂しい感じの部分を

 「想いと魂が結ばれる」願いの成就

 を感じるように温かく演奏します。

 

 「この美しい曲を聴いていると、

 宇宙空間にふわふわと浮いて

 大気や愛に包まれているような

 状態になる」と感想を頂戴します。

 

 次にJ.Sバッハのヴァイオリンとチェンバロのための

 ソナタ6番BWV1019から

 第3楽章Allegro(チェンバロソロ)

 第4楽章Adagio、第5楽章Allegro

 「チェンバロパートは右手左手とも
 緻密に書き込まれ、その時代の一般的な、

 右手の即興的な和音と左手のバス声部による
 伴奏付きヴァイオリンソナタではなく、

 ヴァイオリンとチェンバロが対等に扱われている」

 何と贅沢なひとときとなることでしょうか。

 

 そして再びG.F.ヘンデル作曲、

 西暦6世紀のミラノ 歌劇「ロデリンダ」

 ロンバルディア王Bertaridoのアリア

 「愛する人はどこへ? Dove Sei?」

 カウンターテナーの素晴らしい演奏

 を拝聴し感銘を受けました。

 

 いのちを狙われている上、

 自分は死んだことになっている為

 愛する妻・女王Rodelindaを想い

 一人しみじみと歌う名曲です。

 少し高い音域に移調して演奏いたします。

 

 「何処にいますか、愛する人よ、

  来て私の魂を慰めてください。

  私は苦痛に押しつぶされ、

  私の過酷な悲しみは

  あなたが傍にいることだけが

  やわらげてくれる」

 

 シンプルで真っ直ぐな愛を

  感じさせるメロディー。

 素直でひたむきに、

  再会への希望を持ち続ける、

 孤独な王様の切なさ、

 一途さが胸キュンです^^

 

 一部ラストはヘンデルオラトリオ

 「時と悟りの勝利」より

 「神に選ばれし天の使者よ 

  Tu del ciel ministro eletto」

 荘厳で天上の音楽をイメージさせる

 とても美しい曲です。

 

 「美や快楽のように

  過ぎ去ってゆくものよりも

  悟り・真実を重んずるべき

  という内容の寓意劇」で

 「美」「快楽」「時」「悟り」が

  対決する中で歌われます。

 

 美しいヴァイオリンソロは

 コレッリが演奏したと伝えられ

 この名曲の素晴らしさを

 さらに特別なものにしています。

 

 このオラトリオには

 「Lasciar chi'o pianga」の元歌もあり

 2017年のコンサートで

 「Lasciar,la spina 」を

 演奏したことがありました。

 すると、上尾さんが

 「このオラトリオに凄く良い曲がある」

 とおっしゃいましたが、

 それは秘密のままとなっていました。

 

 翌年、私が出会い夢中になった曲が

 「Tu del ciel ministro eletto」でしたが

 (2019年のコンサートで

 ヴァイオリンのソロパートは

 懸田さんから美しいチェロで演奏していただき

 ヴァイオリンとは違う素晴らしさがありました)

 

 上尾さんの「この曲、俺、大好きなんだ」

 のお言葉で、答え合わせができた時、

 「次回は奥様のヴァイオリンもご一緒に」と

 心の中で自分に約束をしていました。

 

 低音から高音域に跳躍する音ほか

 歌唱力が求められますが

 「憧れの曲」との出会いは

 自分を成長させてくれています。
 

 第二部オープニングに山田耕筰の名曲

 「からたちの花」

 「赤とんぼ」を演奏予定です。

 日本の名曲は異国の名曲を演奏する中で

 やはり特別な曲として

 皆さまの心に届いてくれています。

 

 耕筰が小学生だった頃、

 おとうさんが亡くなって

 住み込みで働いていた時の

 辛い思い出を北原白秋に語り、

 詩にしてくれたものを

 曲にしたそうです。

 

 耕筰の寂しさ、職場での叱咤、

 空腹の辛さという経験の中に

 たったひとつ嬉しかったできごと・・・

 「からたちのそばで泣いたよ。

   みんなみんな優しかったよ」

 お腹が空き職場近くの家の

 からたちの実をトゲで傷つきつつ

 こっそりもいで、味見をしたら

 酸っぱかったけれど食べ、

 家主のおばさんに見つかってしまい

 叱られると思ったのに、

 それどころか優しくしてくれて

 一層、涙が止まらなくなった。

 「みんなみんな」とは、誰のこと?

 青い針のトゲのある中に咲いた

 「白い花」たちでしょうか。

 

 一方「赤とんぼ」は作詞の三木露風が

 5歳の時に母と生き別れ、

 子守りの姐やから背負って貰って

 見た幼少の頃の情景。

 7歳の時には慕っていた姐やとも

 お別れの時がやってきます。

 歳月が経ち、再び見る夕焼けと赤とんぼが

 深く心に迫ります。

 

 そしてバッハやヘンデルの

 1年後に生れたナポリの作曲家

 N.ポルポラの歌劇「セミラ-ミデ」より

 「私の悲しみを表現することが叶うなら 

   Vorrei ,spiegar L'affanno」

 声楽の指導者としても

 評価の高かったポルポラの、

 愛弟子Caffarelliという

 名カストラートが歌った曲です。

 

 カストラート(去勢された歌手)

 が活躍した頃は

 超絶技巧がふんだんに散りばめられた

 名曲が多く作曲され

 劇場でオペラが上演されると

 大いに盛り上がったようです。

 

 次に、懸田貴嗣さんが

 J.S.BACH 無伴奏チェロ組曲第6番より

 サラバンド(2分の3拍子、荘重な舞曲)

 ガボット(2分の2拍子、軽快な舞曲)を

 ご披露くださいます。

 

 6曲ある無伴奏チェロ組曲のうち6番のみ

 通常の四弦のチェロにE線が加えられた

 五弦のチェロのために作曲されているそうです。

 

 チェリストの聖典的な作品と言われ、

 現代ではバッハの作品の中でも

 特に高く評価されているものののひとつです。

 

 十日町新聞社の記者の方からインタビューを頂戴し、

 無伴奏チェロ組曲のことをお伝えしたところ

 「大学受験の勉強をしながら、高校時代は

  毎日CDを聴いていました。f分の1ゆらぎがある

  とのことで購入したのです。」と感激されました。

 そのお蔭もあってか名門大学に合格されました。

  

 上尾さん、荒木さんのバッハ・ソナタといい、

 懸田さんの無伴奏チェロといい、

 素晴らしい名曲を演奏いただけますことを

 深く感謝しております。とても楽しみです。 

 

 プログラムラスト2曲は、ヘンデルの歌劇

 「エジプトのジュリオ・チェーザレ」より

 クレオパトラのアリアを演奏いたします。

 

 ひとつはクレオパトラが

 不幸のどん底、絶望の中で歌う曲です。

  

  レチタティーヴォ

 「このようにただ一日のうちに

   E pur cosi in un giorno」

  アリア「この胸に息のある限り涙あふれ

   Piangero,la sorte mia」

 

 囚われの身となり、

 愛する人はもう生きてはいないと悟り

 生きる望みを失ったと、涙も出ない状況。

 

 「この胸に息のある限り私は涙を流す」

 ヴァイオリンの美しいオブリガートと

 チェロの深い音が悲しみを引き立てる

 とても美しい曲です。

 

 「でも死んでから後、夜と言わず昼と言わず

  あの暴君に付きまとい

  怨霊を送りつけて脅かしてやりましょう」

 

 途中で激しい感情(呪ってやる)も演奏しますが

 そんなに憎い相手に付きまとうのはイヤですね。

 宇宙がちゃんと仕返しをしてくれるのですから。

 

 暴君に付きまとうのは宇宙の力に任せ

 しっかりバチを与えてもらうことにして(笑)

 誇り高い女性として表現したいと思います。

 

 そしてもうひとつは、クレオパトラが

 この上ない喜びに心を躍らせる曲です。

 

  殺されたと思っていた愛する人が生きていた

  愛する人が囚われの自分を助けてくれた

 

  アリア「嵐の海で難破した小舟は港に着くと

   Da tempeste il legno infranto」

  

  嵐の海で難破した小舟は

  無事に港にたどり着くと

  もう望むものは何もない。 

 

 「神様、私をしあわせにしてください」

 と願う。すると神様は「はいよ~」と

 振り子をひょいとつまんで

 「不幸」の方に引っ張った後、

 パッと手を離すのだそうです。

 振り子は反対側の「幸せ」の方に

 向かっていくのですね。

 この時のクレオパトラはまさに

 絵に描いたように幸せです。

 

 とても歌唱力と体力の必要な曲ですが、

 この曲を歌いたいと思ったのは、

 歌っていると元気が出たからなのです。

 お聴きくださるお客様にも元気が届きますように。

 

 

 

 2024年8月21日水曜日18:30開演です。

 大地の芸術祭開催中の街、きものの街、豊かな自然の

 新潟県十日町市にご旅行方々、是非ともお越しくださいませ。

 

 魚沼コシヒカリ、へぎそば、地酒、オーガニックジュース、

 地ビール、美味しいものもたくさんございます。

 リゾートホテルや温泉もご検索くださいませ^^

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

  

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

Cモンテヴェルディ(1567-1643)作曲のモテット

「喜べ、シオンの娘よ Exulta filia Sion」

これぞバロック音楽の名曲と言われる曲を演奏。

 

「最初の1音で、オープニング曲にかける思いと

コンサートにかける思いを同時に感じました。。。」と

会場のピアニスト様からメッセージを頂戴し

とても嬉しく感激しています。

 

初めて聴いたのは私が師事していた斎藤明生先生や、

米良美一さんの恩師・三宅春恵先生80歳バースデーCDで

つのだたかしさんがキタローネを弾かれていた演奏でした。

 

やはりオープニングに歌われていらして、

80歳とは思えないエネルギーを感じる演奏でした。

そしてこの曲を愛していらっしゃることを感じました。
画像はエンディングの残響が消えていく瞬間です。

 

20年前、参加しDIPLOMAを取得した合宿セミナーで

声楽の波多野睦美先生、牧野正人先生のご指導のもと

つのださん、上薗未佳さんからアンサンブルのお世話になり

つのださんからは「一番難しい曲だ」と

無謀なチャレンジにあきれられましたが

受講生の皆さんから「かっこいい曲!是非諦めないで」と

声をかけていただいたことが励みとなり

この曲を最終日成果発表で何とか歌った想い出があります。

最終日は子供達の元へ少しでも早く帰るため、

発表出演を終えると皆より早く退出しました。

その時、別れを惜しみ温かい挨拶を交わした方たちとは

師弟として、仲間として、今でもお世話になっています。

「勉強しているお母さんが好き」と応援してくれた子供達、

駅のホームから電話をかけた時に聞いた娘の声も忘れません。

お蔭様で20年の成長に感謝しつつ歌わせていただきました。

 

G・F・ヘンデル(1685-1759)作曲の歌劇「アタランタ」

幕開けのアリオーゾ「優しい森よ Care Selve」は、

のどかな田園風景をゆったりしたLargoのテンポで

とても美しいメロディーで表現されます。

懸田さんのチェロと上尾さんのチェンバロの優しい音に

しっかり支えていただける中、

安心して心地良く歌わせていただきしあわせでした。

A.スカルラッティ(1660-1725)作曲の

「すみれ Ruggiadose」歌劇「ピッロとデメートリオ」

シチリア島出身、王女の音楽教師だった作曲者の恋の歌は

歌っていて微笑んでしまうような可愛らしく楽しい歌です。

懸田さんの切れ味の良いチェロが全体を盛り上げ

上尾さんのチェンバロが露に輝き香るすみれにぴったりで

葉陰に隠れる雅なすみれを愛おしく思う気持ちが

沸き上がり心がおどります。

 

上尾さんのチェンバロ独奏は、2曲とも見事な

フランスの作曲家の「鳥」の曲をお贈りくださいました。

 

F. クープラン(1668-1733)

 珠玉の作品と言われるクラヴサン曲集の第3巻より

「恋のうぐいす(小夜鳴鳥)Le Rossignol e amour」

うぐいすも、繰返し同じメロディーを聴くことで、

真似してさえずり歌うことができるようになってゆく。

時折一途に求愛をしているような鳴き声かなと思う

はっとするところもあり、楽しめました。

 

L-C. ダカン(1694-1772)

クラヴサン組曲の中でも有名な曲

かっこう(ロンドー)Le Coucou”(Rondeau)

ひたすら「かっこう」と鳴き続ける臨場感ある演奏。

一度聴いたら忘れられない不思議な魅力のある曲でした。

 

イギリスのH・パーセル(1659-1695)作曲の

「薔薇よりも甘くSweeter Than Roses」は

爽やかなそよ風が心地よい海辺でのくちづけが愛おしく、

身体が凍りついたり、熱く燃え上がったりする様子を

じっくりと歌いあげるひとときこそ愛おしい1曲です。

画像はそのしあわせでたまらないときめきをこめて

「すべては愛そのもの と気が付いた」と歌う瞬間です。

映画「卒業」でサイモン&ガーファンクル編曲演奏が

挿入歌として起用されたことで有名になった

イギリスに古くから伝わる歌「スカボローフェア」を、

この編成用にアレンジして演奏しました。

 

チェンバロの音はこの曲にもとても相性が良いのですが

チェンバロでこの曲を演奏するのは大変なのだそうです。

上尾さんはサイモン&ガーファンクルが好きだそうで

演奏を特別にお引き受けくださいました。

歌と掛け合う懸田さんのしなやかで豊かなチェロが調和し、

このトリオならではの、オリジナルな良さを感じます。

お客様からの反響が大きく、ご好評いただいています。

武満徹(1930-1996)作曲の「翼 Wings」(歌とチェンバロ)

(明るい歌を演奏しているイメージ画像です(笑))

上尾さんが「鳥」の曲を演奏したことや平和への願いもあり

歌わせていただきました。シンプルで希望に満ちた曲です。

自分らしく、真っ直ぐな気持ちで歌わせていただきました。

村松崇継作曲の「彼方の光Far away」

spirituは「聖霊よ」と「精霊よ」の両方の想いで歌っており

「亡くなったあの人を想って聴いています」というお客様も。

 

後半に精霊と魂が結ばれるイメージで演奏している部分で

震えがきてしまうのを何とか越えたいと思いつつ

 

悲しい時に泣けず 嬉しい時にやっと泣く私ですが (笑)

こみあげてくる嗚咽のようなかすかな心臓の震えを感じます。

音楽の力で心を温めていただけているからだと思います。

イタリア・ヴェネツィア出身、A.カルダーラ(1670-1736)

カンタータよりオブリガートチェロ付アリア

「ああ、私の心が苦しみに気を失ってしまうのを感じ 

  Ahime,Sent Il Mio Core」

主になる歌のメロディ-はコントラルト(低声)音域ですが、

繰り返しではオクターブ上の音域の音も組み合わせた 

バリエーションのアドリブで歌い大変勉強になりました。

懸田さんのようにチェロの名手でなければ演奏できない

難易度の高いオブリガートチェロ付アリアを

懸田さんからお薦めいただいて歌わせていただけることを

大変光栄に思いますし、しあわせに思い感謝しております。

師事している先生方から「声に合っている」とのお言葉や

東京在住の音楽家のお客様ほか、色々な方から反響があり

「新潟県十日町市で開催された、

樋口由佳里さんのソプラノ演奏会に行ってきました。

チェンバロの上尾直毅さん、チェロの懸田貴嗣さんの演奏

といい内容がとても素晴らしいものでした。」とSNSで

ご好評を賜ることができました。

山田耕筰 (1886-1965)作曲の「赤とんぼ」

「 先日、90歳の母が 

    ” 今日の空はとってもきれいだよ ”

” 今まで生きてきて、一番きれいな空だ ”と申したのです」

というトークから演奏しました。

 

戦争や災害、異常気象、色々なことがあり

無事に生きていることさえ大変な世の中にあって

90年生きてきた義母の言葉は本当に嬉しいものでした。

 

若くして夫が病死し、家業を支え苦労した義母が

夏の終わりに「祭りが終わると寂しい」とつぶやいた日

義母が心から笑ってくれることが私の願いになりました。

 

それから数十年、初めてリサイタルに来てくれた日から

義母と私は、とうとう心から仲良しになれました。

音楽の力の素晴らしさを知り、歌っていて良かったと

今もずっと、心から感謝しています。

 

「私は嬉しくなって、空を見なくてはと、窓の外を見ました。

 とてもきれいな空でした。」

 

あとは、共演のおふたりの温かい音の中に飛び込んで

山々に囲まれて、美しい夕焼け空に飛んでいる赤とんぼや

恋しい姐や、温かさと寂しさに想いを寄せて

安心しきって伸び伸びと歌うことができました。

 

「本当に夕焼けの情景が目の前にありありと見えた」など

お客様から、嬉しいご感想をたくさん頂戴しました。

そのような世界感を表現してくださった

チェロの懸田さんとチェンバロの上尾さんに感謝しています。

同じく山田耕筰 (1886-1965)作曲の「ペチカ」

プログラムはゆったりした曲が多いので、この曲は

懸田さんが軽快に、しかも味わい深く弾いてくださり、

歯切れ良い紙芝居の物語のように「楽しいペチカ」となり、

チェンバロの音は十日町の「天から舞う美しい雪」となり、

3人の音の調和によって「温もりのペチカ」となりました。

山田耕筰 (1886-1965)作曲の最後は「からたちの花」

毎年欠かさず歌わせていただいているこの歌は

ブログでも「危篤の母に聴いてもらった」で紹介しましたが

亡き実家の母との絆の歌、いろいろな想いのある特別な歌です。

素晴らしい曲であり、難しい曲であり、ずっと勉強の曲です。

ボッケリーニの師ともいわれる

ローマで活躍した作曲家G.B.コスタンツィの作品

「チェロと通奏低音のためのソナタ ヘ長調」

 

懸田さんがレコーディングを控えている曲だったそうで

短い時間でコンパクトながら、可愛い3楽章まであり

冒頭の「春が来た」によく似た親しみのあるメロディーが

チェロで伸びやかに奏でられるなど、終始なごやかでした。

 

「あっという間に終わってしまうので」と楽しいトーク、

2楽章のアレグロならではの腕の見せ所、聴かせ所もあり

3楽章を笑顔で弾き終えると拍手と共に会場が沸きました。

チェンバロ独奏といい聴き応えのある素晴らしい演奏を

お贈りいただき、毎回の楽しみとなっています。

 

ヘンデルの歌劇「リナルド」より

「泣かせてください Lascia ch’io pianga」

ヘンデルがとても好きだったメロディーで有名なアリアです。

 

悲しみのどん底にありながらも誇りを高く持ち続ける女性が

受け入れるしかない現実を突きつけられて、天を仰ぎ、

魂も心も声も透明になって昇って消えてゆく感じで歌いました。

すると、チェロの懸田さんが装飾付で後奏を奏でてくださり

お蔭様で余韻のある演奏になったのではないかと思いました。

プログラム最後の演奏でしたがお蔭様で反響がありました。

アンコールには、まさかこの編成で演奏できるとは

予想もできなかったサルトリ作曲の

「君と旅立とうCon te partiro(タイムトゥセイグッドバイ)」

をチェロのソロ付で演奏しました。

ラストでストールを広げる演出は内心不安でしたが◎。

世界的ヒットソングですので反響も大きかったです。

このあと、村松崇継さん作曲の「いのちの歌」を歌いました。

地元新聞「十日町タイムス」さまがご掲載くださいました。

ロビーを訪れる人を華やかに迎えてくださった

フラワーデザイナー宮澤千田子さんの

丹精込めた素晴らしいお花の作品は、
目に美しさを贈り、私の心を労わり

勇気としあわせのエネルギーを授けていただきました!
心よりありがとうございました。

ステージには「コンサートの雰囲気に合っていて

今年の作品は、地球の平和、人の優しさを感じてもらえば」と

池坊師範の友人・根津雅子さんがお花の作品を丹精こめてくださり、

3人のお仲間と共にお祝いしてくださいました。

花と花が、優しく結ばれ合って、微笑み合っているようです。

人と人が、共に生きている瞬間を慈しみ合っているようです。

心より、ありがとうございます<(_ _)>

息を合わせて生まれた音と音が響き合い、包み合う。

その刹那が愛おしく、さて私はまた精進、精進となりました。

「毎年、ひとつ年を重ねるというハードル」を越えるため^^

「栄養+筋トレ+時々湿布とマッサージ」でがんばってます(笑)