引き続き、学会の内容と感想を載せたいと思います。
今回は、内容が盛りだくさんなので、感想は次回に持ち越したいと思います。
『21世紀日本における家族・地域との協働-第一部-』
今回の日本臨床心理学会の中で最も楽しみにしていた講演のご紹介です。
APA(American Psychological Association:アメリカ心理学会)の会長であり、ロチェスター大学教授のスーザン・マクダニエル博士が来日講演され、「21世紀のヘルスケアにおける心理臨床-米国の現状」について熱くお話しくださいました。
まず初めに、今後APAがチームサイエンスを推進する上で大切なこととして掲げられている“協働的習性”についてご説明くださいました。
協働的習性とは、「チームワークにおける協働は、われわれの中核的価値観を明らかにするだけでなく、人権と公共の福祉の改善をめざすわれわれの統合性、説明責任、そして熱意の現れともなる」とのことでした。
また、精神面の障害が年々増している問題に対しても言及されておられました。
会場では精神的な障害を治療しなかった場合に、別の疾患へも繋がっていく研究結果が挙げられ、その危険性をお話しされました。
そのため大切なととして、『精神面の健康なくして、健康はない!』と展開されておられました。
これからの医療に必要なことは更なるプライマリ・ケアであり、その場面で精神的治療を相互的にしていくことが大切であるにもかかわらず、現代まで根付いた医療文化は根深いため、文化を変えることや、心理的分野がメディカルケアまでを行うことは未だ垣根が高く、その垣根を越えていくためには心理士の“革新と教育”を行うべきだと考えられておられました。
特に文化の変化をするには、チームでのケア、専門家間の協働へのモニターと報酬、実践のリーダーシップを取る人からのサポート、しっかりとした情報技術電子カルテ・健康記録の充実を唱えておられました。
そしてこれからの心理士に求められることとして、
・結果の解釈をする
・プライマリ・ケア医の教育をする
・ケアマネージャーのスーパーバイズする
・行動面の健康に関するコンサルテーションを行う
・患者に対し、健康行動の変化を促す
・行動面の問題に対応する
・チームの機能を高める
と多角的に視野を向けるべきであるとのことでした。
加えて、チーム機能を高めるためには、管理的なリーダーシップの提供、リーダーシップのコーチング、ケアチームの健康的な機能を促進し、他の健康関連の専門家を教育する、なども挙げられると話されておられました。
先生は、健康とはなにか?についても言及しており、その答えは“行為者性”と“親交”のバランスを取ることであるとしておりました。
“行為者性”とは、人が自分の病気やヘルスケアシステムと関わるなかで、自分自身の選択をすることができるという感覚であり、全てが不確実である状況に直面しても積極的に行動する感覚とのことです。
“親交”とは、家族や友人、専門家の共同体によりケアされ、愛され、サポートされているという感覚とのことです。
そして、“行為者性”は自身を守り、主張し、拡大することによって表れるため、生き残ることであり、自身の自由を求め戦うこと。
“親交”は他者と一つである感覚によって表れるため、喜びに満ちて生きることであり、ダンスをし、愛をはぐくみ、友と語ることである。
結果、親交によって行為者性を和らげようとして生き、それに疲れ果てて死んでいくのが適切な方法である、と唱えられました。
また病気についても興味深いお話しでした。
『一つの種として、そして個人として、私たちは病気になる必要があるのかもしれない。私たちが人間として成りうる全てに気づくために、病気が必要なのかもしれない。』
そして、『私たちは、決して治すことができない、究極の死に、私たちの人生をどう適合させるのか?』と、困難な問いを会場に投げかけておられました。
人間は、『私たちのアイデンティティは、認識によってその一部が形作られている…あるいは、他者の誤認識によって。それゆえ、もしもある人や集団に対して、周囲の人々や社会が彼らを封じ込めたり、品位を落としたり、さげずむような見方をするなら、彼らはそこに映された自分自身の姿から現実の害や現実の歪曲の苦悩を経験するだろう』と語られました。
非常に共感でき、心に入り込みやすい内容でした。
今回のご講演に対しての感想は、次回のブログにて載せさせていただきます。