日本心理臨床学会-35回2016年秋季-に参加して① | 予防医学指導士と歩む♪利他主義日の本美人への道~天成る道へ~

予防医学指導士と歩む♪利他主義日の本美人への道~天成る道へ~

日常の美容系やサプリのウソ暴きます。もう絶対騙されない!細胞美男子、細胞美女子へ☆予防医学指導士だから伝えたい、予防医学・未病、代替療法をご紹介!利他の心、自愛の心を備えて天成る道を歩み、健康的で美しい魂の持ち主、『美魂人』を達成しましょう☆

今回から数回に分けて、日本心理臨床学会-第35回秋季大会-(2016年9月4日~7日)での内容と感想をアップさせていただきます。

 

臨床心理の世界ではとても有名な先生方のお話を、どこまでわかりやすくお伝えできるか不安ですが、私自身のメモでもあるのでお許しください。

 

 

初日は、『文化のトラウマとその癒し・世界における心理療法家のアプローチ』に参加しました。

 

 

 第一部の基調講演では、Ann Casement先生が「文化と不死鳥:灰からのよみがえり-文化における世界大戦のトラウマとその回復」とのテーマにてユング派ならではの視点で、戦争によるトラウマから、灰から蘇ったとされる不死鳥を通しての回復について、実例を交えながらお話しくださいました。

 

 

 第二部では3名のシンポジスト、Eva Pattis Zoya先生、Henry Abramovitch先生、Murray Stein先生が順にご登壇されました。その中で最も印象深かった内容は、Henry Abramovitch先生の「文化間紛争の深層に動く兄弟コンプレックス」の中で、『カインとアベル』の例から、きょうだいコンプレックスで起きていることが、社会における争いと繋がっていることや、きょうだい間の関係と健康について、そしてトラウマとどのように対峙するべきかについてでした。

 

 他人よりも似ているということはないとされる“きょうだい間”において、先に生まれたものが(兄や姉)家族内で占める立ち位置を選ぶことができ、次に生まれたものが(弟や妹)対極的なアイデンティティを作ることになるそうです。つまり、先に生まれたものは家族においての立ち位置を自由に決めることができ、次に生まれたものは選ばなかった場所から位置を決める、ということが自然に行われているとのことでした。

 

 これは、地球全体を家族として考えると、国家間でも言えることであり、国々に様々な特色があるというのはそのために発生するのだ、とのことでした。例えば、きょうだい間において片方が攻撃的であると、もう片方は愛他的になり自分自身が恩恵を受けるということは誰かがはく奪されたからであり、それは不公平だという強い罪悪感をもつようになると考えられ、これも同様に国家間でも考えられると説明されていました。

 

 また、きょうだい間で暴力が起きるには3つの条件があり、

①対極的アイデンティティを持っている

②1つのグループがえこひいきされている

③自己のグループが人前で屈辱を受けてはく奪されても沈黙している

との状況においてであるとのことでした。

 

 これは恐らく、国家をきょうだいとして見立てての、戦争が起きる条件やテロが起きる条件について話されていたのだと思います。

 また、トラウマへの対峙については、安全で安心な場所で何度も語り、その物語から変化や方向性をつけていくことが大切だと仰っていました。そのサポートとしてはカウンセラーが導き役として、変化をつけていくことが癒しの始まりだとのことでした。

 

 最後には全体を通して指定討論者である、河合俊雄先生(故河合隼雄先生のご子息様)にわかりやすくおまとめ頂きました。

 

 

 この講演を聞き、確かに家族の中でのポディションは、先に生まれたものが選択し、されていない場所を次に生まれたものが選択する、ということは容易に想像つくところでした。

ただ、年齢差やきょうだいの数、性別、親のキャラクターや人数、住んでいる環境なども関係してくると思うので、要因が複雑に絡み合って決定していくでしょうし、成長していく過程で、個人個人が自己のアイデンティティを模索している人たちの集合体としての家族であると、無意識に近い形でポディションが決定されていたものを全員がよりよい形に再編成できるのだろうとも感じました。

 

 つまり、小さな頃に決定されたポディションやそれによるアイデンティティだけで人生が決定されるわけでもないですし、講演者が仰っていた“きょうだいとどれだけ良い関係にいるかが長生きと関係している”ということも、それぞれの生育によるアイデンティティを理解し合いながら、自分自身とも向き合うことでストレスを受けにくい、と考えれば頷けることだなと感じました。

 

 同様に国家間でもそこまで他国のことを思い、知ろうとし理解すれば、争いや国家の疲弊は起きにくいということなのだと思います。

 

 

 ちなみに、2016年10月から月9で「カインとアベル」を原作としたドラマが放映されるそうです。アレンジした内容とのことですが、きょうだい間コンプレックスには触れていくのではないかと勝手に予測しています。