『エデン』(近藤史恵 著、新潮社) | 鎌倉から…

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神奈川県鎌倉市に住む大学生のブログです。

さて、『エデン』です。


エデン/近藤 史恵


¥1,470

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この本は第5回本屋大賞の第2位に輝いた『サクリファイス』の続編です。『サクリファイス』の主人公であった白石誓のその後の物語を描きます。前作では誓が日本のチームで自転車選手として台頭していき、ある事件で心に深い傷を負うまでを描いていました。前作まではどちらかというと日本国内でのレースが中心だったのに対し、今作『エデン』は誓が海外チームに移籍し、自転車レースの最高峰であるツール・ド・フランスへ出場する姿を描きます。




あれから三年・・・。白石誓はたった一人の日本人選手としてツール・ド・フランスの舞台に立っていた。彼にとっては初めてのツール。しかし、すぐさま彼はチームの存亡を賭けた駆け引きに巻き込まれ、外からは見えないプロスポーツの深淵を知る。なんとか順調に走っていた彼だったが、再び惨劇に巻き込まれることになる。全てが終わったとき、白石誓は何を見出すのか?





感想を書く前に、ツール・ド・フランスの説明を少ししておこうと思います。日本でも健康などの面から自転車に乗る人が増えていますが、プロの自転車レースというのはあまり一般的ではありません。しかし欧米では人気のスポーツで、人々はゴールまで何日もかかるレースを熱心に観戦します。そしてツール・ド・フランスはイタリアのジロ・デ・イタリア、スペインのブエルタ・ア・エスパーニャと並んで世界三大ロードレースのひとつに数えられています。選手たちは各々のチームに分かれて周辺の国々を含む約3600kmのコースを約三週間かけて走り抜きます。途中、アルプスやピレネー山脈といった高低差の高い地域も通り抜けるという過酷なレースです。

この本のすごいところはロードレースという一分一秒を争うスポーツの臨場感をそのままに小説にしていると言う点です。道路を自動車並みのスピードで走り抜ける選手たちの緊張感が手に取るように伝わってきます。


加えて、ロードレースという非常に特殊なスポーツに絡めたストーリー展開が見ものです。例えばロードレースでは1人のエース他のメンバーがサポートします。もしエースの自転車のタイヤがパンクした場合、サポートメンバーは自分の勝利を捨ててエースのタイヤと自分の自転車のタイヤを交換したりするのです。


非常に面白い本です。皆さんもぜひ読んでみてください。