母の記憶は薬の効果もなくて
順調に記憶する力も
思い出す力も弱ってきている
本人もそんな自分の頭が不安なようで
落ち着きがない様子で日々を送っている
どうしたらいいの?
私今日は何したらいいの?
何日、何曜日、朝なのか昼なのか
半年前の母からは想像できない姿だ
父が亡くなってからの
変わり様は
驚きだ
食後に寝たいというので
あったかくして寝てもらい
帰宅時間を記入したメモを机に置いて
1時間半ほど外出したら、
机の上のメモ紙に
母の字が鉛筆で書かれていた
「みんなどこにいってしまったの?
早く帰ってきて」
起きた時に、
誰もいなかったので
どうしてよいのか聞きたくても・・・
頼る人がどこにもいなかったのだ
家の中を探し回ったかもしれない
そして、ひとりぼっちで寂しかったのだろう
一人で考えることも難しくなって、
不安がいっぱいで
一人で家にいることも
難しくなってきているのかもしれない
起きた時に、
隣の部屋にいる私を
ベットから見つけた時の
母の表情は、
安堵と嬉しさでいっぱいの笑顔になる
亡くなった叔母の戸籍を取るために
電車で外出しなければいけなかったので、
一緒に行くかと尋ねたら
一緒に行ってもいいの?って頼りなげに聞いてきた
車いすでも電車に乗れるから
大丈夫やで
駅員さんも助けてくれるから
安心してええで
近鉄電車に乗っておでかけ!
母が電車に乗るのは、何年ぶりだろうか
駅員さんはとても親切で
感謝感謝
車いすがカーブとかで動きやすいので
車両の端っこの方に陣取って、
車窓の眺めを楽しんでもらった
問題は、トイレやエレベーターだった
ホームの端にしかないとか
1か所しかエレベーターがなくて
反対方向にもう一度戻って・・・とか
エレベーターを使う人(健常者)もそこそこいて
順番待ちでなかなか改札口に行けなかったり
トイレも車いすが通れる幅がなかったり
出入り口に段差があったり
改札口に出るのも一苦労だったけど
不便さも、体験するまではわからなかったことだった
母も私もそこは覚悟していたので
のんびり、車いすを押しながら構内のお散歩だと
冒険者気分でうろうろしてきた
無言だけれど、
みんな道を開けてくれたりして
さり気に優しさが伝わってきて
心は穏やかなものだった
昼食も
車いすで入れるところが、
まず必須条件だ
次に、落ち着けるところでないといけない
グルグルあっちこっち見て回って、
それがまた、楽しい・・・食べた気分になってくる
迷った挙句、和食になった・・・よく似たもんばかりになる
用事も済ませ、お茶でもと思ったけれど
母がもう帰りたいといいだしたので
お土産に
モロゾフのプリンとチョコレートを買って
冒険を締めくくった
又行こうね
