TSUTAYAの半額セールなどで、借りてみたDVDなどの中からてきとうに印象批評つ~か、感想を書いてみる。いわば、「読書日記」のDVD篇(タイトルそのままやん…)文章が長過ぎたのか全部入らん。2部に分ける。

「NANA」 大谷健太郎監督/中島美嘉、宮崎あおい
矢沢あい作のコミック「NANA」が原作。じつはこの項を書くために少しレビューなど見たのだが、原作コミックを読んだひとからは、「イメージが違う」の嵐。私もブログで映画の評を書くときなどに原作を読んでた時は、そういう書き方をした。んが、そういう思い込みがこれほどウザいとは思わなかった。
それでは、「いかに原作の精神を体現してるか」ですらなく、「いかに原作に忠実であるか」に終始してしまい、映画自体の評価とはいえない。そういう点では、原作があるものの表現についての評価の参考になった。
個人的にこの映画は、小泉今日子の「怪盗ルビイ」ではないか思った。つまり、中島美嘉ありきの映画だということだ。原作の"ナナ"がどういう人物であるかは知らないが、映画のナナ役は中島美嘉以外には考えられない。これは、公開中の続編のキャストが中島美嘉を残し、総取替えに近くなっている事でも明らかである。難を言えば、伊藤由奈がメインボーカルである"ロックバンド"。あれでは、バックが誰だかまるで関係ない、ZARDのようなものであった。そして、曲もぜんぜんロックではないのであった…
文字通りアドルフ・ヒトラーが自殺するまでの最期の日々を描く。ドイツ映画だからだろうか、多くのナチス高官が出て来るが一切解説はなく、字幕で名前を表わしてくれるわけでもない。私は小学生の頃にヒトラーマニアだったので、誰か誰だかイメージできた。しかし、カイテル、ヒムラー、ボルマン、シュペーア、ゲッベルス、ゲーリング、エヴァ・ブラウンといった面々に親しみがなければ混乱するかもしれない。
映画にも出て来るが、ヒトラーはけっして粗野な人間ではなく、女性には礼儀正しい紳士であった。独身も手伝い(ここからホモセクシュアル説の本も書かれている)女性の人気は絶大なものがあった。また、もともと画家志望でもあり芸術家を任じ、ベルリンの都市計画に熱中した(シュペーアの前掲書に詳しい)。しかし、同時にカリスマ演説家、天才的軍略家、狂気の指導者でもあった。
ナチス(国家社会主義ドイツ労働者党)は、選挙で第1党になりヒトラーは首相に、そしてヒンデンブルグ死後には大統領を兼ねて総統になる。共産党への違法な弾圧などはあったにせよ、ナチスの全権掌握は当時のドイツ国民の望んだことでもあった。第一次世界大戦の悲惨さに厭いた欧州諸国は、ヒトラーの拡大政策に宥和策で対応し結局第二次大戦につながった。ここから、平和主義(Pacifism)が現実的にはあまり効果がないこともわかる。
ヒトラーとナチスは、欧州に二度目の大戦をもたらしただけではなく、人種差別ならびに優生学的施策を行う。そすてユダヤ人虐殺という戦争以上の傷を残した。結果、今でもナチスの思想やシンボルは忌避されるようになっている。それがいかに徹底しているかは、ノーベル賞作家ギュンター・グラスが武装SS隊員であった過去を隠していた件でも示された。しかし、一時はこうした思想集団が、正統な民主的手段で選ばれて政権を握ったわけであり、それは民主主義を標榜する国にとっては等しく他山の石とせなければならない。
-DVD日記(下)につづく-