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ゴッドファーザーという映画がある。第一作が1972年に公開され、パートⅢまでつくられた映画史に
残る傑作だ。この一作でコッポラは名監督となり、アル・パチーノはスターダムへとのしあがった。

そしてこの映画ほど、男女の評価が分かれる映画もないだろう。映画史に残る傑作とはいっても、
ストーリーだけを聞けば「仁義なき戦い」である。つまりアウトローの物語。

じつは家族、文化、移民といった世界共通のテーマが通奏低音として流れ、アメリカ現代史のさまざま
な事件が背景にあり、深くも浅くも観られる(娯楽性と深さ、シェークスピアを出すまでもなく名作の条件である)
映画なのだが、それでもマフィア映画であることには変わりはない。

この映画の大ファンとして有名なのは、サッカーのキングカズ、三浦知良だ。たぶん、カズもそうだと
思うのだが、キメにキメているマフィアファッションと男の世界を魅力的に感じる男子が多いのだろう。

ただし、WASPにとってはポマードべったりのイタリアンファッションは泥臭く見えるらしい。映画の中
でも「grease ball(ベタベタ頭)」と蔑まれるシーンが出て来る。面白いことに、ニポンで流行のイタリア
ファッション、つまりナポリを中心とする南イタリア系(極端なフィット、ドゥエボットーニ、ステッチ、重ね
釦など)の装飾過多は、いまだにミラノを代表とする北イタリアからみるとこれまた"田舎丸出し"らしい。

この映画は、監督のコッポラ、原作のマリオ・プーゾ(プーゾが生きていたらパートⅣがあったかも
しれない!という噂)はもちろんイタリア系で、役者もイタリア系を多く使っている。パートⅡで若き
ヴィト・コルリオーネを演じアカデミー賞を射止めたデ=ニーロもイタリア系だ。

デ=ニーロはイタリア移民一世を演じたため、ほとんどイタリア語での演技だった。私は、このイタリア
語に魅せられた。意味がわからないためか、ニポン語と違いアクセントを多用するからか、音楽の
ようにも聞こえた。

「スペイン語は神と話すのにふさわしく、フランス語は友人と話すのにふさわしく、ドイツ語は敵と、
イタリア語は女性と話すのにふさわしい」ともいわれる。女性どころか、男性ばかり出て来る映画
であったが、私はイタリア語を習ってみたくなった。

いろいろと調べてみると、日伊協会というニポンとイタリアの親善をはかる組織があってイタリア語
講座を開いていた。イタリア語の習得には比較的安く、場所も結構近かったので申し込むことにした。

話をはしょって言えば、結局ここで学んだイタリア語は緊急避難的にしか役にたたないものだった。
といっても、日伊協会のせいではない。私の情熱が大過去の前までしか続かなかったからだ。
(イタリア語が習いたければ、いまでも日伊協会の講座はオススメだと思う。とくに男子に。イタリア語
やスペイン語(たぶんフランス語も)習おうとするのは、8割以上女性-それも若い女子だからだ…)

イタリア語は発音だけはニポン語と近く、習熟すればニポン人でもネイティヴに近く話せるほとんど
唯一のヨーロッパ系の言葉だといわれる。たしかにはじめてイタリアに行ったとき道に迷い、勇を鼓して
地元のひとに訊ねたら一発で通じて感動した!小学6年生ではじめての外国であるハワイに行ったとき、
「ファンタ」がまったく通じなかったトラウマもこれで解消した気がするほどだった。

しかし、ここでイタリア語の初歩を学んでいなければ、LAでのスペイン語の氾濫ぶりを目にしても
勉強しようとは思わなかったに違いない…(と、いってもスペイン語もイタリア語よりマシ程度なのだが)

つまり映画The Godfatherは、私にとっては「ラテン入門」の役目も果たしてくれたのであった。

つづかにゃい…