6階で止まった。
1人乗り込む。
ちょっと派手な感じの女の人。フレグランスをつけすぎ。そう言えば誰かが言っていたっけ、
香水とかは、次第にその分量が多くなり、香りも強くなって行くって。
「そして誰もいなくなった」状態に。
また、4階で停止。
エレベータのラッシュアワー。このマンションには1台しかエレベータがない。

やっと1階、ドアが開く。
ひとり、二人、三人降りてゆく。
「早く降りろって。バスに遅れるよ」

私が降りかけたところでドアが閉まった。
「何で?後ろの人が【開く】のボタン押しておくのが常識じゃん。
「どいつだ。常識知らずは?」
さりげなく後ろを振り向くと、みんな知らん顔。
「そうですか。私が悪いわけね。」
「ドアが閉まりかけたのに降りようとした私が悪いのね。」
「わかりました。エントランスの自動ドア気をつけますよ。」
それにしても、エレベータの中の人たちを誰一人知らない。
都会のマンションは人間関係がないので気楽。ではあるが
上下の階、左右の部屋にぜんぜん知らない人が生活をしているのって・・・
一人で部屋にいる時、たまに考える。

管理人さんの「いってらっしゃい」の声。いつものこと。
管理人さんに会釈する。心の中で「いってきます。」
いつから声を出さなくなったのだろう。ずっと昔から?

何かにつまずく。植木鉢が割れて転がっている。
やれやれ。
ブーツの汚れを気にしながら、時間ぎりぎりのバス停に心が向かう。
「どんよりと曇り空」

(つづく)

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エレベータの【下】のボタンを押す。
1階からのエレベータの上昇を伝える表示が2階を通過した。
3,4,5,6。止まるはずの7階を通過した。
8,9,10。
急いでるときには「エレベータは来ない。」少し前に流行った何とかの法則?
いつものことか?
8階で止まった。
上の階から声が聞こえる。玄関ドアの閉まる音。そして開く音。
また、8階住人の声。
それでもエレベータは来ない。
「ちょっと勘弁して・・・」

まだ来ない。
思わぬ風で髪の毛が吹き上がる。
どうせ起きぬけのヘアスタイル、と思っても思わず手で押さえる。
天気はいい。青空と少しの白い雲。
どこかで救急車のサイレンがなっている。
エレベータドアのガラスに映った自分の姿を確認する。
「上は何やってんの?エレベータは共用部です。」

まだ来ない。
エレベータの動き出す音。
「やれやれ」
ドアが開き、軽く会釈する。
「おはようございます。・・・この中の誰がもモタモタしてたの?」
ドアが閉まり、下降中。

「思えばエレベータの中って密室だよな」

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月曜日の朝、胸騒ぎで目覚めた。
目覚まし時計はセットした時間より随分と早かった。
30分ほど軽い心臓の動悸を感じつつまた眠りについた。
隣に寝ているはずの彼のことも忘れて。

いつもよリ少し遅れて起きる。
やはり彼は居なかった。

湯沸しポットに電源を入れて
細長いタバコに火をつける。
軽く吸って煙を吐き出す。
テレビのスイッチを入れて
タバコを大きく吸う。
起きぬけの格好で食事はシリアを牛乳で流し込む。
いつものこと。

季節の成果髪の毛がしつこくからまる。
洗面所から戻って
着替えを済ませ、灰になったタバコを消す。

玄関の新聞を取り出し
靴を無造作に選ぶ。
やはり彼の靴はなかった。
いつものこと・・・

私の場合、右足そして左足。
左足の靴に小石が・・・はき始めの靴を脱いで小石を振り落とす。
小石・・・?ガラスの小さな破片。どこで入ったのだろうか?
玄関を開けて右足のつま先でガラスを蹴り出す。
左足の親指に小さな痛みを感じつつエレベータに向かう。