S1000RR 最後のツーリングから1年半経って、やっとふっ切れた。
2011年、このバイクに乗りたくて大型免許を取得。雨の日も、雪の日も、早く乗りたい一心で教習所に通った。
納車当日、緊張と嬉しさのあまりディーラーから発進と同時に… 転倒!
下敷きになった私に駆け寄るスタッフの方々。その焦ったお顔が忘れられない。
このバイクと過ごした5年間は本当に楽しかった。
スピードシューティングとバイクを乗りこなす事には、身体操作スキルという面で共通項が多い。目的とする動きを得るためにメンタルとフィジカルの両方の制御が必要で、そのメソッドを理解し身に付ける度、生まれ変わった様な新鮮な感覚を味わえた。
よく「バイクや車をコントロールする」というが、そのデバイスを扱う自分を御す事こそ難しい。私の運動能力の低さもあるが、イメージと結果のギャップによく悩んだものだ。
4輪は30年、2輪で5年BMWを愛用して来た。バブル期に学生ながら輸入車販売会社を立ち上げ、製造するメイカーのフィロソフィーも含めて、マクラーレンとブガッティを除く、およそほとんどの車と接した。結果BMWを愛した。製品の理知的造りの良さや、紆余曲折あったが80年代以降の経営における枢軸に惚れ込んだ。
ブリテンやイタリアンとは異なる楽しさの演出。フロイデ アム ファーレン。
情熱と知性のバランスが自分には良い塩梅であった。
そう、良かったのだ…
企業として成長する事、前年比成長率、大事です。でも、車好き、バイク好き、機械好きとしては魅力が薄れてしまった。
「最新が最良」、道具としての利便性や有用性ではそうでしょうけどね。
釣りの世界でも同じ。矢継ぎ早に登場する新型、ハイエンドモデルも廉価モデルも数年で修理不可。単なる道具としての価値を超えたと謳ってるのに? 特にステラやトーナメントシリーズには、型式固有の味があり、それを使う理由がある。最新が最良といえない状況や心情がある。
S1000RRの回顧録にしようと思ったが、消費社会への不満になってしまった…
改めて、このバイクを通してお世話になった方、お近づきになった方、本当にありがとうございました。
そして、S1000RRよ、M3よ、
Dankeschön und Auf Wiedersehen