理研・京都大学が、ホタルの発光の仕組みを解明しました。
<読売新聞>
私が小学生だったころ、夏が始まる前になると友達とホタルを見に夜に近所の河原へ自転車で向かったのを覚えています。
ふわふわと浮かぶ黄色い光。
あっちで光ったと思って近づくと、その光は消えまた別のところで光る。
最近は見ていませんが、あの何とも言えない神秘的な光は子供ながらに綺麗だなぁ、と感じていました。
同年代の友達に聞くと、「ホタルなんて見たことない」と言う人も多いですが、幸か不幸か私は大阪の中でも
特に田舎の、また、水がとても綺麗なところに住んでいたので、割りとホタルは身近な存在でした。
2006,3,16付けのnature では、理研・京大の共同研究で、ホタルの発光メカニズムについて解明した論文が掲載されています。
ホタルの発光物質はルシフェリンと呼ばれ、ルシフェラーゼという酵素とATPが働くことで発光します。
ルシフェラーゼの中でルシフェリンはATPと反応し、酸化される事によって、オキシルシフェリンという物質が生成します。
この、オキシルシフェリンは大きなエネルギーを持っており、このエネルギーを放出するときに、ホタルのお腹が黄緑色に光るのです。
ルシフェラーゼという酵素はアミノ酸から出来ているタンパク質です。
タンパク質はアミノ酸の結合によって様々な立体構造をとるのですが、
今回の研究では、この一連の反応におけるルシフェラーゼの立体構造の変化をX線結晶解析によって捉え、発光のメカニズム解明に役立てました。
実験では発光の直前と発光直後でルシフェラーゼの構造が変化しています。
具体的には、発光前後で288番目のイソロイシンというアミノ酸の三次元的な位置が変化するのです。
この変化によってオキシルシフェリンをしっかりと捕捉し、オキシルシフェリンの持つ大きなエネルギーを熱などに変換されないようにし、無駄なく光に変換しています。
通常エネルギーを光に変換する時には、全てが光になるのではなく、多くが熱に変換されてしまいますが、
ホタルの発光はエネルギーを最も効率よく光に変換するシステムとして知られていました。
われわれヒトの持つ技術では、この変換効率がホタルに比べて著しく低いので、ホタルの発光システムを解明し、それを応用することで、少ないエネルギーで光を作り出すことが可能となり省エネ産業に光をもたらすことになるでしょう。