リチウムイオン電池が評価され、吉野氏を含む3名がノーベル化学賞を受賞されました。おめでとうございます!
前のブログで、ノーベル賞という括りではリチウムイオン電池でのノーベル賞はないんじゃないかな?と書きましたが、受賞しましたね。原理としては、電池として既にある程度あるもので、リチウムイオン電池の実用化は、吉野氏らだけではなく、色々な方がアイデアを出し合って出来たものなので、選定も難しいし、無理かなあ、と考えていました。
リチウムイオン電池の正極に関しては、同時に受賞されたGoodenough氏のLCO(コバルトリチウム)が最初から現在まで、色々な正極(ニッケル系、マンガン系)が出ている中で、ほぼスタンダードになっていますが、それ以外は試行錯誤の世界です。
負極は、当初は、吉野氏は、吉野氏の師匠に当る方が同じくノーベル賞を受賞された白川氏だったこともあったためと思いますが、白川氏が受賞した導電性ポリマーを考えていたと聞いています。ただ、恐らくですが、Liを多く貯めておけない、電圧を掛けると分解するなど、うまくいかなかったものと考えます。その後、別の方が今のスタンダードの元となる炭素を用いたものとした経緯と聞いています(吉野氏はこの炭素を用いる方法には懐疑的だったとか)。
電解液も、炭酸プロピレンが当初は使われていたようですが、容量向上のために、負極に黒鉛を用いると、炭酸プロピレンが分解してしまうのを防止、また充放電の速度を上げるために粘度を下げるなどの為に、炭酸エチレン/炭酸ジメチル等の混合液を思考錯誤で調製してきています。現在、開発されているのは、液ではなく、固体化することで、より電池の安定性と寿命、容量、また、充電速度を向上しようと世界的に研究が進められています。
正極、負極が接すると短絡(ショート)するため、間にセパレータと呼ばれる薄い微細な孔が多くある膜がありますが、これも、孔の制御は勿論ですが、電池の容量の向上のために、より薄い膜の開発が進められています(上記の固体電解質ができれば必要ではなくなってきますが)。
上記に加えて、電子をうまく流すための導電助剤(細かい炭素やカーボンナノチューブ)、寿命向上のための添加剤が加えられています。
これらの反応で生じる電子を流すアルミ箔(正極)や銅箔(負極)も薄膜化などが進んでいます。
さっとリチウムイオン電池の材料だけでも、上記のように多くの研究者がアイデアを出し、形にしてきたものであり、これに加えて、電池の形状など、設計の方も加えると、とても特定の人だけで実用化に持っていくことができるものではありません。どの方が欠けても今のような世界を変えるような電池にはならなかったでしょう。なので、特定の人に与えることも難しそうなので、ノーベル賞は無いかなあと考えていました。
それでも、世界の色々な電子機器(特に吉野氏もおっしゃていたように携帯電話が本当の意味で携帯電話になった)を持ち運べるようにし、貢献度が大きかったということでしょう。