【連続企画その1】東京都心の宿根草ガーデンで昆虫観察(代々木公園・6/13の場合) | 首都圏生きものめぐり ~関東の動植物に会いにいくぶらっと散歩~

首都圏生きものめぐり ~関東の動植物に会いにいくぶらっと散歩~

雑誌編集者である著者が自ら首都圏の公園や自然地に足を運び、そこで出合った生きものの情報をお届けします。
都会の印象が強い東京にも、カワセミやタカ、多くの昆虫が暮らしています。「首都圏ってこんなに生きものが多いのか」と驚かされる情報が満載です。

植え替えを必要としない(とされる)宿根草は、

昨今の自然派志向の高まりによって

公共スペースでもよく使われるようになりました。

まあ、実際には色々メンテナンスが必要なので

「手がかからない」ということは絶対ないですし

生きものである以上当然「寿命」もありますので

一概に一年草を使うより優秀とも言えないようです。

 

とは言え、一年草花壇と比較すると

圧倒的にナチュラルな雰囲気を醸し出せるのは確か。

今後はよりローメンテで維持できる方法も

模索されていくと思われますので

大いに期待したいところであります。

 

今回訪問したのは、現在代々木公園で開催されている

「東京パークガーデンアワード」というコンテスト会場。

宿根草主体のローメンテナンスガーデンというテーマで

全国から応募のあったガーデン作品の内

5点がオリンピック宿舎前の広場で紹介されています。

ほか、後述しますが吉谷桂子さんによる

同じく宿根草主体のモデルガーデンもあり

かなり広い自然派ガーデンとして展開されています。

 

 

 

 

 

 

植栽(植え込み)工事は昨年12月に行われ

その後は今年4月から審査期間に入っております。

4月の時点では花数があまり多くなかったのですが

6月13日時点ではご覧の通り、なかなかの見栄えに……。

 

この宿根草ガーデン、時間を追うごとに

どんどん咲く植物や量が変化していきます。

もちろん、それに伴って飛来する昆虫も変化するはず。

そこで今回は、6月13日7月7日の2回訪問し

それぞれの様子を観察する2部構成でお送りします。

 

 

 

 

 

では、昆虫を探してみます。

初夏にチェックしておきたいのは

やはりラベンダーやサルビアといった

花数の多いシソ科の植物です。

 

上の写真は俯瞰で撮ったものですが

これでも何匹かクマバチがとまっているのが

お分かりになることでしょう。

 

 

 

 

 

オスなので、全く刺される心配なし。

胸部の黄色い所はフサフサしています。

 

 

 

 

 

去年の軽井沢でオオマルハナバチが

こんなふうに大量に集っているのを

見たことがありますね。

クマバチで、しかも都心部で目にするとは

思ってもみませんでした。

 

というか最近クマバチの数が

東京周辺で増えている気がするのですが?

 

 

 

 

 

青い彼岸花……もといアガパンサス

吸蜜するナミアゲハ。夏の鑑賞用植物として

人気が高いですが、昆虫にも好かれています。

 

 

 

 

 

 

ミツバチとクマバチが多かったですが

他にもアシナガバチやベッコウバチの姿も。

まあ、余程刺激でもしない限り

刺される心配はありませんのでご安心ください。

 

 

 

 

 

バーベナで求愛中のナミアゲハ

多分、右の飛んでいる方がオス(だと思う)

 

 

 

 

 

ツマグロヒョウモンも何度か見かけました。

 

 

 

 

 

キアゲハも出現。ただしこのチョウがとまっているのは

すぐ近くに植えてあったペンタス(一年草)です。

 

前にも書いたかもしれませんが

一年草だろうと多年草だろうと

彼らにとっては単なる食事の場に過ぎず

同じ花数で昆虫の飛来数を測ったところで

大した差はなかったりします。

なので、生物多様性の向上のために

多年草を使おう……というのは

正直ほとんど説得力がありません。

(植物の多様性を回復させるのであれば

宿根系の山野草を植えれば効果がありますが)

 

「自然でやさしい雰囲気を楽しむため」とか

「植え替えのコストや手間を省くため」など

正直に人間都合で多年草を推奨した方が

はるかに現実的で共感を得やすいように感じます。

 

 

 

 

 

おっと、トラフシジミまで現れました。

今年の春、石砂山で新顔登録したばかり。

 

それなりに自然度が高くないと

現れないのでは?という認識でしたが

幼虫の食草はフジ、クズ、ウツギ、ナツハゼなど

結構広範囲にわたる上、この花壇の背後にあるのは

広大な明治神宮御苑の森。当然、食草となる

各種植物も豊富にあるかと思われますので

実は出現しても決して不思議はなかったりします。

 

 

 

 

 

コアオハナムグリは、キク科の植物に。

写真だと2匹しか写っていませんが

「引き」で撮ると、この花を植えたブロックだけで

数十匹が集まっていました。

 

ここは東京都の運営する公園ですので

基本的に農薬・殺虫剤の類は使えません。

まあ、この虫は害虫でも何でもないので

特段駆除する必要もないのですけどね。

 

 

 

 

 

セリ科の花も植えられていますので

が来ていました。

ハナムグリと違い、コイツは植物の汁を吸う

言うなれば害虫ですので、見つかったら多分捕殺されます。

 

もっとも、全部捕殺していたらキリがないので

ある程度は妥協せざるを得ないのですが。

 

 

 

 

 

さて、ここからはコンテスト花壇の隣にある

モデルガーデン『クラウド』の写真をお送りします。

高い位置に花を咲かせるバーベナとアガパンサスが

目を惹く一方、足下の低い位置も草花で彩り、

全体的に寂しくならないデザインとなっています。

デザイナーは、宿根草花壇でよく知られる吉谷桂子さんです。

 

 

 

 

 

タイトルが『クラウド』ということで

雲を彷彿とさせる曲線美を活かした

デザインとなっています。

 

写真中央の窪みに入ると

ほぼ全方位を花で囲まれたようになり

没入感を楽しめます。

 

 

 

 

 

写真右奥の方に、僅かにコンテスト花壇が見えます。

昨年までは当然どちらの花壇も存在しなかったので

このエリアの雰囲気はガラリと変わったことになります。

 

 

 

 

 

美しいカラスアゲハが出現。

普段は飛びっ放しのアゲハですが

幸運にも吸蜜中の翅を開いたシーンを

撮影することができました。

 

写りとしては御岳山の時に一歩劣るものの

花とセットでこれだけ撮れたのは今回が初めてです。

 

 

 

 

 

今度は、コンテストガーデン側から。

左奥の人がいる辺りがモデルガーデン『クラウド』です。

ちょうど明治神宮の森の目の前なので

現地に行けばすぐにわかるかと思われます。

 

なお、右に見える建物はこども園。

子供たちにとっては、この花壇周辺が

昆虫と触れ合える良いスポットになっているようです。

 

 

 

 

 

最後に、帰りがけに薮の中で見かけた

とぐろを巻いたアオダイショウです。

こういうシーンを撮ったことがない……と

先日ブログ内でぼやいたばかりだったのですが

聞こえたんでしょうかね? (;^_^A

 

では次回の記事で、7月の記録をお送りします。

半月強で花壇はどのくらい変わったのか?

ご覧いただければ幸いです。

 

 

 

 

 

【6/13 代々木公園で撮影した生きもの】

昆虫類・・・アオスジアゲハ、アカスジカメムシ、カラスアゲハ、キアゲハ、クマバチ、コアオハナムグリ、シオカラトンボ、シロテンハナムグリ、スズバチ、セイヨウミツバチ、セグロアシナガバチ、ツマグロヒョウモン、トラフシジミ、ナミアゲハ、ニホンミツバチ、フタモンベッコウ、ベニシジミ、モンシロチョウ、ヤノトガリハナバチ

その他・・・アオダイショウ

 

 

 

★次回、生きもの探索ツアー「首都圏生きものめぐり」は

 2023年7月16日(日)に開催いたします。

 行先は「光が丘公園周辺(東京都練馬区)」でございます。

 現在お申込を受付中です。ご興味のある方はこちらよりお申込ください。

 (講座の概要につきましてはこちらをご参照ください)

 

 

【小学校6年生までのお子さんのご参加につきまして】

小学校6年生までの方は、初回500円でご参加いただけます。

ただし、御父兄の同行をお願いいたします。