外来種を“追及”ではなく“追究”するということ(北本自然観察公園) | 首都圏生きものめぐり ~関東の動植物に会いにいくぶらっと散歩~

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雑誌編集者である著者が自ら首都圏の公園や自然地に足を運び、そこで出合った生きものの情報をお届けします。
都会の印象が強い東京にも、カワセミやタカ、多くの昆虫が暮らしています。「首都圏ってこんなに生きものが多いのか」と驚かされる情報が満載です。

キバネryを追いかけ続けて例のスポットに通い詰めましたが、

戸田からアクセスできる自然地という点では、こっちの方が手近。

北本自然観察公園といいます。名前の通り北本市内です。

いずれも最寄り駅までの電車はガラ空きですし、

公園内も基本的に人が少なく、気分が落ち着きます。

(ただし人口密度はこちらの方がやや上です)

 

 

 

 

 

 

自然観察公園と名乗るだけあり、

池を覗けばドジョウ(左)やオタマジャクシの姿を見かけます。

ドジョウの暮らすということはそれなりに自然度が高いと言えますが

残念ながら結構な数のウシガエル(右)も侵入しています。

 

駆除するにしても数が多すぎるので苦労しそうです。

それこそテレ東の例の番組にお願いして、池の水を抜いてもらうしかないかも……。

(ただしウシガエルは警戒心が強くてよく逃げるため、水を抜いても成体を駆除し切るのは困難です)

 

 

 

 

 

ちなみにドジョウの方も警戒心が強く、

普段はこうして何かの隙間や泥の中に隠れています。

上のように表に出てきてくれることは結構稀です。

 

 

 

 

 

ルリタテハを探せ!

(A:階段の下から3段目右中央付近で翅を開いています

 

 

 

 

 

北本自然観察公園は、敷地の多くを湿地と森が占めています。

ゆえに歩ける範囲はかなり限られており、

細い遊歩道や木道を歩くこととなります。

 

こういう環境ゆえに真夏になればトンボなどが増えるのですが

今の時期はまだそれほど多くは観察できません。

 

 

 

 

 

お馴染みの夏鳥 オオヨシキリ

この公園でもあちらこちらで鳴き声を耳にします。

 

 

 

 

 

 

これはアオオサムシ。最近なかなか目にする機会のない飛べない虫です。

ゆえに見つけて早々、素手で捕獲してしまいましたが

本来であればこれは極力真似してはならない行為だったりします。

 

2年前、マイマイカブリを捕獲して似たように撮影しましたが

あの時刺激臭のする液体をかけられ、後で念入りに手を洗う羽目になりました。

このアオオサムシも奴等の仲間であり、やはり危険を感じると臭い液を分泌し、

手に付着すればなかなか臭いが取れなくなります。実際この後大変でした(汗)。

 

単純に臭いというだけでなく、酸性の毒液ですので皮膚炎になる可能性があり

うっかり目をこすったりでもすれば最悪失明の恐れもありますため、

超要注意です。触ったらコロナ云々に関係なく必ず石鹸で手を洗いましょう。

 

 

 

 

 

公園内の高台に位置する、大きな草原。

こういうところも野生生物の暮らす「ビオトープ」と言えます。

ウシガエルに占拠されているさっきの池より余程クオリティの高いビオトープです。

 

開花している花と綿毛がありますが、いずれもカントウタンポポ

むしろこの草原ではセイヨウタンポポを探すのが困難というレベルでした。

 

 

 

 

 

一方でこの草原にも、外来種であるハルジオンが侵入してきています。

ただしこの花は昆虫たちの貴重な蜜源にもなっており、

本ブログにおいてはいい意味で無視できない植物です。

 

まず、例のキバネryスポットでも遭遇したクロハネシロヒゲナガ

弓なりの触角がやはり目を惹きます。

 

 

 

 

 

クロハナムグリ。都心の公園でも割と見かけるコアオハナムグリと違い

黒地に白い帯状の模様が入った配色です。

かなり郊外まで出ないと目にする機会はないかもしれません。

(少なくとも戸田市内の河川敷で見るような昆虫ではありません)

 

 

 

 

 

おっと、ギンイチモンジセセリも出てきました。

過去にもここで撮影したことがありましたが

無事に生き残っていてくれていてよかったです。

こういう絶滅危惧種にとっても、

ハルジオンが貴重な食糧源となっていることがわかります。

 

 

外来種に対する認識は、実は自然愛好家の中でも結構割れており

危険度を問わず外来種はすべて徹底的に駆除すべきという強硬派。

とりわけダメージの大きい種は駆除するけれど他は無理しない中間派。

外来種の侵入そのものを1つの自然の流れとして受け入れる穏健派。

大まかには以上の3つに分かれています。(あくまで私の勝手な区別です)

赤犬、黄猿、青雉のイメージがしっくり来るかもしれません。

 

ウシガエルはあまりに他の生物へのダメージが大きいので

私も駆除が必要と考えますし、実際特定外来生物に指定されています。

ただ、ハルジオンについてはそう簡単に根絶やしにできず

一方で上記の通り多くの生きものの糧となっている面もありますため

神経質に徹底駆除を試みるほどのものなのか?いつも考えさせられます。

 

これは外来種に限らないと思いますが、ある特定の動植物について

それは地域にどういう影響を及ぼしているのか?

あるいはどういう生きものから影響を受けるのか?

「なぜ」ここに分布しているのか?などを追究してみるのもいいかもしれません。

少なくとも感情的に駆除を訴えるよりは有意義なんじゃないかと感じています。

 

 

 

 

 

 

この公園における最大の特徴がこちら。

公園内にマムシが住み着こうがハチが営巣しようが、

基本的に駆除はせず、むしろ公園利用者が近づかないようにして

共存する道を模索しようとします。

ちなみにマムシの棲み処の隣には、人工のドロバチの巣があります。

 

 

 

 

 

尻尾が再生し始めたばかりのニホンカナヘビ

何となく鉛筆を思い起こさせます。

 

 

 

 

 

これは一体どういう状況なのか?

枝にぶら下がってくねくねしていたので、

パッと見では蛇がいるかのように見えて少々ビビりました。

 

ケンカしていたのか、それとも異性同士でじゃれ合っているのか……。

(首元に噛み付いているように見えますが)

 

 

 

 

 

池のアカミミガメ。背中が藻でいっぱいになった結果

子供がえりしてしまいましたとさ。

(子供時代のアカミミガメ=縁日のミドリガメ)

 

 

 

 

 

 

キジにも遭遇しました。しかもオス・メスお揃いで。

オスにはここのところしょっちゅう会っていますが

メスは警戒心が強い上に目立ちにくいので、撮影チャンスは少なめです。

ただしよく「つがい」で行動しているため、草むらでオスを見かけたら

もしかすると近くにメスもいるかもしれません。探してみるといいかも?

ちなみにジビエ的にはメスの方が肉質がやわらかく美味と聞きます。ぐへへ。

 

オス「(-v-♯)」

 

 

 

 

 

上のキジですが、こんなところをウロウロしていました。

メスを守っているのか、しきりに周囲を見回していて

私と目が合った時にも思い切り睨みつけられました。

 

サツに捕まっちまうから捕って食いやしないっつの。

 

 

 

 

 

ここは厳密に言うと北本自然観察公園ではないのですが

すぐ隣に位置する公園です。遊具広場のある児童公園なのですが

なんとキンランが群生していました。

 

ここ数年は四季の森公園で他の自生ランと一緒に撮影していたのですが

今年はクソコロナのせいで里山ガーデンもオープンできず

隣接するあちらの公園にも足を運べなくなってしまったので

見られないことも覚悟していたのですが(呪)無事に撮れてよかったです。

と言うか、場所によっては決して珍しいものではないのかもしれませんね……。

 

 

 

 

 

キンランに比べると色的にも株数的にも目立ちませんでしたが

ちゃんとギンランも開花していました。

(基本キンランのある所にはギンランもある、と考えていいかも)

 

遊具にはテープが巻かれて立入禁止にされており

子供の姿も消えて公園はガラーンとしていましたが

山野草や昆虫については関係なく大変元気です。

(むしろ人がいない方が安心できるのかもしれません)

 

 

 

 

 

最後に、これは北本自然観察公園内にあるエドヒガンザクラです。

樹齢200年ともいわれる古木で、北本市の天然記念物だったのですが

昨年の10月に突然根元から折れて倒れてしまったそうです。

 

厳密に言うと倒木したのは10月22日。

例の台風が上陸したのはその一週間ほど前(10月13日?)になりますが

台風の影響で地盤が緩んでいたことが影響した可能性も高いでしょう。

(あくまで可能性であるため、Webサイト等には原因は明記されていません)

 

しかしこの木、実は死んではいないらしく

今年早くも根元近くの枝から花が咲いたのだとか。

だてに200年生きちゃいない……ということか? その生命力に驚かされます。

 

 

 

 

【5/3 北本自然観察公園で撮影した生きもの】

鳥類・・・アオサギ、オオヨシキリ、オナガ、カイツブリ、カルガモ、キジ、キジバト、コガモ、コゲラ、コジュケイ、コチドリ、シジュウカラ、ハクセキレイ、ヒバリ、メジロ

昆虫類・・・アオオサムシ、アオメアブ、アメリカジガバチ、アメンボ、オオスズメバチ、オニグモ、キアゲハ、ギンイチモンジセセリ、キンケハラナガツチバチ、クビキリギス、クロコノマチョウ、クロハナムグリ、クロハネシロヒゲナガ、ケブカキベリナガカスミカメ、コアオハナムグリ、コガタルリハムシ、コチャバネセセリ、シオカラトンボ、セイヨウミツバチ、ナナホシテントウ、ナミテントウ、ニッポンヒゲナガハナバチ、ヒメウラナミジャノメ、ビロウドコガネ、ベニシジミ、ホソメヒラタアブ、モンシロチョウ、ヤブキリ(幼虫)、ヤマトシリアゲ、ルリタテハ、ルリチュウレンジ、ワカバグモ

その他・・・アカミミガメ、ウシガエル、ドジョウ、ニホンカナヘビ、ヌマガエル