私の本業は駆け出しの病理医だ。まだはじめて1年ちょっと(そのうち半年は別の科をローテーションしていたから、実質7ヶ月ちょっと)。まだまだ初歩的な間違いはするし、知識は少ない。やらなければならないことの多さに身震いする。
この病理医という職業は、日本では極めて知名度がない。
「料理医」と間違えられることも多いし、「研究してるの?」と言われることも頻繁だ。医者の間でさえ、とくに内科系の人は、まったく理解がない。
日々顕微鏡をながめたり、解剖したりと、患者さんの前にでることは少ない。そういう意味で一般になじみがないのは分かる。最近白い巨塔のリバイバルで、浪速大学の病理の大河内教授が重要な役割を果たしたので、すこし説明しやすくなったが。
昨日公表された資料。
臨床研修終了者のアンケートで、私も答えた。2100人くらいの回答者のなかで、病理医になると答えたのはわずか11名。このうち1名は私だ。少ない、足りないといわれる小児科、麻酔科、産婦人科だってここまで少なくはないだろうに。
そんな中、今週号のサンデー毎日は、肺がん内科治療のランキングを載せているが、評価対象に「「常勤の病理医(日本病理学会の認定病理専門)がいるか」を含めている。
「常勤病理医のいない病院でがんの治療を受けるべきでない」とのコメントも出ており、存在が評価されて少しだけうれしくなった。
さて、病理医にからむ本を何冊か紹介する。
- マイクル クライトン, Michael Crichton, 清水 俊二
- 緊急の場合は
上司の先生にすすめられて読んだ。病理医が探偵ばりに事件を解決していくという小説。病理の意義などが主人公ベーリー医師の口を通じて語られる。マイクル・クライトン、こんな小説まで書いてたんだ。恐るべし。
- アーサー・ヘイリー, 永井 淳
- 最後の診断
病理小説の古典らしい。実はまだ読んでないので、機会があったら手に入れたい。
- 海堂 尊
- チーム・バチスタの栄光
著者は外科から病理に転向したという現役医師。病理医も主要な役で登場する。
- 向井 万起男
- ハードボイルドに生きるのだ
多分一番有名な病理医、向井千秋さんのパートナー。
- 川渕 圭一
- とび出せ!ドクター
登場人物のひとりが内科から病理に転向する。やや現実とは違うような感じではあるが、病理医を描いた小説として稀有なもの。