クライアントの一人がめでたくシェルターからアパートに移ることになったんです。

長年、シェルターやリカバリーハウス(ドラッグやアルコール依存症の人の為の更生グループホーム)なんかを転々として、ホームレスから抜け出られなかった人の一人ですねん。

市のシステムにはホームレス、メンタルイルネス、依存性などの為、超不安定で不健康な生活状態の人達への様々なサポートがあるんやけど、ハウジング、特にアパートなんかにクライアントを送り込むのは難しくってね。

(アメリカには国や州が低所得層をサポートして家賃の補助付きで住居に住んでもらうシステムがある、、、けどそれ用の住居が全く足りとらんの。)

それはまた違う時にボチボチ話しますわ。

この人はドラッグ依存があって、心臓疾患とかの要注意の持病もある。

ホンで、それでも医者には会いたくないし、持病の為のお薬は飲みたくなくて、ドラッグは薬代わりのようなもんで止めない。

当然、カネもドラッグや要らん事にヒラヒラ飛んで行きます。

私はこのクライアントには正直、アパート暮らしは健康上危険やと反対でサポート付きの住居に行って欲しかったけど、これも経緯があってね。

正直、そういう点で市のシステムは全てに正しく作動して正しい選択を各人にしてるワケやない。

私ら、ケースマネージャーはクライアントの為に出来るだけ声を上げるけど、お役所のする事は日本もアメリカも似たようなもんで、その厚きバリアをブチ破るのはチャレンジですのん。

ま、そういう事でクライアントご本人は自分のお城ができて超ハッピー。

私は超心配。

今日、そんなクライアントを連れて出向いた先がFurniture Bank。

デカい倉庫がFurniture Bankになってるの。

Furniture Bank言うのは、市のシステムが運営してる中古家具の倉庫。

システムのサポートでアパートが持てた人向け専門。

アパートに入居するホームレスの人達に新生活に必要な(中古やけど)家具を提供するんですわ。

ベッドやテーブル、椅子、カウチ等など、一式貰えます。一回限りのサポートね。

家具は中古で買ってもそれだけ全部自前で揃えようとしたらかなりの出費でしょ。

それが全部、タダ。

そりゃ、貯金なんて一切無いクライアントには助かるサポートでしょ。

アレコレ選んで、配達は翌日。

これでアパートがようやく住居らしくなるね。

アパート生活始めるクライアント。

"アンタ、この機に健康管理をちゃんと始めんと冗談抜きでやっと手に入れたアパートで心臓発作、なんて事になるで。"

って、クライアントにちょっと厳しいアドバイスしたらですね、、、

"これから10年先も生きていられると思っとらんから、いいねん。したくない事はせんワ。"

と言い切った。

あー、人生の目的がなくて投げてるんや、と思った。

不安定な生活が長かったせいか、先の事が考えられない、こうしたい、ああしたい、が無いんやね。

だから、ドラッグも止める気力ときっかけが無い。

ある日、アパートで心臓発作でも起こして倒れるんちゃうか、とオバンはマジで心配になるけど。

新しい出発、とばかりは言い切れない要素がいっぱいあって、ワタシはまた心配のタネが増えた気分ですワ。

家具の銀行???