心臓カテーテル検査というのは、それなりのリスクのある検査だそうです。検査を承諾した時に説明を受けたのですが、改めて検査のリスクを改めて読むと怖くなります。

 

心臓カテーテル検査が必要と宣告されて3週間。結構、忙しくしていました。震災の後の職場の後始末もあったし、物資の受け取りや配送などやることはいくらでもありました。災害の前に立てていた海外出張の予定があって、取りやめようかとも思っていました。でも、5月になって事態も少し落ち着いたので予定通り出かける事にしました。もちろん、主治医の先生には許可を得ての上です。

 

出張中も、心カテーテル検査の事が頭から離れなくて辛かったです。心臓カテーテル検査は検査中の死亡率は0.1-0.3%、重篤な合併症(脳障害、脳塞栓、脳血栓、重篤な不整脈、多量の出血など)が生じる可能性が約1%あるそうです。実は知り合いに心臓カテーテル検査中に「重篤な合併症」を経験した人が2人もいたので緊張してました。333人-1000人に1人は死ぬって言われると怖くないですか?

 

出張も終わって5月の初旬、検査の日になりました。一泊の入院になるので、朝からシャワーを浴びてくるようにと「検査の手引き」に書いてありました。部屋は個室でシャワー付きですが、今日は入浴が出来ないらしいです。

 

自宅を出て自分で車を運転して9時過ぎに病院へ到着しました。震災からもう1か月経つのに正面入り口はまだ使えない状態です。エレベーターで病棟に直行してナースステーションに入院の書類を出したら、すぐに病室に案内されました。個室をお願いしていたので、狭めのビジネスホテルのシングルの部屋ほどの広さがあります。ユニットバスとトイレがついていました。実は部屋にトイレがあるのは結構重要でした。

 

10時ちょっと前に看護師さんが来ました。血圧と酸素飽和度と体温を計って、検査着に着替えるように指示されます。検査着は腰ぐらいまでのプルオーバーですが、肩がべロクロテープになっていてすぐに胸部が露出できるようになっています。カテーテル検査の術前の説明で、もしカテーテルが心臓に引っかかって抜けなくなったら!開胸手術になる可能性がありますというのを思い出しました。めったに無い事らしいので、大丈夫でしょう。

 

ズボンはパジャマズボンでも大丈夫ですよと言われたので、持参したパジャマのズボンに着替えます。アメリカの大学病院だと横を紐で結ぶ方式の検査着で下は下着を付けないという情けないスタイルでしたので一安心です。

 

そのまま待っていたのですが、なかなか看護士さんが来ません。やることも無いので、病室の窓から外を眺めていたら、病院の近隣の家の屋根には軒並みブルーシートがかかっているのが見えます。良く見ると病室の柱や壁にも亀裂が残っていて地震のすごさを物語っています。新しい家だから大丈夫という感じでもなくて、一区画が全部被害を受けているように見えます。断層が走っているんでしょうか?

 

11時ぐらいにようやく看護師さんが来て、検査の準備をはじめます。カテーテルを挿入する右手首には表面麻酔のシールを貼ります。左の前腕部の外側は点滴のためのカテーテルを入れてラクトリンゲル液の点滴を開始します。これは心臓に入れる造影剤が腎臓に負担をかけないために、一晩かけて1500cc点滴すると説明がありました。採血とかで針を刺す肘の内側とかじゃなくて動かない前腕だし、柔らかいカテーテル針なので動きは割と自由です。

あとは検査の予定時間の2時まで何をしていても良いとの事でしたが、トイレに行くのにも点滴台(ガートル台)を転がして行く必要があります。ガートル台って正式名称はイリガートル台で英語だとirrigator(灌漑設備)なんだよねと余分な知識を思い出してしまいます。術前投与の抗生物質を一錠、飲んでおくように渡され、ペットボトルの水で飲みました。昼食は禁食だけど十分に水分を補給しておいてくださいと言われたので、多めに水を飲んで検査を待ちます。

 

本当に暇なのでkindleにダウンロードしておいた映画(GIジョー2)を見てました。こんな時はアクションとか娯楽作品に限ります。もしもカテーテル検査中に突然死したら、最後に見た映画がGIジョーというのもなぁ〜なんて思わないでもなかったです。だからと言って、こんな状態では難しい高尚な映画は見ても頭に入らないです。

 

 

点滴をしてるし、水を多めに飲んでいるのでやたらにトイレに行きたくなります。検査着の上着の下は裸なので寒くて、余計にトイレが近くなって困りました。点滴のルートが繋がっているのでトイレに行くとユニットバスの外にガートル台が残ります。個室なので、最後はドアを開けたままでトイレに行ってました。

 

1時ちょっと前に、「あと1時間か」と思ってトイレに入っていたら、「検査が繰り上げになったので、お迎えにきました。」と看護師さんが来ちゃいました。「まだ、心の準備が、、、」と思ったのですが、遅れるよりは良いのかもしれません。

 

カテーテル検査室までの移動は車いすでした。初車いす乗車でしたが、目線が低いので意外と速度を感じます。手術室に良くあるというか、手術室でしか見ない電動の折り畳みドアを二つ抜けるとそこはカテーテル検査室でした。