高校の修学旅行。
バスはやぶちゃんといっしょにすわっていた。
しかし、初日から体調の悪かったやぶちゃんは
バスのなかで移動の途中に寝入ってしまった。
バスは目的地についたが、もう少し寝させてあげようと
そのままにしてあげた。
少し楽になってからバスをおり、合流してくれればいいと。
それから僕たちはやぶちゃんを除く何人かで観光にでかけた。
正直にいうとやぶちゃんのことは忘れていた。
景色をみたり、お土産を買ったり、おいしいものを食べたりした。
「あ~、楽しかったなあ」と集合場所に戻ってきたときには、
やぶちゃんの「や」の字も頭になかった。
集合場所にバスは停まっていなかった。
車庫に行ったとか何とかで、少しのあいだバス待ちとなった。
クラスごとにならんで、友達と話をしていると、バスがようやくやってきた。
そのバスが近づくにつれて、みんなの視線があるところに視線は集まった。
やぶちゃんがまだ寝ていた。
全員が駐車場にならんでバスを待っているなか、
ひとりなぜかバスに乗って現れたその姿は、「驚き」だった。
「なんでバスに乗ってるんや?」(僕が起こさなかったからだ)
「なんでまだ寝てるんや」(僕が起こさなかったからだ)
みんなやっぱり驚いていた。
こうしてやぶちゃんの、人よりも2か所思い出の少ない修学旅行は幕を閉じた。