この世界は広くて 丸くて 一つ。



なのに、人はどうして 箱の中で生きないと



生きてはいけないんだろう・・・・・・??




きっと価値なんて、人の優しさとか苦しさを計るものでもない




そんなクセに、結論を出したがる。



数字を出したがる。



何が嫌いで 何が好き



何処が良くて 此処が悪い




そんな意地悪な世界が嫌いだった。



でも、空はソコにあった。



いつも空は変わらなくって、広くて 優しかった。



自分を受けいれてくれた。




人が死んでいくとか当り前でも


雨は、一緒に泣いてくれたし。輝いて飛び出せた。




でも、やっぱり朝は嫌いだね。


夜が癒してくれること。闇が優しいこと。



私は、知ってしまっているから、余計に辛くなる。




でも、気付いたらいるんだ。




ココ  に 居る  ん    だ _____





何が自分を理解してくれるだろう。



誰が自分を抱きしめてくれるだろう。





きっとそれが  「現実」  じゃなくてもいい。



「理想」  でも  人間  は生きて いけるよね・・・・?







『だって、"ココ"まで来たじゃん"』




なんで一言が、こんなに愛おしく感じられるんだろう。



少しずつ、朝の景色が人の足跡にかき消されて



美しい木々の声 や 小鳥のさえずり は






私の心から消えてしまうのに



君の声はなんとなく 記憶の片隅を支配してた。





教室で少し待ってみれば何か、変われるのかな。





でも、そっと自分の中にいる  "誰か"  が言うんだ







_________待ってても誰も来ない。









"どうして・・・・?"



"どうして?? 分かってるでしょ??  




______人ハ裏切ルンだヨ。




置き去りにされた記憶が  



母親に見捨てられた その身体 が



"今"  を 支配してるって  知っくせに"





_____言うな・・・・・・言うな!!




違うんだ。




お母さんは、見捨てたんじゃない。



あんなに優しかったんだ。



私を置いて行ったんじゃない。



"私が" 置いて行ってしまっただけなの・・・・・




きっと、そう。 そうなんだよ。




きっと     きっと     なんで??  なんで なんで






「・・・・中原さん?」






ふと自分の名前を呼ばれたことで、私は、我に返った。




「教室にいたんだね」



驚きのあまり、無意識に目が見開いた。



心臓の音が、私の細胞のひとつひとつを破壊するほどの



勢いで、聴覚を刺激した。







この音が反響したら、きっと 私の感情が



君にバレてしまうだろう。



そんな期待をした。





「・・・アッ、うん。行こうと思ったんだけど・・・・」




「あ! 遠慮なんてしなくていいんだよ、別に」



「でも、いきなり学校で練習し始めたよね・・・?」



「んー・・・・まぁ 僕も色々あってね」



君の表情は、にこやかだったけど、影が見え隠れしていた。




「あ、あのね。えーと」





私は、とにかくこの時間を大事にしたかった。




「黒板のラクガキ、消そうと思って・・・・」





1秒でも長く ただ長く つまらないことでもいいから




「あー、あいつら、また描いたのか!!・・・似顔絵が何気、似てる(笑)」




一緒に居たくなった。




「・・あ、黒板消すの嫌いなんだよね~」





この会話を続けたくて 言葉をかき集めて





「・・・・なんで?? こういうラクガキは、無視したら?



中原さん、偉いよな。真面目だからな」






必死に  "声"  を 探した。




「え、だって、背が低いから上のほうがね、消せないの・・・」




誰に理解されたいんだろう。





「ん? 身長いくつ??」




誰に理解されるだろう。




「150cmも超えてないんだよね~・・・」




このモドかしい   世界の   感情。




「うそ!!?? まぁ男と女じゃ成長の度合い違うかぁ・・・」



きっと  君  と  私 の間 には




「私の場合、異常なんだけどね(笑)まぁ、まず森下君が高いんだと思うよ」




優しさしか  ないかもしれない




「じゃぁ、手伝うよ   黒板消し、貸して」




馴れ愛だけかもしれない。




「えッ・・・あ、はい、どうぞ」




でも、この無力も心地よくなってきた。




「あ、なんなら僕、全部消してあげるし」




いつか・・・・身を任せていたら、




「あ、ありがとう。なんかやらせちゃってごめん」




幸せになれるんじゃないかって





「謝らなくていいよーー!! 別に」





君の声が 綺麗な世界を くれた

 



「じゃぁ、ありがとう、ギター頑張ってね」





素敵な物語って錯覚してみる。





「おう、ありがと」




私は、窓をそっと窓を開けて言った。







「今日は、晴れるみたいだよ」



____今日は本当に、晴れそうだ。



秋晴れの空に、身を任せてみた。







やわらかな風が吹いた。



振り絞るように 目の前の 光 を 手繰り寄せた。







私、何してるんだろう。







何に期待してるんだろう。


ずっと、君が私を見ていてくれたか・・・なんて____




分からなクセに、勘違いして、希望を抱いてみたり




ずっと私は見てた。キミを見てた。







キラキラ輝いてみえて、



影だと思ってた"自分"の存在が、暖かくなった。






君の知らない間に、私の恋は成長しすぎたね。




綺麗だったから、志音の"オト"






「・・・・ギターの音、聴こえてて」




君は少し戸惑ってた。




「聴こえてたんだ。中原さん、へぇ~ギター聴けるんだね」




私は、恥ずかしさを隠すように、下向きに、うなずいた。



君は、手を私のほうへ突き出した。




その手から、目を離すことができなかった。





やわらかくて、血管に流れる赤い血液が





・・・・・・・滑らかに通う腕






まるで、私を誘い込むような、魅力的な肌を





私は、天使のように心を穏やかにされた。



「・・・・あッ、森下君ってバンド組んでるんだよね」



「うん。・・・あのさ、ちょっとギター貸して」




ふと私は、手に持っていたエレキを



まるで自分のもののようにしていたのに気付いた。



なんだか罪悪感で、頭がいっぱいだった。




そうか、だから、手を私のほうに・・・・・



恥ずかしいなぁ



「僕ね、色々あってさ。まぁ今は、一人でね」



そういって、君は机に腰をかけた。




美術室独特の油絵絵の具の香りは



私と、もしかしたら君の鼻から脳裏まで




懐かしさと心地よさを与えた。



そして、探してた"声"を聴かせ始めた。




英語だった。よく意味の知らない。




でも、ココに意味なんて必要ないんだ。




ココには、



君がいて、 私がいて、 音が合って、 声が逢って




優しかった。楽しかった。少し悲しかった。




思わず、私は





「・・・・・・・好きなの?」





何がだろう。何に叫んだんだろう。 どうしていったんだろう。




凄く恥ずかしくなった。 謝ろうかと、とっさに思った・・・・




「あ、あの・・・・」



「好きだよ。凄く大好きなんだ。」






好きなの?  好きなの  すき  スキ?・・・・・・・




「僕は、自分の吐き出す音が好きなんだ」




そっか・・・・    音   か




永遠の愛なんてないけど、



人って求めるものがあるから、儚いんだろうね、志音。






そうだよね。



「そうだと思う。朝早く学校まで来て、弾いてるくらいだしね」




私は、なんとなく笑って言ってみた。


素直に出た言葉だった。



「・・・・・でも、中原さんがいるとは思わなかった」



「私は、いつもこの時間には学校いるけど」



「あ、そうなの?? じゃぁ、また明日ここ来れば?」




いいの??   本当に??  いいの??  笑っていいの・・・・??






「明日、休まなかったらね」




まだ私には、勇気がなかった。




愛を表現する術も知らなかった。ただこれは、恋だと感じてるだけ。



「・・・・んー休んだら、どうしようか」



「なんなら賭けてみる? なんて(笑)」



少し諦めの混じった言葉を吐いた。 闇を魅せる光を浴びて




「中原さんは、来るよ」




きっと、来るよ。


なんか、そんな気がする。



だって、"ココ"まで来たじゃん





君の言葉は、私の言葉に同化するように



私の言葉は、秋の寒さに飛び出すことを見失った。



愛があっても、言葉は無意味でした。





街は、なんとなく灰色じみた色をしていた。




秋だというのに、朝露の冷たさが心を凍らせていた。



私は、秋を言えば、芸術の秋やら、読書の秋。




一人が好きだった。




孤独が好きなわけでもないれど。




今日は特に、朝の冷え込んでいた。



毎日のように学校の玄関の扉が開くのを待っている。



_________待ってても誰も来ない。




ただ 吐き出す 息 が白く 私を 受け入れて



扉が開くのを待っていた。





ようやく、少しは人の温もりの残る教室に入れた。



窓側の机で、冷たい窓ガラスに頬を付けた。




こんな時、思うんだ。




自分、いつからこんなに・・・



無力に怯えだしたのかなってね______




そしたら、微かに聴こえたんだ。



伸びのある音__"音"



確かにそれは、リズムを刻んでいた。



激しい音。ノイズのように突き刺した。でも、雑音じゃないんだ・・・・



どこか・・・・愁いを帯びた・・・・・・



エレキの"音"



導かれし声が、重なった。どこかで聴いたあの声。


いつ見つめていた声。



綺麗なの??私が汚れているの??



山を彩る紅葉のような・・・儚くかすれた愛しい叫び。







君の声 吐き出す音 







私の肌を 突き抜けて 浚っていった・・・・



私の心を買っていってしまったよ。




まだ読みかけだった本のタイトルが思い出せない。



読もうと思って、寒さを堪えて、早く来たはずなのに。








打ち破られた。 輝く音に。





しおりを何処に挟んで、本さえ何処にしまったのか_____






何処からなの??


君は、その吐き出す音を何処に連れていくの??





私は、冷える足を引きずりながら、探した。



音楽室も。特別教室も。走り回って。




自分の足音が響いたって関係ない。




そこにまだ"美しい光"が叫んでる。




「ココにまだ在る」




段々と音に近付いてきた・・・・・




「あと少しでたどり着く・・・・、扉を開けなきゃいい」



その扉を開けなきゃいい。



私が"ノイズ"にならなければいいんだ。



見つめていれば、気づいてくれるのかもしれない。



こんな自分に希望を抱いたりして・・・・






私は、一つの部屋の前で足を止めた。





二階の西側のつきあたりの、美術室。




「美術室・・・??あれ_____」






さっきまで音が聞こえてたのに。



途切れた。  見失った?  ドコカ 消えた???




私は、そっと廊下側の窓から、中の様子をうかがった。





_________待ってても誰も来ない。






脳裏に焼きついた感情だった。



自分の見る世界は、やっぱり




現実。でも、非現実の集合体を求めてた。






美術室は基本、ドアが開いていることが多かった。




その扉を開けて。



飛び出せる?  飛び立てる?  振り払ってみてさ。







やわらかい風が突き抜けた_____




勢いに任せて。カーテン揺れて踊るように。しなやか・・・・



そして、そこにあったんだ。




求めてた"音"の残像。



探してた"声"はなかったけれど。



丁寧に磨かれたエレキ。



まだその優しさが温もりになって、溶け込んでいた。





少し 麗しき音へ あと少し その光へ・・・・




私は、いつの間にか、笑顔が止まらなくなって




エレキをかき鳴らした。 そっと汚れぬように



指を音に絡ませて・・・・・








激しく 激しく 優しく 貫くように







これが君に買われた心。


この楽しさが、君なしで愛を育ててく。





そして・・・・・







「なにしてるの??」




え______









探し・・・・・てた・・・・・声が・・・・後 ろで  してた








キミの声。 キミの声。




「あ・・・・えっと・・」




言葉が見つからず



声は何も役に立たなかった。










自分、いつからこんなに・・・



無力に怯えだしたのかなってね