少し前に久しぶりにアイ君と2人で電車に乗った。あれこれ気になっておしゃべりしたり笑ったり見ず知らずの人に話しかけたり…決して落ち着きがあるわけでは無いけれど、一応20分ほどの道中私の隣に座り続けていられるアイ君の姿を見て、初めて2人で電車に乗った日のことを思い出した。
まだうちに来る前の交流中、朝施設に迎えに行ってベビーカーに乗せたアイ君を電車でうちに連れて来て、夕方また電車で施設へ送り届けた日のこと。施設での交流2日、そして施設の保育士さんと共にうちに遊びに来てくれた1日を経て、初めてアイ君と2人きりで過ごした日。2歳児の何たるかを全く分かっていなかった私。
乗った電車が動き出すと同時にベビーカーからおりたいと身振りと声で必死に訴えるアイ君、声も大きくなってくるしそんなにおりたいなら…とベルトを外してあげるや否や、びっくりするほど落ち着きがなく歩き回ったり床に座ったり座席の下に潜り込んだり、なんと動きの素早いこと。もちろん抱っこは全力拒否。床はあまり綺麗ではなさそうだし、周りの人の目も気になるし…とにかく危険だけは回避しなければと着いて回りながら、途方に暮れた。通勤ラッシュが終わって電車が空いていたのが救いだった。
帰りの電車ではベビーカーのベルトは断固として外さずに、小さなおもちゃや絵本やおやつをたくさん詰め込んだリュックからあれやこれやと繰り出して、必死にご機嫌を保っていた。油断すると泣きそうになったり声が大きくなって来たり。ひと時も気が休まらない。そんな最中、電車がとある駅で停まってから一向に動き出さない。ドイツではよくあることだけど、停まっていた15分程が永遠のように感じられた。それでも1時間弱の電車をベビーカーから下ろさず機嫌を損ねずなんとかやり切った。2歳になったばかりの小さな子供を連れて歩くってこんなにも大変なことなんだと、軽くショックを受けた思い出。
無事に夕方施設に送り届けた時のこの日のお別れは、アイ君は号泣で私も泣かずにはいられず…一人での帰り道は、翌日アイ君を引き取りに行くのが待ち遠しくてしょうがなかった。
…とそんなことを思い出しながら、なんだか感慨深くなってしまった。
もうすぐあれから5年も経つ