鉄血のオルフェンズ

の翌日に

三鷹文化センターで行なわれた
福間洸太朗さんの
ピアノリサイタルに行ってきました。

福間さんのことは
YouTubeの動画で偶然知りました。

スクリャービンのピアノソナタ5番の
解説と演奏動画を見て

唖然としたのです。
まさに唖然
という言葉がぴったりなほど

魂すり減らして弾いてる?
みたいな

物凄い気迫というか
強烈なインパクトでした。

リンク貼りませんので
興味のある方は検索してみてくださいね。


さて、今回のピアノリサイタル
何故行こうと思ったのか?

それはテーマが
Leidenschaft〜情熱〜

だったから。

これは福間さんにぴったりだと思い
どんなLeidenschaftになるのか
興味があり行きました。

福間さんはプログラムノートを
ご自身で書いています。

CDのプログラムノートも
ご自身で書いていたと思います。



Leidには「苦悩」という意味があるそうで
情熱の裏側にある苦悩も感じられる
選曲のようです。

オープニングの山田耕作さんの「青い焔」
私は全然知りませんでした。
福間さんも今年に入って知った曲とのこと。

ベルリンと東京
山田耕作さんも福間さんも
東京で育ちベルリンに留学した。
そして今年はベルリンと東京の
友好都市25周年記念とのことで

福間さんが
ベルリンと東京で弾きたかったとのこと。

幻想的で焔のゆらぎ、
ロマンティックな要素や、激しい要素が
折り込まれ
儚く消えていく

そんな曲でした。

続いて福間さんのトーク
今回のテーマと選曲について
お話しされました。

ベートーヴェンは恋多き人生だったが
全部片思いだった
まさに苦悩の人生を歩んだ人だったと。

ベートーヴェンの曲の中から
福間さんが選んだのは

リスト編曲の、遥かなる恋人へという歌曲
そして、今回のテーマそのもの
熱情ソナタ
これは有名ですね。


シューマンからは
歌曲集ミルテの花より「献呈」リスト編曲
この曲は結婚前夜に
クララに送った曲と言われています。

そして最後を飾る「幻想曲」
クララと結婚するまでに
クララの父親の反対に遭い
お互いに会えない状態が1年続いたそう
その会えなかった期間に作られたのが
この曲だそうです。

会えない苦悩と、クララを思う熱い気持ち
シューマンの妄想広がる(幻想曲ですから)
大好きな曲です。


全体を通して言えることは
福間さんはご自身の見せ方を充分知っている

意識しているかどうかは
分かりませんが

まさに
情熱的な演奏
(ご自身でも、僕は体がすごく動いてしまう方なので、と以前仰っていました)

その演奏の後の
紳士的な立ち居振る舞い
王子様です🤴

その立ち居振る舞いから
福間さんの「美」に対する
意識が感じられます。

私はいつも
最後に福間さんが観客に向かって
片手を大きく伸ばし
それを胸元に引き寄せ
お辞儀をするのを見ると

バレエダンサーを思い浮かべます。

まさに王子様を
全力で演じ
自分の最高のパフォーマンスを見せた後の
プリンシパル

隣の方は
福間さんが弾く熱情ソナタを
前々から聴きたくて
楽しみにしてきたの、と話していました。

第1楽章から
涙が出てきてしまった
と言っていました。

第3楽章の最後
情熱と苦悩が交錯し、疾走し
そのまま突き抜けていく
もう涙が止まらなかったようです。

何故私は隣の人の実況中継をしてるのか(笑)

何故こんなに客観的なのか。

それは、誤解を恐れず言うと
奏者の臨場感に共鳴しなかったから
だと思うのです。

演奏は素晴らしい
技術も素晴らしい
情熱も感じるし
苦悩も感じる

では何故
何故心が動かないのか。

何かそれを妨げる要素があるとすれば
それは視覚情報が大きいかもしれない。

私はきっと
奏者の動きから感じる
奏者の状態や臨場感
それと出している音とを
頭の中でリンクさせている

そして
私が感じている
曲の待つ色合い、意味合い
その曲から感じるイメージが
お互い邪魔することなく
重なると
その曲に浸り
曲の良さを感じ
感動するのだろうと思いました。

なので、福間さんの演奏スタイルが
良い悪いではなく

これは好みの問題なのです。

批判や否定ではないのでご理解ください。

この曲が聴きたいと思い演奏会に行く。
でも、曲ではなく
奏者の方に心が持っていかれてしまうと
頭の中に残るのは
演奏した曲ではなく
奏者になってしまう

奏者と演奏が分離されてしまう気がします。

私が好きなのは
奏者と演奏している曲が
同時に存在する状態
そこに私も混ざっている感じ

三つの円があって
奏者、曲、私だとすると

それぞれ重なる部分があって
そのバランスが取れている状態

重なる部分が大きければ大きいほど
感動大きいけれど

三者が統合され一体となっている部分が
完全に一致してしまうと
一つの円になってしまい
それぞれの要素が消えてしまうので
それぞれを感じることができなくなってしまう。

ちょうど良い重なり具合が
人それぞれあるのかもしれないなーと

頭の中で想像してみる。

最後のシューマンの幻想曲は
阪田知樹さんに弾いて欲しいな〜と
最初から最後まで思ってしまいました。
多分、良いバランスになると思うのです。

福間さんのリサイタルのアンコール曲

シューマンのアラベスクは
素晴らしかった!

ショパンのプレリュード第24番は
好きな曲だけど、
福間さんの演奏はちょっと好みではなかった
わたしには熱すぎる。

クララ・ヴィークのノットゥルノは
しっとりと終わり

アンコールだけでも三部構成のようでした。

いろいろなことを思う演奏会でした。

来年1月に福間さんの
チャイコンを聴きに行きます。

なんだかんだ言って、王子様を見に行く私。
やはりスター性に惹かれているのかなー。

自分が満足するまで、納得するまで
行きたいと思ったら行こうと思います。