『名前をなくした女神』の再放送が今日終わってしまいました。
本放送を観ていないので、今更って感じなのですが、すごい引き込まれてしまって、毎日の放送がすごく楽しみで、一日中このドラマについて思いを巡らせてしまうほど。
面白かったです。


まあ、ようするに、同じ幼稚園に通わすお母さんたちの戦いみたいなドラマ。
主人公が杏さん演じる秋山侑子で、彼女を取り巻くママたちがあと五人います(安達祐実も入れて)。
彼女がいつもそういうねたみとかやっかみの標的になってしまうのだけれども、私はどうもこの侑子が可哀想とは思えなくてね。
なんと言うか、あまりにも物事知らなすぎ?とあきれてしまいたくなるくらい、思ったことはすぐ言ってしまうし、ママ友の安野ちひろ(尾野真千子)が言うように、あまりにも無神経なところが多々あると思うのよね。
でも、かと言って、ちひろも侑子の子供を誘拐しそうになったりしたから、あとで侑子とちひろが仲直りをしてしまうのもちょっと理解できなかったりもするのだけれども。

そして、ママ友のちひろは、実は侑子と小学校のときに出会っていた仲。
お父さんの仕事の関係で転勤が多かったちひろは転校先でいじめにあい、そこで助けてくれたのが侑子だそうなんだけど、その話をしても侑子は覚えていなかったみたいで。
いじめられたときに助けてもらったので、今度はちひろが侑子を色々助けてくれようとしているのだけど、その報われないことと言ったらあせる
おまけに夫は、幼少期に母親に愛されなかったことから、多分家族との接し方が分からず、ちひろを精神的に追いつめて行くすごく嫌な夫なのだけれども、ある事件をきっかけに心を入れ替えて、それからの忍耐強さに、なんと素晴らしい夫なんだと見る側も印象が変わってきてしまった。

そして、一番憎たらしいのは、倉科カナ演じる進藤真央。
夫婦ともに高卒で旦那さんはトラックの運転手なのに、無理して高級マンションに。
子供にお受験させようとするんだけど、子供の受験に親の学歴が関係するということを知り、お受験を諦めステージママに転向するも、うまく行かず結局お金は出て行くばかりで夜の仕事に。
なんつうか、やっぱりお育ちって出るのねって思ってしまうような役で。
身の丈に合わない生活を必死でやっているから、どんどんほころびが出てきてそのほころびを隠そうと周りのお母さんたちにすごく陰険な意地悪をする。
子供(谷花音)が一人で夜遅く涙を流してお母さんの帰りを待っている姿なんて本当に可哀想で。
それは子供にも伝染して、子供も侑子の子供をいじめたりするんだけれども(幼稚園でいじめがあるなんて、今の時代はそうなのかしらね?)、旦那さん(五十嵐隼士)がえらく出来た人で。
私だったらこんな奥さんととっとと離婚しちゃうのに、最終的には奥さんを目覚めさせて栃木の故郷へ帰って行くという、そこで救われた気がしました。

沢田利華子(りょう)は、最後まで侑子の味方であってほしかったなあ…と思ったけれども、最後の最後に、出すように頼まれていた健太(侑子の子供)の願書を破ってしまったり、健太の合格を勝手に学校に電話をして辞退してしまったり。
ただ、夫と離婚の話が進んでいたので、幸せそうな侑子を見て、イライラしたというのはすごく良く分かるけどね。
でも、やっぱりやってはいけないことだから。
それをきちんと見ていて、母親を正しい道へ導こうとする子供達が、そんなことってあるかしら?っとも思ったけど。
今井悠貴君の演技に感動してしまいました。
さすがに最後、お人好しの侑子も利華子のことは許さなかったんだろなと思うし、お互いそれで良かったんでしょうね。

今回のお母さんたちの中で、私が一番好きだったのは、本宮レイナ(木村佳乃)でした。
すごい自分への誇りを常に持ちつつ頑張っているお母さんの姿が好感もてました。
確かに、経済的にも学歴でも仕事(読モ)でも表向きでは成功しているように見えて、本当に「セレブママ」で皆からの憧れの存在で、彼女のそばにいることによって自分が余計に惨めに思える進藤真央は気の毒なんだろうけど、たまに高圧的に聞こえるレイナの言葉はやっぱり正しいとも思うし。
それ故に、「お母さんの見本」にならなきゃいけない心の葛藤みたいなものと相当闘っていて、面接で
「お母さんみたいなお母さんになりたい」
と子供に言わせるお母さんは、やっぱり素敵だと思います。
それに、小林星蘭ちゃんの、受験のプレッシャーと闘う演技もすごく上手でした。

幼稚園児なんて、頭の良い悪いも、性格の良い悪いも、まだはっきりわからないと思うんだよね。
ようするに、子供の能力をつぶすも伸ばすのも親次第なんだなと、そういうことが良くわかるドラマでした。
そして一見、狭い「お母さん達の世界」で、次々と起こる陰険な事件…と思いがちなんだけれども、考えてみたら、「お母さんたちが中学とか高校とかの時代」にも子供達の間で同じような出来事ってあったんじゃない?と思ったりもしてね。
でも、それは家庭に入ってしばらく家にずっと籠っている生活をしていると、そのことをついつい忘れてしまう…ということと、子供を持つと自分だけじゃなくて子供にまでその母親界のドロドロした危険が押し寄せてくるというのが、余計に恐い。
ようするに、いつになっても、女の世界って恐いってことなのよね。

まあでも、最後は狭い幼稚園の世界から解き放たれて皆、それぞれ幸せそうになったので良かった。
小学校がになってまた分からないけどね。

最近は、ごく一部の地域の公立校で「小中一貫校」とかいうのが出てきてるみたいなんだけれども、9年間も同じメンバーが同じ学校にいるかと思うと、子供たちの世界も狭まる気もするし、親達なんて恐ろしいなと思ってしまうのは私だけでしょうか?
そうなったら、やっぱり、なるべく似たような家庭環境の家が集まる学校へ、お受験させる家がますます増えるんじゃないかな?


明日からは『美しい隣人』をやるそうです。
これも面白いんだよな。
『サキ』の方はチラっとしか見てないけれども『美しい隣人』に出てくるサキさんとは別人の話なのかしら?