入学式も平凡に終わり─中学の時と同じように、頭の寂しい校長の話を重いまぶたと格闘しながら聞いていた─それから、新しく始まる生活を思った。


勉強のことは大丈夫。特に心配しなくていいし、オープンキャンパスだって、夏ごろに考えれば済む話。
部活は今から気合を入れて、今までとは少し姿勢を変えてしっかり取り組む。友達もきっと、いろいろあるけれどなんとかなるだろう。


問題は恋だった。

何かにかけて「好き」の気持ちを考える。
みんなが特別にする「好き」。たったひとりの異性に抱く「好き」。


感じたことのないものだった。
感じたことがあるふりをしていた。
でも実際何か物足りなかった。

友達に抱くものとは違わなければいけない?
特別にしなければいけない?

まだそうしたいと思える相手はただのひとりとしていなかった。

中学の時も彼氏はいたし、告白もされたけど、別に特にふつうと変わらず、ただ楽しくすごしたくて一緒にいた。
それでも一カ月程度で別れるのが関の山だった。


心は痛まない。人にさよならを告げるのは得意技ともいえた。


中高一貫教育でも、高校からは一般入学者と、スポーツ推薦枠での入学を決めた生徒が増える。

新しい人間。新しい関係。


何か起こるかな。

何か刺激を求めていた。傷つくことのない刺激。

ただ漫画や小説のように、少し劇的になれる世界。


散り果てた桜が舞いかえる。髪は揺れ口元にふれた。









学校に着く。
しかし実際、あまり顔ぶれは変わらない。
中高一貫教育の学校というのも、今ではめずらしくもなんともない。

「久しぶりーっ!」

指定された教室にたどり着くと、何人かがそうやって声を掛け合っていた。


高校に上がった実感はほとんどないけれど、何か制服を少しかすめる春の風が、前よりもすがすがしかった。


「久しぶり、梨英(りえ)」

顔をあげると、中学の時ずっと同じクラスだった真子(まこ)がいた。

「真子、久しぶりー。ほんとこの制服で来るの抵抗あったんだけど」

口元に笑みを浮かべながら返すと、真子も同じような笑顔を見せた。

「ねっ。改めて自分見て、ないわーって思った。」


春休みにしたこと、お互い感じたこと、これからのこと。

何気ない話を重ねるうちに、見慣れない、スーツできめた男性教師が教室に入ってきた。

「あれが担任の先生かな?」

また真子と同じクラスになれるといい。
そう思う傍らホームルームが始まった。









まず高校生活でしたいこと。

勉強では上から五番以内に入ること、大学を見据えてオープンキャンパスに忘れずに行くこと、部活に励み実力をあげること、恋をすること、友達とたくさん遊ぶこと。


そんなに多くはないし、実現不可能なことは何ひとつないように思える。

入学式からやる気をなくしては、大切な一回限りのこの青春を無駄にしてしまうし、それにそもそも、高校生活を「青春」にするかは、自分次第だと思うのだ。








はじめまして。
りえです。

これから書いていく物語では
「梨英」と漢字表記になっていますが、

りえって、ひらがなで呼んでくださって全然かまいません!

私は今はたちですが、15歳の時からの私の人生を、恋愛の話を軸に書いていこうと思います。

いくらか書きためた分があるのですが‥

定期的な更新頑張りたいと思います(*^_^*)


すべて実際の話ですが、ちょこちょこ便宜上呼び名くらいは変えてありますし、みなさん仮名です。

ですからフィクションと思って頂いても大丈夫です。


何か質問などありましたら気軽にコメントしてください(*^_^*)


ではでは(*^_^*)






(顔文字はこれ→(*^_^*)しか使わないと決めました。なんとなく笑)









何か、刺激を求めていたと思う。
涙は止まらない。後悔も終わらない。
昔流行った、失恋やだめな男に振り回される曲を聴いては、今でも涙を流す。
雨の日が増えた気がする。気のせいだろうか。






桜は入学式を前にあっさり散った。
「ほんとにださーい。この制服」

春休み、初めて制服を着て鏡の前でため息をついて以来、二度目に着た瞬間に出た言葉だった。

この制服を着たくないがために、何度も小さな抵抗を試みたけれど、結果は同じだった。

あと三年間の、今日から始まる高校生活は、ほぼこの地味な制服とともに流れていくのだ。

鏡の前で何度も、なんとかしてこの服をかわいく見せられないかと考えているうちに、時計の針は七時を指した。

「やだ、行かなくちゃ。」

母親に何気なく声をかけ、同じようにさえない学生かばんを持って家を出る。玄関脇に止めてある最近買ったばかりの茶色い自転車に鍵をさすと、はずみで小さく自転車のベルが鳴った。

日差しはあたたかい。こんな制服でも、まだ希望はあるということ。

そう、素敵な、高校生活。その希望。

ふいに腰を上げ、足を伸ばしスピードをあげた。