彼らがいるのは当たり前のことだが、真子との約束に遅れるほうが私には一大事で、一瞬本当に剛のことなんて頭から吹っ飛んでいた。
グループにはまたシュウがいた。
「お、梨英、はよ。」
「おはよう・・」
シュウと向き合う形で、私は剛たちのグループの中にいつの間にか混ざっていた。
「今日応援団の集まりあるよな?」
シュウが言った。
「あ、そうだね」
シュウのとなりにはイクセがいた。
「あ、おはようイクセくん。今日来る?」
イクセに初めて話しかけた。剛のほうは見ない。
「あー行くいく。」
これは前から知っていたことだが、イクセも今は辞めてしまったけれど、かつては弓道部に所属していた。つまり兄の後輩だった。
「弓道部の三こ上にカズヨシってひといたでしょ」
私は兄の名前を出した。
「うん、何。知り合い?」
弓道部と聞いて剛も顔をあげた。
それでも剛のことは見ない。
「名字、私と一緒でしょ?私のお兄ちゃんだよ」
「えっ!!マジ?!!」
剛とイクセは同時に言った。
「まじまじ。よく聞いてたよ、イクセくんとかのこと」
そう言って、初めて剛としっかり目を合わせた。
目が合うと彼は、驚いた表情から、またあのくしゃくしゃの笑顔を見せた。
「まじかよ、すげー。」
私は少し口元をゆるめてほほえむと、視線をイクセに戻した。
「なんかすごいよね、偶然」
そのあと電車に揺られながら、私はシュウと団長同士の連絡のためにアドレスを交換した。結局副団長になったというイクセとも一応交換した。
剛とはもちろんしなかった。もう目も合わせなかった。