剛とは毎日何通もメールした。

どんどん仲よくなった。
けれど剛は、遊びに誘ってくれることも、ましてや好きなんて言ってくれることもなかった。

きっと仲のいいお友達だな。

そう思っていた。


かく言う私も、実際剛のことが好きかと聞かれれば、「よくわからない」というのがその答えだった。

人を好きになるということが、私の中でまだはっきりと輪郭を持っていなかった。


剛のアドレスを聞いたのも、気があるふりをして好きにさせたかったのかも。

そんな気さえし始めていた。



応援団としての活動も、近づく体育祭に向けて準備に余念がなかった。

うちの高校は、体育祭が二日間ある。
というのも、一日目にいろいろな競技の予選を行い、数日空けた二日目に本戦を行うのだ。
保護者に入場が許されるのはこの二日目だった。


もう五月も終わろうとしていた。









剛からのメール。

受信し終わるのが待ち遠しかった。一瞬のことなのに何時間もかかっている気がした。


受信が終わると着メロに鳴る暇も与えずにメールを開いた。
メールを読むなり、私の心臓が耳に届くほどに早鐘を打った。

「オレもアドレス聞こうと思ってたからちょうどよかった!よろしくね」


イクセからアドレスを聞かれたと聞いて、剛がいやがったりしなかったかと不安だった。

この言葉が嘘だったら。イクセとからかってるのかも。

そんな不安も何度もよぎったけれど、結局その言葉が嬉しくて、私はもう有頂天だった。









男の子に自分からアドレスを聞いたのは初めてだった。

それで悪い噂がたってしまったりするのはいやだったけれど、正直、もうどうにでもなれ!という感じだった。

自分からアドレスを聞くなんて、とにかく考えてもみなかったことだった。


剛は綺麗な顔だから、顔目当てと思われたりしていないだろうか。

そんなことばかり気になっていた。


イクセにメールを送ってから数時間後、イクセから剛のアドレスをつけたメールが送られてきた。

「メールオッケーだって。ほら」

そんな文面だった。


初めて剛にメールを送った。
なんて送ったかは覚えていない。


ただ、すぐに返ってきたメールに書いてあった言葉は、私をものすごくドキドキさせた。









今日の放課後には、留学の説明会がある。

7月に学校主催の留学が企画されていた。
成績上位者だった私は、渡航権を獲得していたのだ。


講堂で軽く趣旨や行程を聞き、今日は解散した。
次回は保護者同伴での説明会だ。



今日一日、何も耳に入らなかった。考え事をしていた。


帰り道、私はメールを打っていた。


「イクセくん、私剛くんとメールしたい!」









これから先、どうしようか。

私は考えた。


剛とこれ以上近づく方法は思いつかなかった。これ以上、後ろめたくないきっかけを使って、近づく方法は。

自分からアドレスを聞いたりはしたくなかった。

そうやってがっついてる女の子を見ると嫌悪感がした。


今日の朝にいくらか会話できていれば話は違ったかもしれないが、これから剛ともっと近づけるきっかけがあるだろうか?


だめだ、偶然は待てない。

だけど自分からなんて・・・・


授業はまるで聞いていなかった。