夫は今月のアタマに退院した。
落ち着いて過ごせているし、何回か外泊も出来たからだ。

正直、退院するなら月が変わる前にしてくれよ…と思わなくもなかったが(それくらい11月は数日しか入院しなかった)、それはまあ仕方ない。

退院した夫は、入院前と変わらない様子だ。
出来ることも出来ないことも同じ。
私にたくさん「ありがとう」と言ってくれる。
笑うこともあるけれど、だいたい辛くて苦しそうな表情でいる。
ゆっくり座って過ごせる時間は少なく、不安そうに部屋を歩き回っている。

変わらない様子なのはいいことなんだろう。そう思うことにした。

でも、先日、夫がスマホを開きっぱなしにして眠りこんでいたため、流れている動画をとめたとき、うっかり見てしまった。

いくつか開きっぱなしのアプリの中に、通話の履歴があったのだ。
つい、見てしまった。
退院してから、何度も某公共機関に電話をかけている。
長くはない。数分~十分ていど。
コールだけで終わっているときもある。
でも、これじゃ入院直前と同じみたいじゃないか。
夫はまだ執着してるのか。

そう思って血の気が引いた。
だからと言って、どうにも出来ない。
スマホの通話履歴を見たなどと言うわけにもいかないし、夫の行動を制限出来るはずもない(電話をかけているのは私が家にいないときだ)。

とりあえず、

物凄く頻繁ではないし、長時間でもない。電話先の業務の著しい妨げになっているわけではでないのだから、まだ静観しよう。



そう思うことにした。
その後は見ていない。見たいが見ても仕方ないからだ。

ああああ、見るんじゃなかった。何も出来ないんだから知りたくなかった。



やはりパートナーの携帯は見るものじゃない。
幸せも安らぎもそこにはない。