「井戸」ってこんな効果があるの!

 

 

私が最初に井戸で水を汲んだのは、岡山の祖父母の家だったと記憶しています。その後は、小学生の時に習っていたお絵描き教室にあった井戸で、そこで水を汲んでパレットや筆を洗っていました。その頃は、井戸は水を汲むためだけのものと思っていました。夏は冷たく、冬は温かい。

 

それから随分経って、東京の嫁ぎ先に井戸がありました。ただ、その井戸はポンプもなく、コンクリートで蓋をされ、スイッチをいれたら電気で水を汲みだすようになっていました。

 

ある時、友人の建築家が、自然環境改善の一環として「井戸さらい」をしているというのです。今度、渋谷のあるお宅で「井戸さらい」をするからとの話を聞き、二つ返事で見学に行くことを決めました。

 

 

 

「井戸さらい」と「大木」

 

 

現場に着くと、数人の職人さんがいて、井戸よりも隣に生えている枯れかかっている大木を見上げて何やら話をしているのです。話を聞くと、大木が枯れかかっているのを改善するために、隣にある井戸を少し掘って地中に空気を送り込めば、木は従来の元気を取り戻す、というのです。てっきり井戸自体に問題があると思っていたら、井戸は地中に酸素を送り込むための役割があるとのことでした。

 

現代のアスファルトに覆われた地表のため、地中は酸欠状態だそうです。大木を支える根は十分な酸素を得ることが出来ず、段々と弱っているのです。井戸は、地表から地中に新鮮な酸素を送り込むパイプの役割を担っているのです。

 

井戸の役割は、水を汲むための装置ではなく、地中に酸素を送り込むことで植物に活力を与えたり、温まった地中の熱を逃がしたりする効果もあるのです。井戸は、地中にとって血管のようなものです。栄養と酸素を送り込み、生き物の生命線なのです。

 

 

個人でも出来る自然環境を守る活動

 

 

「井戸さらい」を体験することで、我が家にあるコンクリートで蓋をされた井戸の存在がどんどん気になってきました。私の家の近くの地名には「井」とい付く地名があったり、近所のお寺の湧き水は、ご利益があると多くの方が汲みにきます。きっと、井戸を持っている家がたくさんあって、我が家のように使わないで蓋をしたり、埋めてつぶしたりしている方も多いと思います。

 

しかし、こうした役割を知ると、井戸を守ることが自然環境を守ることに直結します。また、地震などが起き停電しても、手動でポンプを動かし、水を確保することができます。我が家は、この体験から井戸を再生することを決めました。そして、その実感をもって、私が所属する一般社団法人日本庭園芸術協会では「井戸さらい」を、自然環境を守る事業として取り組んでおります。興味のある方は、協会のホームページにみてください。全国、どこの地域でも「井戸さらい」「井戸堀り」をいたします。

 

次回は、我が家の井戸再生について書きます!!ウインク

 

 

ホームペイジ日本庭園芸術協会 (jpgardenart.com)

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