最後に、刑罰の、社会のためという側面を見よう。

社会のためとは、社会存続のためという事だ。罪人に対する制裁が社会存続に役立つことは誰も否定しないだろう。問題なのは、死刑という制裁が本当に社会存続に役立つかということだ。

加害者のためという側面を見たときに述べたこと(「第一に、罪に対応する罰を予め知らせておくことによる犯罪抑止、第二に、見せしめによる犯罪抑止、第三に、教育による再犯の抑止という刑罰の効果」)がそのまま社会存続にも言えるのだが、死刑は三つの全てに無縁である。(理由は既にほぼ述べているので説明は省略する。)

とすれば、死刑は社会存続に役立たないのだろうか? そんなことはない。罪人を世界から排除する事で、同一人物による再犯がなくなるのだから。

既に述べているが、死刑を正当化できる理由はこれのみである。