結婚式の5か月前、私の父が他界した。
式の日取りが決まり、伝えた矢先のことだった。
その日は透析の日だけど、冠婚葬祭のときはずらせるから、大丈夫
そう言ってたのに。
どうして待っててくれなかったんだろう。
父は嘘つきだ。
翌日か翌々日か、彼が仕事帰りに父の顔を見に来てくれた。
(本当にまだ両家で了承を得たところで、職場にも結婚を伝えていない時期だった)
母と当たり障りのない会話をして、長居しては悪いから、と出ていく。
ありがとう
見送りで私も一緒に外に出る。
久しぶりに、彼と二人きりになった。
泣いてもいいような気がして、私はその通りにした。
彼は、私を抱きしめてくれた。
なぜか、彼も、号泣していた。
しばらくして。
あ、俺が泣いてちゃだめか
唐突に、彼は涙を拭いはじめた。
自分は支える側なのでは、とその時になって気がついたらしい。
(お、おそい…)
(いやでも、そういうの別に平気だから、うん…)
うっかり、笑いそうになってしまった。
この人と居れば、大丈夫。
改めてそう思った、父からの、小さなギフトだった。
夫が父について書いてくれた言葉