Formula 1 Etihad Airways Abu Dhabi Grand Prix 2020
Yas Marina Circuit 5.554km×55Laps=305.355km

winner:Max Verstappen(Aston Martin Red Bull Racing/Red Bull RB16-Honda)

 

 2020年のF1も最終戦となりました。今年もアブダビが舞台です。先週COVID-19に感染したため欠場したルイス ハミルトンは検査結果が陰性となって復帰。ただ、まだ肺の状態が万全ではないということで、無理しなくてもいいのでは、、、という気がします。ハースは引き続きピエトロ フィッティパルディーが走ります。

 ハースと言えば、来年のレギュラーとして契約したニキータ マゼピンが『車内で女性の体に触る動画』をインスタグラムにアップし炎上する騒ぎとなりました。問題児が多いと言われるハースですが、とうとう走る前から問題を起こすドライバーが出てきましたw

 

 予選は白熱しました。Q1でアタックに入ろうとしてアクセルを踏んだニコラス ラティフィーがスピンして自爆、これはカッコ悪い!(。∀°)

 そんなことはどうでもよくて、バルテリ ボッタスがQ3の1回目のアタックでハミルトンを上回るタイムを記録して暫定PP。そして2回目のアタック、ハミルトンは自己ベストを更新してトップに立つも、それをボッタスが再度更新。ボッタスが決めた!と思った矢先、なんとマックス フェルスタッペンがこれを0.035秒上回り大逆転PP!!インタビューでデービッド クルサードが「初めてのポール」と言ってましたが3回目やっちゅうねんw

 フェルスタッペンはQ1ではターン6~7で、右に切ったステアリングを左に切り返す、はずが太ももに手が引っかかって切り返し損ね、ステアリングから手が離れる珍事がありました。あれですね、私がデュアルショックで遊んでて、左スティックから指が滑るのと同じですね。F1ドライバーでも手が滑るんだなあ(謎の仲間意識) 何はともあれ、今季メルセデスPU以外では初のPP獲得です。

 フェルスタッペンと同じぐらい驚いたのがランド ノリスで、フェルスタッペンから0.25秒遅れの4位。しかしよくよく考えると、メルセデスは今回MGU-Kの寿命がやばい、ということで出力を下げているという話。コンディションが異なるとはいえ、メルセデスは昨年よりかなりタイムの落ち幅が大きいので、本来ならぶっちぎりでトップ2、そこから0.2秒ほど離れてフェルスタッペン、そこから0.25秒でノリス、だったとしたら、そんなに驚かない気もしてきました^^;

 

 

 シーズン最終戦、先週のヒーロー・セルヒオ ペレスは4基目のPUコンポーネント投入で最後尾スタート、チームやF1を去る人に対しては餞別の無線が飛んだりする中いよいよスタート。フェルスタッペンはスタートをきっちりと決め、結局上位8台は変動なく1周目を終了。トップ10で唯一エステバン オコンがピエール ガスリーを抜いたところだけ変動があったわけですが、2周目にガスリーが抜き返してトップ10が予選順位通りに戻りました。ガスリーはソフト、オコンはミディアムなので、今抜く必要があるという中できっちり仕事を果たした形です。

 

 5周目、オコンの後ろにはチームメイトのダニエル リキャード。エンジニアからオコンには「まだペース上げられるか?」の質問。速く走れないようなら入れ替えるぞ、という雰囲気があります。オコンは「あるよ」と答えたものの、結局6周目に入れ替えられました^^;

 フェルスタッペンは順調にボッタスとのリードを拡大、ハミルトンはそこからさらに離れています。そして4位にはノリスを抜いたアルボン。ノリスは自分のレース優先で無理に抑えに行かなかった雰囲気です。

 

 10周目、ペレスがコース脇に車を止めてしまいVSC。F1で最後のレースになるかもしれないのに、PUを交換したのに、ターン17を曲がって縁石に乗ったあたりで「ガシャ」っという鈍い音とともに、ダッシュに「pOIL KILL」というなんかダメそうな表示が出て駆動が無くなりリタイア。本人もクルーも悔しがります。

 ハードは45周もつ、という計算での10周目だったのでここはもう替え時、14台がピットに入ってタイヤを替えました。ハードでスタートした人は今入っても意味が無いため結構損をしています。この後SC導入となり、ギャップもリセットされてしまいました。

 

 14周目にリスタート、リスタート後フェルスタッペンは先ほどと同じようにリードを拡大していきます。1ストップ予想のレースですが、後続と大差がつけば終盤でフリー ストップになったメルセデスが2回目を仕掛けて来る可能性はありますから、ちょびっと差を空けてから後ろとの差を見てペースを維持するのがセオリーでしょう。そして、そうさせないために4位のアルボンがきちんと接近しておいて、メルセデスの好きにはさせないことが大事です。

 

 そしてその後方では、ハードでスタートしたためステイ アウトしたダニエル リキャードが5位で後続のフタ。リキャードに詰まっているノリスに対しては「リキャードを抜ければレースが楽になるぞ」と無線が飛びますが抜けません(´・ω・`)おかげでアルボンから見て後方に大きな空間が築かれて行きます。

 

 フェルスタッペンは安定してボッタスより速いペースで走行、30周を終えて7.1秒差とします。ハミルトンはそこからさらに2.3秒差、これなら相手が2台で戦略を分けて揺さぶってくることがあっても落ち着いて対処できそうです。

 

 中団グループ、リキャードは結局ノリスを離して2~3秒後方に置きハードでなおも走行。39周目まで引っ張ってミディアムに繋ぎ7位で復帰しました。思わぬSCが出た中でもきっちりレースを組み立ててくるあたりはさすがです。SC時にミディアムからハードへ繋いだオコンは10位を走行、リキャードはほぼ1ピットぶんの時間をSCで損したはずなんですけどね。ただリキャードは前方のカルロス サインツに対しては14秒の差があり、ちょっとこれ以上は望めません。

 ちなみにリキャードはピット前に無線で「プランAとC、どっちがいいと思う?」って聞かれてましたが、おそらくAがハード→ミディアム、Cはハード→ソフトの1ピットでしょうね。とするとBは2ピット作戦かな?

 

 レース終盤、後続と差もついたフェルスタッペンは「必要ならエンジン下げるけど?」と余裕の提案。とはいえそんな必要もないらしくそのまま走ります。1モード制の規則ではモードを下げたら戻せないので、万一SCが出て残り1周でリスタート、みたいなことになったら大変ですし、よほどPUの寿命が危険でない限りいらんリスクを抱えるだけですしね。

 逆にメルセデスは終盤にペースが落ちて、特にハミルトンはアルボンに急激に迫られる結果となりましたが、順位に変動はなく、そのままフェルスタッペンが優勝、ボッタス、ハミルトン、アルボンと続きました。ハミルトンはやはりかなりしんどかったようですが、メルセデスのドライバーは2名とも「レッドブルは速かった」と口にしました。

 でも、そう言っといて相手を油断させる作戦かもしれないですし、メルセデスがセーブして走ってるのはみんな知ってますから、話半分に聞いておかないと、来年またこてんぱんにやられてしまいそうです。

DTMの最終戦は無観客で花火も無かったですがこっちはありました( ゚Д゚)

 

 コンストラクターズ選手権では、前戦でのダブル表彰台で大儲けし、3位に再浮上したレーシング ポイントが今回はランス ストロール1台だけとなり、しかも10位で1点獲るのがやっと。ノリスとカルロス サインツで5、6位をきっちり得たマクラーレンが再度逆転して選手権3位で終えました。レーシングポイントはルノーには抜かれず4位でした。

 

 そしてその争いには箸にも棒にもかからなかったフェラーリ。今回も戦略が今一つ。シャルル ルクレールはミディアムでのスタートでしたが、SC時にまだハードは距離が足りないと思ったのかステイアウト。ルクレールは古いミディアムでペースが上がらずコース上で苦戦した後にピットに入り、結局キミ ライコネンにすら及ばない13位。

 ハードでスタートしたセバスチャン ベッテルはSCが出た時点で作戦台無しなので仕方ないとして、かなり長いスティントを強引に行かせることも多いルクレールになぜハードを与えなかったのかちょっと不思議です。SCが出たのはみんながピットを通過した後なので、フェラーリ的にはVSCだけでSCは出ないと予想したのかもしれませんが、ちょっと読みが甘かった気がします。フェラーリは今季一度もラップ リードを記録できず、これはチームとして1973年、1992年に次ぐ史上3度目の不名誉な記録です。

 ついでに言えば、フェラーリはこのレース前のプレス リリースでピット作業が全般的に遅い件に関し

『ナットが弱くてすぐにヤマを舐めてしまうので、クルーが慎重になっている』という情報を掲載したそうなんですが、F確かに正直だし、悪いのはクルーではなく道具だと言うのは作業する人にとっては誤解がなくて良いとは思います。が、F1チームとして『対処できずナットが弱いという情報を出すしかない』状態って・・・

 

 フェルスタッペンはPP、全周リード、優勝、ファステストでグランドスラム達成、かと思いきや、最終周にひっそりとリキャードがフェルスタッペンのタイムを0.032秒上回ってこれを阻止。グランドスラムなら史上最年少だったということですが、思わぬ出来事でした。確かにリキャードは履歴の浅いミディアムを上位勢では終盤にただ一人履いてましたからね。ただ、ドライバー選手権ではペレスに6点及ばず5位でした。5位も相当すごい結果ですね。

 

 今回のレースは正直予選が一番面白くて、レースはあまりに淡々と流れました。ただでさえ1ストップのレースなのに、そのピットのウインドウがちょうど開くタイミングでVSCが出たのでみんなそこでピットを終えてしまい(ルクレールは除くw)ライフの上限に近い距離をみんな自分のペースで黙々と走るレースになってしまいました。

 もちろん黙々と走る中で管理の上手い下手が出たり、レースが動くこともあるのでそれ自体が悪いとは限らないんですが、ことこのレースに関してはハードが結構良いタイヤだったみたいで、みんなちゃんと走れてしまいましたね。

 

 メルセデスがどの程度力を抑えていたかは、データを詳細に調べればある程度想像もできるんでしょうが、来年は全力で正面からやり合ってレッドブルとメルセデスがこういう戦いをできればいいなと思います。そして、ペレスに仕事をあげてくださいm(_ _)m