2020 DTM Round5 Nürburgring Grand Prix

Nürburgring Grand Prix 5.148km

55minutes+1Lap

Race 1 winner:Nico Müller(Audi Sport Team Abt Sportsline)

Race 2 winner:Robin Frijins(Audi Sport Team Abt Sportsline)

 

 DTM第5ラウンドはドイツに戻ってニュルブルクリンク。全9ラウンド/18戦のシーズンなのでここが折り返し。

2002年にGPコースが現行レイアウトになって以降、DTMではターン6~10を省略した短いレイアウトでしたが、

今年はCOVID-19パンデミックによる日程再編によりニュルブルクリンクで2週連続開催、この最初の週末は

GPコースのフル レイアウトで開催されます。ちなみにDTM公式サイトには古いレースのハイライトも

ちゃんと置いてあるので、当時のレースも見れます。改修前は最初のコーナーが高速のS字でした。

見てみたら始まってすぐ大混乱になってましたw

 

 

 土曜日のレース1、ニコ ミュラー、レネ ラスト、ロビン フラインスと選手権のトップ3が終結。

マルコ ビットマンが4位と健闘します。

 スタートではビットマンが今一つの動き出しで1つ順位を下げてマイク ロッケンフェラーが4位に浮上、

アウディーがトップ4独占。2周目までは中段グループで抜きつ抜かれつがあり、みんなさすがに見事な

立ち回りでしたが、展開が落ち着くと縦一列の展開になります。

 上位ではロッケンフェラーが8周目/15分を経過したところで早くもピット。ロスが作業時間を7秒としてもロスが

33秒程度なので2ピットは非現実的、残り40分をうまく管理することになります。

 トップ争いはラストが徐々に離される展開、ちょっとはみ出たりしてミュラーと3秒差、逆にフラインスに

追いつかれてしまいます。12周目、残り33分でミュラーは先にピットへ入りました。

 

 コース上ではステイ アウトしたラストをフラインスがかわし実質2位へ。争ってタイムを失ったのでミュラーには

好都合。この周にラストも入りますが、ロッケンフェラーにアンダーカットされてピット組では3位になります。

 フラインスも14周目に入りましたが、ラストがターン2~3で軽く接触しつつ抜いて行って再逆転。

さっき抜かれた時にスペースを残してもらえなくて怒っていたので、ちょっと根にもってたかもしれません。

フラインスは抜いた周にそのまま入った方が良かった気がしますね。

 

 22周目、タイヤが古いロッケンフェラーにラストが追いついてターン1でパス、これにフラインスも続きました。

翌23周目にビットマンにも抜かれてロッキーはスタート順位に戻ってしまいます(´・ω・`)

 一方2位争いは接近戦が続きました。今年の規則だと2位以降の争いは全員DRS/P2Pを使えてしまうので、

相手を回数切れに追い込まないと差を作れません。ましてや同一メーカー同士なので無茶もできない、

はずでしたが、27周目に事件発生。しびれを切らしたフラインスが突っ込みすぎた上にインに寄りすぎて、

掟破りの地元走りを披露(なおフラインスはドイツ人ではない)。もちろん抜けるはずもなくスピンしてしまいました。

チーム代表のトーマス ビーアマイアーもこの反応。

 

これであらかたレースは決着、ミュラーはラストに12秒以上の差をつけており、快適に走ってトップでチェッカー、

ラストに続いてビットマンが3位となりました。フラインスは5位でした。

 

 

 日曜日、今日はミュラー、フラインス、ラストの並びで上位6台がアウディー。ミュラーが2日連続の好発進で

特に何の変動も起きずにレースが進みます。

 トップ2が1秒程度の差でとどまる一方、ラストは5秒ほど離されて本当に何も起きません(´・ω・`)

 9周目に5位のロイック デュバルがピットに入ると、10周目に4位のロッキー、そして11周目にミュラーとラストが

ピットに入りました。ラストは作業に手間取ったせいもあってロッケンフェラーに抜かれそうになりましたが鬼ブロック。

13周目にフラインスが入って上位はサイクルが一巡しました。

 

 このまま何も起こらず終わるのかと思ったら、フラインスが後半速くてミュラーを追い上げ、17周目のシケインで

ミュラーをかわすことに成功。この時まだジェイミー グリーンがピットに入っていなかったのでミュラーも

DRS/P2Pを使うことは可能でしたが使わずに無理していない様子でした。この後フラインスはあっという間に

2.5秒のリードを築きます。

 ミュラーはBMW勢と比べればじゅうぶん速いものの、トップ3の中ではどうもペースが上がらず徐々にラストが

接近していき、25周目にとうとう背後に付くと翌26周目にあっさりとパス。ミュラーも無理に抑えようという気が

全く無さそうです。ただラストは気を抜いたのかこの後シューマッハーSでラインを外して危うく大惨事(。∀°)

 

 残り2周、ミュラーの後ろにロッケンフェラーとデュバルも接近。アウディーだけでレースしてるのにこれで

遠慮してたら興ざめですが、ロッケンフェラーが仕掛けて3位に浮上。この時初めてブロック ラインを使った

ミュラーではありましたが、シケインでデュバルに捕まった時は無抵抗。お手上げの様子です。

 

 フラインスはそのままトップでチェッカー、昨日の自爆を取り返しました。今日はミュラーが5位でした。

BMW最上位はシェルドン ファン デル リンデの6位でした。とはいえポイント的にはまだミュラーに余裕があります。

 

 同じ車と顔ぶれで毎回レースしていながら、レース毎、どころかスティント毎にすらタイヤのもち具合が

変わってしまうことがあるDTM。日本にいると詳しい情報が入ってきませんが、やはり鍵になると思われるのは

タイヤの使い方と思われます。とにかく温度や内圧の管理が非常に繊細だというのは昨年交流戦で戦った

SUPER GTのドライバーからのコメントである程度我々にも伝わってきましたが、一度滑らせて温度が

上がってしまうとなかなか元には戻らず、性能低下や摩耗が進んで行ってしまう、という特性が非常に強いと

考えられます。DTM車両では、ブレーキの冷却のために水冷システムも装備されていますが、ブレーキの温度は

ホイールを通じてタイヤへと伝わってしまうため、ブレーキの冷却水の使いどころはタイヤの温度管理とも

直結することになります。前後バランスの調整も含め、ブレーキの取り扱いと冷却水の使いどころが

即座にペースに直結してしまうため、この匙加減1つで大きく展開が変わってしまうのではないかと思います。

 冷却水は当然無尽蔵に積んでいるわけでは無く、切り札的に使うぐらいしかないでしょうから、前半で

ついつい使いすぎたら後半に手札を失う、というようなことも考えられます。外部からは見えない、非常に

マニアックな部分での戦いです。他カテゴリーのドライバーが来てもなかなかすぐに戦えない理由も

このあたりにあるんでしょう。