NASCAR Cup Series

Cook Out Southern 500

Darlington Raceway 1.366miles×367Laps(115/115/137)=501.3miles

competition caution on Lap25

winner:Kevin Harvick(Stewart-Haas Racing/

Busch Beer Busch Champ Throwback Ford Mustang)

 

 NASCAR Cup Series、いよいよプレイオフ開幕。初戦はサザン500、レイバー デー伝統の500マイル戦です。

今回からスタート順位決定プロセスに小変更が行われました。従来の制度では『前戦のドライバーの順位』

が指数の50%を構成していましたが、これだとドライバーをコロコロと変えるチームではこの数字が

無しになってしまって圧倒的に不利なため、これを『オーナーの順位25%、ドライバーの順位25%』と2要素に

さらに細分化しました。まあ下位チームにしか関係ない話題ですけどね。

 

 このレース、始まる前にやらかしてしまったのがライアン ブレイニー陣営。ショップで車両テストをする際に

鉛製のバラストを設置するそうで(オイル等を入れる代わりにこれで重量を代替してる、という話かな?)、

これをうっかり取り外すのを忘れてしまったために規則違反の判定。これにより10ポイントはく奪と

クルー チーフの出場停止、後方からのスタートと重いペナルティーを受けました。

 チェイス エリオットとデニー ハムリンを1列目にスタート。昨年まではMonster Energyがスポンサーだったので

コンテンダーの目印として緑色が使われていましたが、冠スポンサーが外れたので今年はテロップでは白

(NBCの中継画像では青)、車両でもスポイラーが白く塗られているのがコンテンダーの目印です。

といっても、今日はスロウバック スキームの日なので、車体の方が気になって正直よく分かりませんw

 

 スタートからチェイスがリードする一方、ハムリンはルース気味で5位あたりへ後退。いきなりバリアに

軽くこすってダーリントン ストライプを付けてしまいました。とはいえ、長い500マイル、これからどんどん暗くなって

ラバーが乗って路面温度は下がりますから、この段階でのルースは織り込み済み、意図的なものとも

考えられます。当てちゃいかんのですがね^^;

 25周目にコンペティション コーション、マーティン トゥルーエックス ジュニアがじわじわチェイスに迫っていたので

次のランで注目点になりそうです。

 

 32周目にリスタートされるとやはりチェイスとトゥルーエックスが接近戦。しかし前のランをきちんと踏まえたのか、

チェイスは周回とともにトゥルーエックスを離して単独走行に持ち込みます。

 

 この後アンダー グリーンでのピット サイクルとなり、トゥルーエックスが先に入ってチェイスとの差を詰めますが

抜くには至らず。周回遅れもいるのでなかなか思い通りには攻められません。

 

 82周目、ブラッド ケゼロウスキーが接触でタイヤを傷めたようで、その後そこそこの勢いでウォールにぶつかって

コーション。マット ディベネデトーは周回遅れがもうすぐだったので命拾い。

 とにかくタイヤが厳しいトラックなので多くはピットへ、今日は12セット使えるのでまだまだ余裕です。

そしてこのピットでトゥルーエックスが先行。

 カート ブッシュとダレル ウォーレス ジュニアだけステイ アウトで87周目にリスタート、2人とも外ライン選択で

トゥルーエックスは内側の1列目となり、ちょっと粘られましたが兄ブッシュを抜いてリーダーに。

カートが2位で後続を抑えたせいもありますが、クリーン エアーを得たトゥルーエックスは先頭を快走します。

そのままステージ1を制しました。2位はノン コンテンダーのジミー ジョンソン、チェイスはCM中に3位に後退。

そして兄ブッシュはタイヤを1セット節約してステージ5位でポイントもゲット、こういうレースをやらせると相変わらず

上手いですね。弟のカイル ブッシュもこの時間帯にちょっと光明が見える走りでステージ9位。

 

 合間合間にスロウバックスキームについての話題も出てきます。

マット ディベネデトーは1963年の車両を表現。この年WBRはタイニー ランドがデイトナ500を制し、創業者の

グレン ウッドはボウマン グレイ スタジアムという0.25マイルのトラックで現役最後の勝利を挙げました。

クリント ボイヤーは1990年のカイル ペティー。珍しくネタ元と実車でスポンサーが一致しているパターンです。

カイルは2004年のエリオット サドラー。スポンサーが一致どころか普段との違いを探す方が難しいんちゃうかなw

 

 ステージ間コーション、チェイスはトラック バーと左のウエッジを各2回転するけっこうなアジャスト。

トゥルーエックスを先頭にステージ2が始まりますが、リスタートと同時にブレイニーが緊急ピット。

受け入れ準備も整ってないぐらいなので本当にいきなりだったようで、作業も時間がかかって周回遅れ、

ケゼロウスキーと仲良く1周遅れの車での1、2位です。

 

 ちょうどこのあたりで日没。トゥルーエックスはこのランも大きくリード、2位にはハムリンが浮上。

ハムリンに挑む3位は兄ブッシュです。前後のバランスがすごく良さそうな動きをしています。

カートは去年もこのレース速かったのでダーリントンにはかなり良いデータがあるんでしょうね。ちなみに去年は

『自慢の愛車・1967年型カマロ』をモチーフにしたスキームという珍種でしたが、今年はもうスロウバックでも

なんでもないいつもの黒いモンスターエナジーですw

 

 156周目、ケビン ハービックがピットへ。緊急なのか、ステージ2を2ストップのつもりなのか微妙なところですが、

特に追随する動きが見られないので2ストップを基本戦略に考えている人はいない様子。

 170周目あたり、ステージを半分に割ったところからピットサイクルとなり、サイクルが一巡するとハービックが

ひとまずリーダーとなります。トゥルーエックスに対して8秒以上の大量リード。20周後あたりにコーションが出たら

大儲けです。と思ってたら5周も経たないうちにコーション発生。ウォーレスがスピンしました。

 これだと1ストップ組はステイアウトでハービックだけ後退かと思いましたが全車ピットへ、タイヤの摩耗が

相当厳しいようです。ただ、トゥルーエックスはピットで逆転に成功。

 

 186周目にリスタートしトゥルーエックス、ハービックのオーダーになりました。そして、リード ラップ車両が

全員ピットに入ったおかげで、ケゼロウスキーとブレイニーはウエーブ アラウンドを選択してリードラップに復帰。

ブレイニーはちょうどコーション直前にピットに入ってたので、タイヤも新しくて実質フリー パスと同じ状態です。

 結局ステージ2もトゥルーエックスが勝利、ハムリン、ハービックが続きました。最後にオーダーが出たようで

アレックス ボウマンがジョンソンを抜いてステージ4位。一方Matt Dはウエーブアラウンドでリードラップに

戻っていたと思いますが、終盤タイヤが完全に終わってズルズル下がっていき、ステージ27位で周回遅れ。。。

 

 ステージ間コーションで今度はハムリンが逆転しファイナル ステージ開始。ハムリン、トゥルーエックス、

ハービックのオーダーで役者がそろいました。

リスタートで接触してジョーイ ロガーノは左リアがぐちゃぐちゃ、幸い走行には支障ないですね(*´▽`*)

さらに246周目に20位と健闘していたジョン ハンター ネメチェックがクラッシュ、これでコーションとなります。

Matt Dはフリー パスを得てリードラップへ復帰成功。

 

 このコーションでまたリードラップ車両は全車ピットに入り、トゥルーエックスが再逆転、さらにカイルが

3つ順位を上げて3位に滑り込みます。JGRがトップ3独占!

 そして251周目にリスタートされると、ハムリンの出足が今一つでカイルが2位に滑り込み成功!!

トゥルーエックス、カイル、ハムリン、ハービック、とトップ4は昨年のファイナル4になりました。この中で

今季勝ってないのはカイルだけ。ファンの期待は高まりますが、それを粉々に砕くようにトゥルーエックスが

じわじわと差を広げていきます。どんだけ幅広い条件で速いんだこの車( ゚Д゚)

 

 結果的にまた116周とステージ1・2と似たような距離が残り、ピット回数が話題に上る展開。283周目に

ジョンソンが真っ先に動くと、次々と各車がピットに入り始めます。ハービック、チェイス、ボウマン、兄ディロン、

エリック アルミローラ、ロガーノ、といったあたりはこれに反応、2ストップ作戦を採りました。

 

 一方トップ3は気にせず1ストップの方針。しかしトゥルーエックスですらスティント終盤は走りがよれよれ。

そして同じく1ピットのクリント ボイヤーは残り67周、タイヤがダメになってスロー走行後緊急ピット。

外したばかりのタイヤがこの状態。これでは走れたものではありません。

 

 残り60周、ようやく長旅を終えてトゥルーエックスがピットへ、この後カイル、ハムリンと入ってくる、はずでしたが

ハムリンにまさかのアクシデント。バックストレッチでインに下りておきたかったのが、2ピット組がバンバン

追い抜いてくるので下り損ね、ターン3でようやく下りたところでジョンソンがハムリンに詰まり追突。

これでハムリンは姿勢を乱してピットに入れず、丸々1周損をしてしまいました。大幅後退です。

 

 これで2ストップ組が上位へ、ハービック、チェイス、エリック ジョーンズのオーダー。こちらのグループでは

チェイスのペースがピット後に良いようで、残り48周でハービックをかわしてリーダーになります。

 そしてその直後にデブリーによりコーション発生、これで全車同じ戦略に戻ると予想されますから、

2ストップ組の戦略が『当たり』となりました。

 

 チェイス、ハービック、ジョーンズ、トゥルーエックスの順でピットを出ますが、最初の3人は全員外選択、

ここまでの展開から言えば、1位から外、外、内、と選ぶのがセオリーで、3位の人が外側3列目は異例。

ジョーンズはトゥルーエックスに譲るためにあえて3列目を選んだと考えられます。実はトゥルーエックスは

このレースからリアのタイヤ チェンジャーもジョーンズ陣営のクルーを引き抜いています。

 

 このアシストのおかげで1列目インからリスタートしたトゥルーエックス、ハービックとの争いを制して

2位に滑り込み、ここからはチェイスとトゥルーエックスの一騎打ちとなりました。

 速いのはどうやらトゥルーエックスですが、ターン1~2は半径が大きく全開に近いので、クリーン エアーを受けた

チェイスが僅かに差を広げるものの、3~4でトゥルーエックスは乱気流を避けたイン側のラインで差を詰めます。

 すると残り16周、チェイスがなぜか理想的なラインである外を選ばず急にチェイスと同じラインに下り、

これを見て即座にトゥルーエックスは当然速い外ラインを選択し急接近。そのままフロントストレッチで

チェイスに並びかけ、ターン1に飛び込みましたが

勢いがありすぎてトゥルーエックスがせり上がり接触、2台ともウォールにヒット。ひとまずリーダーとなった

トゥルーエックスでしたが、タイヤを傷めて緊急ピットを余儀なくされました。チェイスもペースを失い、

ハービックがごっつぁんでリーダーに。追うのは兄ディロン( ゚Д゚)

「クリアーになってない!」と怒るチェイス。ただ、トゥルーエックスも抑え込もうとしたというよりは、かなり

突っ込んでいったのでせり上がってしまった、という風に見えます。元々ダーリントン自体が、大外だけ

バンク角が高いため、ちょっとオーバー気味にフラットなインに飛び込み、バンクでアンダーステアを消して

曲がるような追い抜きが定石の特殊なトラックですし、当たったのも角の方。レーシング インシデントだと

個人的には思いました。レース序盤の無理をしない時間帯ならトゥルーエックスももう少し手前から減速して

外側にラインを残したでしょうけど、完全にレースを決める場面でしたからね。

 

 これでリーダーになったハービック、40周手前でタイヤが崖に来ていたこれまでの展開からして

ライフが心配で、ディロンを離すことができず、最後ちょっと安全に行ったらディロンが大外ラインで急激に

追いついてきてしまいましたがトップでチェッカー。プレイオフ初戦を制し、次ラウンド進出を決めました。

ディロンは驚きの2位、最初のラウンドで落ちる、と私が言ったから奮起したんでしょうか(。∀°)

結局チェイスは20位、トゥルーエックス22位、間に入ってMatt Dが21位。ポイントはこうなりました。

https://www.jayski.com/nascar-cup-series/2020-nascar-cup-series-playoffs/

 

 10点減点されたブレイニーと苦戦したMatt Dがビリ。カスターが頑張ってこのレース12位となったため、

2人だけ置いて行かれています。スチュワート-ハースの3人が当落線上に固まってしまっていますね。

 結局7位でしたがカイルも少し向上の雰囲気が見れたのが救い、カートは相変わらずしぶといので、

Round of 8まで進んでも不思議では無いですね。

 次戦も難易度の高いリッチモンド。そしてその次がブリストル。よく考えたらこのステージ構成、

1.5マイルが1回も出てこないんだ。