NASCAR Cup Series
Coke Zero Sugar 400
Daytona International Speedway 2.5miles×160Laps(50/50/60)=400miles
(オーバータイムにより164周に延長)
competition caution on Lap20
winner:William Byron(Hendrick Motorspors/Liberty University Chevrolet Camaro ZL1 1LE)
NASCAR Cup Seriesはいよいよレギュラー シーズンの最終戦、今季この日程へ引っ越してきた夏のデイトナ、
Coke Zero Sugar 400です。プレイオフ争いは既に13人が確定し残る3枠を争う戦いになっています。
といってもクリント ボイヤーはほぼ確定と言える差で、マット ディベネデトー、ウイリアム バイロン、そして
ジミー ジョンソンの3人が争う構図。見た目上”3人で2枠”ですが、17位以下の人が勝てば自動進出のため、
最後の1枠を争うことになります。元々こういう展開で少しでも消化試合感を減らすためにデイトナを
ここへ持って来たわけですが、ここまでの接戦、ましてやジョンソンが争うとはNASCARも想定外だったでしょう。
スタート コマンドはNBCで放送されている”Ninja Warrior”の司会者の2人、マット アイズマンと
アクバー グバージャビアミラ。グバージャビアミラは元NFL選手で、珍しい苗字ですがナイジェリア移民の
ご家庭だそうです。この番組、日本のTBS系列で放送されている”SASUKE"のフォーマットを輸出した
”海外版サスケ”と呼ばれているものです。ハイ、全くレースと関係無いですね。
曇天のデイトナ、ケビン ハービックとマーティン トゥルーエックス ジュニアを1列目にしてスタート。
スタート直後からマット ディベネデトーが極端に底を打ってるのでちょっと心配になります。
厳密にはトラック バー マウントだそうです。序盤はみんな丁寧に行こうとしすぎて逆に隊列がなんだか
落ち着いてない、という印象を受けましたが、やがてウイリアム バイロンがチームメイトのアレックス ボウマンを
引き連れてレースをリード。並んでイン側をリードしていたハービックがデブリーをグリルに引っ付けてしまい
一旦下がったことでダブル ファイルでのレースも崩れ、そのままコンペティション コーションまでバイロンが
リードしました。ここで全車給油、タイヤ交換は上位にはいなかったと思います。
コーション中に近隣で落雷の情報があったため、NBCのクルーは一部退避して25周目にリスタート。
展開はヘンドリック モータースポーツ vs ジョー ギブス レーシング、という感じで、バイロンとエリック ジョーンズが
主にレースをリード。ジョーンズは勝てば逆転でプレイオフ滑り込み、来季の就職活動のためにもプレイオフには
出ておきたいところです。
はて、チーム ペンスキーを筆頭とするフォード勢は目立たんな、と思っていたらやっぱりレース巧者で、
流れを見極めて立ち回り、気づけばジョーイ ロガーノがライアン ブレイニーを率いて36周目からリード。
ステージ ポイントが欲しいプレイオフ バブルの面々にとってロガーノが目の上のたんこぶです。
ステージ1最終周には意外とみんなリスクを取ってロガーノを捕まえるために動きを見せましたが、
結局ロガーノがそのままステージ1勝利。本当のフィニッシュに向けてある程度予習をした、という側面も
きっとあるでしょう。ジョンソンが5位、バイロンは7位でステージポイント獲得です。そしてこの段階で
クリント ボイヤーはプレイオフ進出が確定しました。
ステージ間コーションでは、有力どころにリスタートを前にして再給油を行う変則的戦略が採られ、おかげで
ステージ2はクリストファー ベルとジョーンズというちょっと複雑な関係の2台を先頭に始まります。
そしてすぐにながーーーーーいシングル ファイルになりました。見た目上は一緒に走っていますが、
前方グループが給油を必要とするのに対し、再給油組は燃料セーブでステージ2をそのまま走りきるつもり。
そのため、スロットルを緩めて離されないようにしつつ最大限燃費走行する予定で、自分から動いて
前に出ようとかそういう動きはまず無いと予想されます。ということは当分何も起きませんw
65~66周目に給油が必要な人たちはピットに飛び込み、このグループのリーダーはジョンソン。
リード パックの後端とはおよそ25秒差で、彼らは全開でここから追いかけてきます。
シングルファイルでレースが続きステージ残り7周、いよいよ給油組がリードパックを捕まえるところまで到達、
そしてここでディベネデトーがなんとか大量点を得ようと列から飛び出し、ましたがみんな燃料管理で忙しいので
誰も相手をしてくれず順位を少し失って撤退(´・ω・`)
その後ステージ残り4周あたりから給油組がしかけ始めるとようやくレースの動きが大きくなり、本格的に
陣取り合戦スタート。ジョンソンはステージ勝利を目論んだと思いますが、結局最初にグリーン チェッカーを
受けたのはまたもやロガーノでした。ジョンソンがまたステージ5位、ディベネデトーが7位です。
この段階でポイントはどうなっているかというと
15 DiBenedetto 641
16 Johnson 640
17 Byron 636
既に12点稼いだジョンソンがこの時点で暫定16位に浮上。バイロンから見れば、ジョンソンより5つ上、ないしは
ディベネデトーから6つ上の順位でフィニッシュすることが進出条件ということになります。
ファイナル ステージ、ロガーノとトゥルーエックスを1列目にスタート、もうあとはチェッカーへ向けての段取り、
残り55周ほどですから、3列目を積極的に作りに行く場面が多く見られるようになります。ステージ2とは大違い。
残り35周となったところでシボレー勢が給油のためピットへ、翌周トヨタ勢も入り、コース上の同じ位置で集合。
フォードはまだ引っ張ります。
フォードとすれば、ピット組がごちゃついて綺麗な隊列を形成できない間に自分たちは綺麗なシングルファイルで
ペースを上げて、少し差を築いておきたいところだったと思いますが、残念ながらピット組の隊列は比較的早く
整ってしまい思惑が外れます。残り29周でピットに入りますが、カイルを先頭にした隊列に呑まれました。
ピット後にロガーノとディベネデトー以外はやや出遅れてほぼ単走になったのも響きましたね。
一方カイルは、ステージ2終盤に燃料切れでピットに入っていましたが、サイクルがぐるっと回って逆に
トラック ポジションを得る結果になりました。
リードパックから離れる車が出始め、ディベネデトーとジョンソンもこの離れた第2グループで争い始めていた
残り17周、ジェームス デイビソンの車が中破、コーションとなります。何で壊れたのか映像が無い^^;
このコーションで多くがステイ アウトする中、3位のバイロンがあえて4タイヤ交換を選択。ジョンソンも同様で、
ディベネデトーは順位を重視してステイアウト。運命の分かれ道と言えます。
結果的にディベネデトーが6列目外からリスタート、真後ろの7列目にバイロン、9列目にジョンソンとなります。
残り13周でリスタート、カイルを先頭に後ろでは先陣争い。ハゲしい争いが展開されましたが、残り9周、
リーダー争いでアクシデントが発生。
外側で3位のジョーンズが2位のレディックを強烈にバンプ。レディックはインに下りつつターン3で勢いよく
カイルをかわしますが、すぐに外側のラインに戻ってブロックを試みます。しかし勢い余ってウォールに軽く接触。
詰まったカイルにさらにジョーンズが詰まってスピンし、ここから多重事故が発生。赤旗になりました。
今回レディックは日本でも馴染みのあるKCMGスキームです。カッコいいですね。ジョーンズはクラッシュして
逆転プレイオフの望みが断たれました。バブル上の3人は全員事故を回避しました。
厳密にはMatt Dはちょっと前をぶつけましたけど^^;
赤旗中にケア センターを出てきたブッシュ兄弟のインタビューがありましたが、まだカートの方が立場上
いくらか心に余裕があるように見えました。カイルは相当しんどそうです。
残り5周、ハムリンとレディックの1列目でリスタート。レディック自身は事故の起点にはなったけど壁に
軽くこすってカイルに軽く押されただけなので軽傷です(´・ω・`)
リスタートからロガーノがハムリンを押してタンデム ドラフトを狙っているのは明らかで、実際にタンデムで
一時この2台が前に出ます。しかしまだこれで逃げれるわけではないので再びの集団走行、練習かな?
古いタイヤの車はそこらじゅうでスピン寸前の状態になっており、いつクラッシュが起きてもおかしくない状態。
そして残り2周でとうとう我慢が決壊。ハムリンがロガーノを押したものの当たり所が悪くて姿勢を乱し、
ダレル ウォーレス ジュニアに接触。おそらくこれでタイヤを傷めてしまい、ターン1で失速しているところに
ディベネデトーが詰まってとどめの一撃。ロガーノがスピンして周辺の車を巻き添えにする多重事故。
ジョンソン、マット ケンゼスの車が命中して万事休す。
そのジョンソンの車が命中してレディックも撃沈しました。ディベネデトーは不可抗力で事故の起点になりましたが
幸いにも前をぶつけただけなので支障なし、バイロンも現場を通過。ジョンソンは
電動のこぎりまで投入。もうどう考えてもまともに走れないですが、あとはオーバータイムだけなので、
とにかくリードラップでコースに留まっておけば、リスタート直後に万一またクラッシュがあった時に
ひょっとすると事故現場で止まったライバルを抜いて前でチェッカーを受ける可能性が残っています。
そしてオーバータイム、ハムリンとバイロンが1列目。ディベネデトーも2列目にいますが、ちょこちょこと
ぶつけているせいか、リスタート直後からあまり前を攻められる感じではありません。
最終周、なんかもうあっちこっちで軽い接触やらタイヤ破損やらクラッシュやらで車が散っていきますが、
もうその現場を競技速度の車両は通らないのでノー コーション。バイロンをトゥルーエックスやチェイス エリオットが
追いかけていましたが、結局あの4タイヤ交換が機能したかバイロンは後続の追随を許さずにそのまま
トップでチェッカー。レギュラーシーズン最終戦・デイトナの大舞台でバイロンがカップ戦初勝利を挙げました。
勝ったので結果的にバイロンはポイントと無関係にプレイオフ進出、そしてディベネデトーは12位、
ジョンソンはあのボロボロの車でも17位。結果、ディベネデトーが16位でプレイオフ進出です!!
おそらく、Matt Dも最後は無理して自爆してジョンソンに抜かれる危険を冒すより、新たな勝者は展開的に
出なさそうなので堅実に走り切る方を選んじゃないかなと思います。
そしてジョンソン、最後と決めた2020年シーズン、史上最多・8度目のチャンピオンを目指す戦いは、
ここで終わりを迎えることになりました。彼はCOVID-19に感染して1戦を欠場、そして届かなかったポイントは
僅かに6点。勝負にタラレバはありませんが、欠場が無ければ、おそらく勝ち抜いたのはジョンソンでしょう。
そういう意味でもディベネデトーは運があるという見方もできます。ちなみに振り返れば、ジョンソンが
欠場するとなった時、私はこんなことを書いてました。
このあたりの順位の人は単純計算で1レース平均25点ほどの獲得ポイントですから、1戦欠場で
25点ほど失う計算になります。今の順位で考えると25点失えば当落線上の16位になってしまいますし、
現行のグリッド決定フォーマットでは13位以下に落ちるとスタート順位が13~25位の範囲での抽選に
なるのでさらにステージ ポイントを獲得しにくくなります。勝てばいいわけですがそう簡単にもいかず、
JJのファンは今年もポイントとにらめっこし一喜一憂、ということになる可能性が出てきました。
ちなみに去年のジョンソンは15戦終了時点で当落線上の16位でしたが、最終的にレギュラーシーズン
18位でプレイオフを逃しました。
あの時心配していた通りになってしまいました。その時、JJはポイント12位、Matt DはJJより6点少ない14位、
色んな意味で、このレース、このシーズン、この結末、当分忘れることのないものとして記憶されることでしょう。
次週はプレイオフの初戦、ダーリントンです。COVID-19ブレイクからの再開戦で既に走っているトラックなので、
最低限のデータは揃っていますね。おなじみのスロウバック スキームもありますよ。