2020 AUTOBACS SUPER GT Round3 FUJIMAKI GROUP SUZUKA GT 300km RACE

鈴鹿サーキット 5.807km×52Laps=301.964km

GT500 class winner:MOTUL AUTECH GT-R 松田 次生/Ronnie Quintarelli

(NISSAN GT-R NISMO GT500/NISMO)

GT300 class winner:GAINER TANAX GT-R 平中 克幸/安田 裕信

(NISSAN GT-R NISMO GT3/GAINER)

 

 SUPER GT第3戦は鈴鹿です。このレースからは、鈴鹿→もてぎ→富士、を2サイクルします。

時期的にはちょうど鈴鹿1000kmの時期となったこのレース、とにかく猛暑です。

前戦ではGT300にタイヤ四輪交換義務がありましたが、今回はコースも違うし、対策もしてるだろうし、

夏の鈴鹿で無交換する無謀な奴もそういないだろう、といった理由で適用されていません。

また、日本に入国できず欠場していたヘイキ コバライネンはようやくこのレースから参戦です。

 

 予選、GT500はModulo NSX-GTの伊沢 拓也が初のPP獲得。Q1、Q2とも圧倒的に速いタイムを記録、

ダンロップは以前鈴鹿1000kmで見事な速さを見せており、単に予選一発ではなく、猛暑であれば

条件にばっちり当てはまっている、という可能性がありますが今年はいかに。

 2位はMOTUL AUTECH GT-R、富士の2戦では低迷していましたが、暑い条件とタイヤが合っているのか

いずれのセッションも2位。唯一2基目のエンジンを投入していますが、松田 次生曰く「壊れたから」。

元々2基目で入れるつもりのアップデートがあって、それが入っていれば性能向上も期待できますが、

同一スペックだとたぶんシーズン後半でアップデート版を投入するためにペナルティー受けてでも

3基目が必要になるでしょう。元々性能面で遅れているのでペナルティーは覚悟してタマを入れた方が良いです。

 

 一方で、前戦でまさかのスピンにより勝利を逃したARTA NSX-GTが練習からタイムが出ず予選14位に沈むなど、

ウエイトが軽くて優勝候補と目されていたのにタイムが出ない車が数台発生。NSXはMRでのデータが使えず

涼しい時期のテストでのデータにこの条件を掛け合わせて持ち込みセットを決めるしかないですが、うまく

的中させるのが難しかった可能性があります。また、ブリヂストンは作動温度領域と合致していない陣営が

いそうな感じでした。

 

 一方GT300はTOYOTA GR SPORT PRIUS PHV apr GTの嵯峨 宏紀がPP。こちらもQ1、Q2とも速く、

Q2ではリアライズ 日産自動車大学校 GT-Rに僅差で敗れたかに思われましたが、リアライズGT-Rは

スプーンの出口で四輪が白線を超えておりタイム抹消でPPを手にしました。リアライズは結果3位に。

新型プリウスになってからもちろん初のPP。去年は1点も獲れていませんが、初入賞どころか優勝のチャンスです。

こちらGT300も有力と思われるチームで思わぬ苦戦を強いられていると思われるところが多く、

路面温度の高さとの関係が気になります。

 決勝、両クラスとも綺麗なスタート、MOTUL GT-Rはいつも通りタイヤの熱の入り方が早くてスタートから

Modulo NSXを煽りまくります。しかし、ダンロップ コーナーでGT300のゼッケン30・黄色い方の

TOYOTA GR SPORT PRIUS PHV apr GTがSUBARU BRZ R&D SPORTと接触してクラッシュ、SCとなります。

 5周目にリスタート、しますが中団でRed Bull MOTUL MUGEN NSX-GTの左後輪が脱輪( ゚Д゚)

原因は1周目にKEIHIN NSX-GTとヘアピンで接触したことにより、当たり所が悪くてナットが緩んだ可能性が

高いということです。公開されたRAYBRIG NSX-GTの車載映像に、確かに2台が当たってる様子がありました。

これで無限NSXはリタイア&理由はどうあれ脱輪したため罰金処分です。

 

 上位争いはスタート直後とは対照的にMOTULがZENT GR Supraに追われてシケインでかわされ3位後退。

Modulo NSXは一旦3秒以上のリードで大逃げかと思われましたが、アンダーステアが出始めたのか

ZENTスープラが急接近。そして11周目のシケイン、2台が接触してZENTがシケインを通過、そのまま

リーダーになりました。しかし、指示があったか順位をお返し、13周目には逆にGT300の大渋滞で

行き場が無くなってMOTUL GT-Rが2位に返り咲きます。

 

 渋滞が招く混乱は続き、15周目にModulo NSXがダンロップコーナーで脱出速度が全然伸びず立ち上がりで

MOTUL GT-Rがトップ。Modulo NSXは失速しているところに次々と後続車両が来てしまい、デグナーでは

ちょっと後ろから押されたりして7位まで順位を下げてしまいました。

未だかつてこれほど鈴鹿が狭く見えたことは無いですw

 さらにRAYBRIG NSX-GTが混乱に乗じて順位を次々と上げていき2位にまで浮上、牧野 任祐がイケイケに

なってきましたが、17周目にデブリーにより2度目のSC。裏ストレートに巨大なフェンダーが落ちてました(´・ω・`)

リアライズコーポレーション ADVAN GT-Rのフロントが丸ごとすっ飛んでDTMとかで良く見る状態になりました。

 部品1個拾うだけでSCが長引いて23周目にリスタート、ピット ウインドウは開いているのでここで

ドライバー交代したいチームもあり見る方も大変です。

 

 GT300ではHOPPY PorscheがSC中に4タイヤ交換。今季からSC中でもピット オープンの指示が出る

(基本的にリスタート1周前)と、ドライバー交代以外の作業は可能。順位が後方のHOPPYは失うものが

少ないので、SC中にタイヤ交換→隊列に追いつく→改めてドライバー交代のピット、で実質タイヤ交換の10秒と

アウト ラップの時間を削減できるという考え方です。GT500だと、やるとGT300の後ろでのリスタートなので

やる意味は基本的に無いんですが、GT300なら15位以降の車はやる価値あると開幕時点から思っていたので、

むしろやらない人が多いのに驚きました。JLOCランボルギーニGT3も同じ戦略を採りました。

 

 さらに大変だったのが、3位のZENTスープラにSC直前にミッション トラブルが発生したことで、リスタートされると

加速してくれなくて以降の車が抜けずに渋滞。いきなり2位と3位に8秒の差がついてしまいました。

ZENTはそのままガレージへ。トップ2は23周目にRAYBRIG、24周目にMOTULと入って変動ありませんでした。

 

 一方GT300は大変動、プリウスはSCに続いてリスタートのタイミングでピットに入りましたが、給油時間が長くて

ピット内でリアライズGT-Rに逆転されます。給油に時間がかかるのは燃費が悪いからではなく、重量が軽くて

燃費が良くてタイヤ戦略にも幅があるJAF GT車両は給油が遅くなるように調整されているためです。

SCで後続が詰まってのピットというのは一番よくない条件でした。

 そして放送では当初全然相手にされていませんが、無交換の常連・マッハ車検 GTNET MC86 マッハ号が

今回もタイヤ無交換で先にピットを出て事実上のリーダーとなります。

 

 GT300はピット組と入ってない組でぐちゃぐちゃ、GT500はトップ2の接近戦が始まろうとしていた28周目、

S字で意地の張り合いからHitotstuyama Audi R8 LMSがたかのこの湯 RC F GT3と接触、飛び出して

スナーバックスに入店し3度目のSCになります。

 GT300では変則2ピットのHOPPYがさっさと2回目を済ませたのでなんと一気に上位へ、一方JLOCウラカンは

この3回目のSCまでの間に2回目に入らなかったので作戦失敗となりました。

 

 34周目にリスタート、GT300ではマッハ号が苦戦。SCでタイヤを休められることよりも、全員詰まる方が

ほっぽど影響が大きい状況で、リスタート1周目にGAINER GT-RとリアライズGT-Rに抜かれ、さらに

UPGARAGE NSX GT3とシケインで争ってコース外に追いやってしまいました。

結局この後足回りを傷めたのか緊急ピットし戦線離脱。サイドコースに戻った後のスロー走行で

不可抗力により後続の事故を誘発してしまう場面もありました。

 

 一方GT500では36周目、3位争いでDENSOにARTAが思いっきり追突。DENSOはスピンで後退、実質2台に

抜かれただけで済んだのは不幸中の幸いでした。ARTAはスープラの部品が刺さってラジエーターを壊しリタイア。

NSXは何かと刺さります^^;

 

 GT500のトップ争いはMOTUL GT-Rが次第に逃げる格好。一方GT300は2台のGT-RとARTA NSXの争い。

このGT300の争いがこの後大変なことになりました。

 タイヤが落ちてきたリアライズGT-Rはオーバーステアがひどくて遅れていき、ARTAとの2位争いに転じますが、

リアライズのジョアオ パオロ リマ デ オリベイラは鬼ブロックで有名。4位のUPGARAGE NSXまで追いついてきて

三つ巴に発展します。GT-Rは直線は速い上に、車体がバカでかいため後方乱気流がひどいことでも有名、

抜きどころが少ない鈴鹿なので見事に防御していましたが、残り3周、デグナーでARTAがリアライズに追突( ゚Д゚)

2台ともスナーバックス デグナー店に入店し、UPGARAGEが運よく2位浮上。ARTAはボンネットが

吹っ飛んだ上にラジエーターを壊してリタイアになりました。今日流行ってますね(´・ω・`)

ターン3のイン側というちょっと危ない場所に止めましたがレース続行。

 

 リアライズはなお4位ですが、リアの空力部品が壊れたせいもあってさらにペースが遅くなり大渋滞。

なんとかこれを抜こうとするものの抜けないBRZを横目に、隙をついてシンティアム・アップル・ロータスが

しめしめと抜いて行って3位浮上で思わず放送席の由良 拓也がおおはしゃぎw

 なおもオリベイラ渋滞は続き、残り2周、逆バンクから先の全開区間でLEON PYLAMID AMGがスピン。

コースの4割ぐらいを飛び散ったバリアが邪魔しているにもかかわらずレースは続きます。

いくら残り1周強のレースとはいえ、かなり危険と感じました。公開された車載映像でこの現場を確認しましたが、

黄旗を振ってるから、クラッシュが起きたらそりゃあ黄旗を守ってない方が悪い、で済まされるレベルだとは

私には到底思えません。ジュール ビアンキの死亡事故を、このレースのレース コントロール側が

「ダブル イエローが出ているのにあまり減速しなかったから事故になったので自己責任」

と考えているのなら、そうきちんと説明してもらえればそういうレースなんだなと理解しますが、参加している側は

果たしてそう思っているのでしょうか?無線で教えてもらってるだろう、と言ってもトラブルやジャック抜けで

無線を聞けていない人がいるかもしれないし、たまたまトラブルやガス欠の車両がここに来て、

右に動こうとしたらGT500がすごい速度差で来て想定外のことが起こるかもしれない。

そのためのSCや赤旗じゃないんでしょうか?赤旗は確かに規定上順位が巻き戻されてしまうと思うので

出しにくいんでしょうが、SCなら出せたはず。距離的に見てSCが先頭を抑える前にチェッカーになって

終わってしまうでしょうが、コース全域に向けて追い越し禁止と減速を促す方がはるかに安全でしょう。

『FCY制度があったなら使うけど、無いからSCは出せない』は違うと私は思いますね。

 

 と、事故のたびにこうしたことを口うるさく言っている気がしますが、幸いここでの二次被害は発生せず、

GT500はMOTUL AUTECH GT-Rがリードをさらに広げて優勝、RAYBRIGの2位に次いで、なんと3位に

選手権トップのau TOM'S GR Supraが入りました。混乱をすり抜けて大儲け、ホンダ陣営とすると、

ARTAが前を撃墜して自らもリタイアしたことでauにさらに加点する機会を与えてしまい大打撃です。

 GT500の開幕から3戦連続表彰台は、自力で探した限りでは2014年のカルソニック IMPUL GT-R 

安田/オリベイラ(3位、1位、3位)以来です。

 

 WAKO'S 4CR GR Supraも6位あたりを走っていたんですが、最後の5周でトラブルが出たらしく9位。

Modulo NSXは後半の大津 弘樹が粘って最終的に4位、そりゃあ勝ちたかったでしょうが、チームとしては

価値のある順位だったと思います。

 

 GT300は、GAINER GT-Rが優勝しましたが、チームメイトの10号車はというと、なんと最終周に

リアライズと接触。リアライズ、2度目のスナーバックス入店で万事休す。

10号車はペナルティー無しで5位、GT300のリード ラップ車両は他に8台だったので、リアライズはスナバに

入ったままでしたが9位で2点は貰えました。

 奇策に出たHOPPY Porscheは基本的にペースが悪くて14位でしたが、元の順位を考えたら大きなゲイン。

ポールシッターの31号車プリウスはピット後は集団に埋まってしまい7位、開幕2戦では快進撃、このレースも

驚異の予選5位から前半は好レースでしたが、こちらもピット後に埋まって12位で無得点、スープラ旋風は

一旦吹き止みました。

 

 まあ想像以上に荒れたレースになりました。SUGOは見ていて危ないなと思える状況になって久しいですが、

今日は鈴鹿ですら「もうSUPER GTやるには狭くてあぶねえ」と思えてしまうほどでした。

放送ではなかなか伝わりきらないですが、黄旗に変な場所で出くわすとGT500は猛烈にペースが落ちたりして

いきなり大渋滞ができたりするので、走る方も見る方も本当に大変です。

その割に相変わらず情報量が少ないので、NASCARみたいにピット リポーターは3~4人欲しいですね^^;

 

 次戦はもてぎです。