NASCAR Cup Series
Super Start Batteries 400
Kansas Speedway 1.5miles×67Laps(80/80/107)=400miles
competition caution on Lap25
winner:Denny Hamlin(Joe Gibbs Racing/FedEx Freight Toyota Camry)
NCS at カンザス。相次ぐ未勝利組の勝利でプレイオフ争いが激しさを増していますが、このレースを終えると
週末はレースが無く次戦まで約9日の間隔があります。休みとまではいきませんが、気持ちの上で
一区切りとなりそうな一戦。夕方から夜へと向かう一戦で、セッティングとアジャストが重要です。
レースはやはり終盤の車の仕上がりと戦略が鍵となり、デニー ハムリンが今季5勝目を挙げました。
PPくじを引いたのはケビン ハービックでしたが、スタート早々にジョーイ ロガーノが先行、ライアン ブレイニーが
続いてペンスキーが1-2を確保。ハービックはあまりバランスが良くないようで、この後少しずつ後退していきます。
結局コンペティション コーションまでロガーノがリードを維持。しかしマーティン トゥルーエックス ジュニアが
背後にまで迫っており、カイル ブッシュも4位に浮上。久々にJGRが快走しています。
JGRにはさらに追い風、コンプコーション中のピットでロガーノ陣営にアンコントロール タイヤのペナルティー。
これでトゥルーエックス-カイルの1列目でリスタートされると、カイルがリードを奪います。
さらにハムリンも2位に浮上してJGRがトップ3を独占。一方ブレイニーはバイブレーションを訴えており、
これはもうJGRに勝ってくださいといわんばかりの展開です。
トラック上はトラブルなく進行する一方、リッキー ステンハウス ジュニアは電気系統から出火したようで
車内に煙が充満、リタイアに追い込まれます。
JTGドアティー レーシングは、ここ3戦ライアン プリースが事故やトラブルで最下位でしたが、こでれ今日は
ステンハウスの最下位が確定しチームとして4戦連続最下位。なおチーム オーナーのブラッド ドアティーは
NBCのコメンタリーに加わることが発表されました。以前はESPNに出てましたよね。
ステージ1はそのままカイルが制して待望の2020年初ステージ勝利。ハムリンが途中0.6秒差まで詰めてから
1.5秒まで離れたのが、追えなかったのか、追わなかったのかが気になります。個人的には追わなかったように
見えたので、今最速なのはハムリンかな、とは感じました。
と思ってたらステージ間コーションでハムリンがピット最速。トゥルーエックスが続いて、カイルは3位からの
リスタート。グリルにテープを追加しましたがアジャストの効果やいかに。
最近グリル テープについて書いて無いので補足しておくと、エンジンを冷却するためには風を当てる必要が
ありますが、前から風を取り込めば取り込むほど、ボンネットの内部から上に押し上げる力が働くため、
空気抵抗の増加、ダウンフォースの減少、というデメリットが大きくなります。
そこで、必要最低限の場所を残してテープで塞いでしまうことで、ハンドリングの改善を狙うのがグリルテープの
大事な役割です。特にナイト レースではどんどん気温が下がって冷却風が時間と共に不要になるため、
レースの進行とともにテープを増やすのが一般的。貼る場所を間違えるとエンジンが壊れることに繋がるので、
予め貼るべき範囲を示しておきます。JGRは白く囲ってますね。
ステージ2もJGRがトップ3を占める展開になりますが、98周目にトゥルーエックスがハムリンを抜いてリード。
そしてほどなく100周目にコーションとなりました。バッバ ウォーレスが単独スピンしていました。
ここからならステージ2を走りきれるので全車ピットに入りますが、ブラッド ケゼロウスキーが2タイヤ交換。
105周目のリスタート、集団に埋もれるわけにはいかないケゼロウスキーはトゥルーエックスとの数周にもわたる
サイド ドラフトの当て合いを制してリードを維持。ごちゃついてる間にカイルは一時8位に後退してしまいます。
トゥルーエックスは115周目にケゼロウスキーを抜いて再度リーダーとなり、ハムリンが続いてやはり
仕上がりが良いのはこの2台。なんとなく無風でそのまま終わりそうな雰囲気でしたが、ステージ残り18周、
25位走行のクリス ブッシャーがスピンしてコーションとなりました。
先ほどケゼロウスキーが2タイヤでそれなりに効果的だったため、ブレイニーを筆頭に4台が2タイヤ交換。
ステージ残り12周でリスタートされますが、ブレイニー以外の2タイヤ勢は元々の車が遅いせいですぐに撃沈。
ブレイニーだけがリードを維持していましたが、ステージ終盤にこれを追い詰めたのはケゼロウスキー。
残り2周でブレイニーを捉えてそのままステージ2を制しました。2タイヤが良かったんじゃなくて、単に
ケゼロウスキーが速かっただけかもしれません。ケゼロウスキーは戦略が見事にハマりました。
ステージ間コーションではハムリンとチェイス エリオットが2タイヤ交換。ハムリンは車の出来が良いので
確実にクリーン エアーを得るため、チェイスは逆にギャンブル要素が多いと解釈できます。
2タイヤの2人はファイナル ステージをリードしますが、ほどなく171周目にクラッシュが発生しコーション。
押されて横を向いていたマット ケンゼスにウォーレスが避けきれず突っ込みました。これはしょうがない(-_-)
176周目にリスタートされるも、上位がターン2を抜けた先でコーション表示。何が起きt
ぎゃぁぁぁぁぁぁぁ!!!!
ロガーノの左前タイヤがパンクしてターン2を曲がれずにウォールに突っ込み、この後続がもみくちゃに。
マット ディベネデトー、ジミー ジョンソン、先週の勝者オースティン ディロンも巻き添えです。
Matt D、今季ワーストの36位。このレースたった1点の獲得で、プレイオフ スタンディングスで15位へ後退です。
182周目にリスタートも、バックストレッチでまたもやクラッシュ発生。
ライアン プリースの車が大破。ルーフ フラップ、SAFERバリア、クラッシャブル ストラクチャー、全てが有効に
機能して、ひどいクラッシュでありながらプリースはすぐに車から降りることができました。事故のきっかけ自体は
レーシング インシデントとしか言いようがなかったですね。
187周目、3度目の正直とでも言えそうなリスタートからようやくレースが流れました。ハムリンに
トゥルーエックスが食い下がり、194周目にリーダーになりますが、翌周にまたもコーション。先ほどの事故の
起点となっていたライアンニューマンがスピンしていました。
ここで最後のピットの可能性が出てきたのでウイリアム バイロン以外全車ピットへ。ただ戦略はまちまちで、
2タイヤ4台、ケンゼスは給油のみ。トゥルーエックスが4タイヤ組で先頭ですがリスタート7位。
200周目のリスタート、バイロンが意外と健闘してレースをリードします。今週はチャド カナウスが第2子の
誕生に伴って欠場し、キース ロッデンがクルー チーフを担当しています。
しかしいつまでもリードできるわけはなく、ケゼロウスキーが新たなリーダーに。バイロンはそれでも後続が
ばらけたので大崩れする状態ではなく、順位を大きく上げたのでここまでは作戦大成功。ただ、彼一人だけ
ゴールまでの燃料は持っていないので、そこそこの周回でコーションが出て、全員ピットに入ることが作戦成功の
もう1つの条件です。
と、当然このあとバイロンがじり貧であろうという予想で物事を考えていたたこの後まさかの展開。
バイロンがケゼロウスキーに食い下がるどころか追い立て始め、残り47周でリードを奪い返します。
3位以下との差は広がっているので、決してケゼロウスキーが遅いわけではなく、すっかり陽が沈んだ夜の
路面状況に合致している模様。燃料が軽いというのもあるでしょう。
一方ブレイニーは陽が沈んで苦戦気味。ウォールに当たってフェンダーを傷めてしまうと、残り41周、
再度の接触で完全にタイヤを壊して緊急ピット。ほぼ同じタイミングでカイルもウォールに当たり同じく緊急ピット、
カイルの苦悩は続きます。今季残りのレースも練習・予選無しということが決定されたため、とにかく
ぶっつけレースでもなんとかするしかありません。
リーダーのバイロンは2位以下をぶっちぎって、あとは燃料が切れる前にコーションが出ることを祈るのみ。
ここ2戦、そういう展開が続いていますが、まさか今日はね、と思ったら今日もおきました。残り33周で
コリー ラジョーイがバリアに当たってコーション。うーん、コーションが出なくてもおかしくなかった気がするので、
面白くしようと思って出した?w
バイロンは意地でもこの位置を譲りたくないので2タイヤ交換。しかしライバルはみんな4タイヤで、
2タイヤを選択したのはチームメイトのアレックス ボウマンのみ。解説人もこの選択には否定的。さあどうなる。
残り28周のリスタート、バイロンとボウマンは並走して争ってしまいます。3位以下も混戦になったので、
うまくお互いにアシストしていけば逃げるチャンスでしたが、結局ボウマンが先行し、バイロンにはハービックが
襲い掛かり万事休すか。。。という中でまたコーション。今度はジョン ハンター ネメチェックがスピンしました。
バイロンにとっては最前列からもう一度やり直せる、最後のチャンスのような状態でしたが、リスタートで
うまくやったのは2列目インのハービック。ボウマンをどんどん押してまずバイロンをクリアーな状態にして
1対1の状況に持ち込み、そこからボウマンをかわして先頭に出るお手本のような走りを見せます。
序盤車が合っていなさそうだったのはこの時間帯を見据えていたから、まさにクローザーの本領発揮、
といったところでしたが、もう1人忘れてはいけない人が登場。ハムリンでした。
どっちのラインからでも抜いてやるぞ、と言わんばかりの動きで残り13周で再び先頭へ。ハービックも
無理やり抑えようという感じはなく、お手上げといった感じでした。
これであっさり終わりとはいかず、ハムリンが軽くウォールにこするミスをした間に、ケゼロウスキー、
トゥルーエックスが追い上げてきましたが、同じ失敗は2度しません。ハムリンが逃げ切って通算42回目、
カンザスでは3回目のトップ チェッカーを受けました。
車の完成度で言えばトゥルーエックスの方が上だったように思いますが、187周目のコーションでの
タイヤ戦略が結局最後まで影響したように思います。4タイヤで4列目からのリスタートになった
トゥルーエックスは、絵に描いたように集団に詰まって行き場を無くし、順位を取り戻すのにかなりの時間を
要してしまいました。
そして戦略という点では、もしや、と思わせたバイロンは結局10位フィニッシュ。ジミー ジョンソンを抜いて
プレイオフスタンディングスで16位に浮上しました。あの場面、2タイヤか4タイヤかは難しい場面でした。
ただ、後続を引き離していた関係で後続とは距離があり、仮に自分たちが4タイヤ、他が2タイヤでも
失う順位は限られていましたし、2タイヤって言うのは簡単ですがハンドリング バランスは崩れてしまうので、
私も4タイヤで行く場面だったかなと思いました。先週のRCRの動きから、クリーンエアーにあまりに
こだわりすぎた感じがありましたね。それでも10位なら悪くはない結果です。ただジョンソンを蹴り出したので
チーム的にはなかなか難しい状態です。
そのヘンドリック モータースポーツについては気になる噂が出てきました。MRNのラジオ番組内で、
ジョンソンの後任について『チームメイトのボウマンが#48に移り、3台体制に縮小する可能性がある』
という話題が出たようです。3台への縮小は私も以前コメント欄で書いたことがあると思いますが、
現在の経済情勢を踏まえると、チャーターをどこかへ貸して減車するのはじゅうぶん起こり得ると思います。
別の情報では、リバイン ファミリー レーシングがチームの売却を検討して、オーナーのボブ リバインが
入札を検討していると報じされており、長期化が予想される景気後退がNASCARのチーム運営に
大きな影響を与えて行きそうです。
次戦は8月2日、ニュー ハンプシャーです。




