NASCAR Cup Series

Big Machine Hand Sanitizer 400

Indianapolis Motor Speedway 2.5miles×160Laps(50/50/60)=400miles

※NASCARオーバータイムで161周に延長

competition caution on Lap 12

 

 NCS at ブリックヤード。お伝えした通り、ジミー ジョンソンがCOVID-19に感染したことにより、No.48は今回

ジャスティン オールガイアーが搭乗します。時系列が前後しますが、ジョンソンはこのレースの2日後、

検査に対して2度陰性結果が出たため、来週のケンタッキーで復帰予定です。

そして今回の放送はNBC、来週のケンタッキーとオール-スターは一旦FOXに戻ります。

知らなかったのでびっくりしましたw

 

 2.5マイルはポコノ―と同様、ステージ制レースでは逆算のレースになり、しかもレースが落ち着くと抜けない

インディアナポリスなのでわりと毎年退屈になるんですが、今年は珍しく白熱したレースが展開されました。

 スポンサーのBig Machine Hand Sanitizerは、ここ数年スポンサーをしているBig Machine Vodkaが

アルコールを利用して作った消毒液みたいですね。日本でも酒造会社が技術を転用して消毒液を作ってるので、

同じような事情でしょう。

 

 ジョーイ ロガーノとカート ブッシュを先頭にスタート、定石通り外側からスタートしたロガーノがリードを確保します。

カイル ブッシュはフロント ストレッチでライアン ブレイニーのサイド ドラフトを使う、どころかぶつけて抜いて

行きました、明らかに先週の接触を根に持ってますねw

 

 マーティン トゥルーエックス ジュニアはパワーが出ないようで6周目あたりから急激にペースが落ちて

どんどん抜かれていきます。原因はどうもECUのアプリ エラー、コーション中に修復をしたいところです。

 

 12周を終えるとコンペティション コーションですが、ケビン ハービックはなんと直前にピットへ。

コンプコーション前は給油ができない規則ですが、これでコーション後に先頭に出てステージ1終了、

ないしは終了3周前までもたせるつもりでしょう。既に3勝しているので積極的な戦略を採れる強みを出します。

 

 この後ハービック以外はコンプコーションでピットに入りますが、なんとここで大事故が発生。

狭い道幅に55mphと比較的速い速度制限が相まって危ないとされているピットで懸念された、いや、それ以上の

多重事故が発生。車が壊れるだけならまだしも、ブレイニーのクルー、ザック プライスは自分たちの車と

ブレナン プールの車に完全に足を挟まれてしまい、すぐさま救急搬送されました。

幸い生命に影響を及ぼすものではなく退院したものの、左ひざに骨折の疑いがあるということで、現在は

自宅療養しているとのことです。ジャッキ担当も危なかったんですが、屋根の上に緊急避難して無事だった模様。

 

 直接的な原因としては、ブレイニーがボックスに入り、その1つ奥のボックスを使うマイケル マクダウルが

入りにくいので少し減速して入ったところから玉突き事故のような形になってどうしようもなくなったというところです。

55mphで全員が車間距離を可能な限り詰めている中、誰かが急減速しても数台後ろの人は気づくことすら

ままならないままもう事故の只中になる、という状況です。Dシェイプオーバルと違って芝生の側に緊急回避も

行うことはできないですね。速度制限を下げるとか、何か対策が採られるかもしれません。

 

 この大惨事で赤旗となります。オールガイアー、トゥルーエックスも巻き込まれてフロントを大破しました。

トゥルーエックスは去年もピットの事故で車を壊しており2年連続です。

ボンネットの裏にもスポンサーのデカールってあったんですね。熱とか大丈夫なんだろうかw 

結局この後リタイアとなり、アプリエラーは関係なくなってしまいました。ピットの事故で結局6台がリタイア。

 

 大事故の陰に隠れましたが、カートは3位でピットに入ったのに2タイヤ交換からの発進でガンのホースを

踏んづけてしまい大失敗。結局4タイヤに変更して後方に転落してしまいました。

 上位のオーダーはハービック、ロガーノ、ボウマン、アルミローラ、ケゼロウスキー、ディベネデトーとなります。

リスタート後、ロガーノはバックストレッチでサイドドラフトを使ってハービックからリードを奪ったかに思われましたが、

最後にアルミローラがハービックを一押ししてサポート、ハービックがリードを維持します。

 

 30周目、3位のアルミローラが緊急ピット、バイブレーションが原因でした。その前から

「左リアのダメージは問題ないか?」と、ハンドリングの悪化とその原因を無線でやり取りしていましたが、

やはり何かしら問題が出ていた模様です。

 リスタート上位陣は2タイヤ交換でしたが、ハムリンが4タイヤ勢最速でコース上で追い抜きを繰り返します。

しかしさすがに2位のロガーノ相手には抜けず詰まりました。

 

 41周目、ライアン ニューマンがターン3でクラッシュしコーション。右前タイヤのトラブルが起因、バンク角が低くて

高速のインディアナポリスはとにかくタイヤへの負担が大きいです。

 

 これで多くがピットに入り、ハービックはトラック ポジションを得ながら周囲と戦略が同じになるという

ありがたい展開。ハムリンは作業で手間取り11位リスタートと後退してしまいました。ステイ アウトは5台です。

 

 ステージ残り4周のリスタート、リーダーのウィリアム バイロンがそのまま逃げてステージ1で勝利、

2位エリック ジョーンズ、3位オースティン ディロンまでステイアウト組でした。3位以降はなかなか激しいレースが

展開されて見ごたえがありました。ディベネデトーはステージ7位と上々の結果です。

 

 

 ステージ2、先ほどのステイアウト組がピットに入り、チェイス エリオット、ハービック、ハムリン、ディベネデデトーの

順でリスタート。ハービックは出足で失敗してしまい、ディベネデデトーが2位に浮上します。放送席もしばし

Matt Dの話題で持ち切りです。

 

 ただ、先行するチェイスを負うペースは無く、後続のハムリンを抑える展開。俯瞰の映像を見ると、ターンで

2車身差まで接近するとダウンフォースがかなり抜けて旋回速度が落ちるようで、ハムリンもなかなかMatt Dを

抜けません。NASCARをあまり知らない人はイメージで「スリップに入ってついていって簡単に抜けるんでしょ」

と思うかもしれませんが、実際は空力的影響が大きく、ラインが一本で別のラインから抜けないこのトラックは

追い抜きが困難です。

 

 結局この争いは72周目まで15周近く続きましたが、周回遅れに詰まったタイミングでハムリンがようやく

ディベネデトーを抜くことに成功。チェイスはもう4.5秒も前方です。

 そしてステージ2が折り返しとなる75周目にコーション発生、なんとジョーンズがクラッシュ、車から火が上がる

激しいウォールへのヒットでした。おそらく右前タイヤのトラブルが起因、これはタイト気味の車や

バイブレーションで悩んでいるドライバーにとっては他人事ではない問題かもしれません。

 

 このコーションではバイロンと兄ディロンが今度は2タイヤ交換で再び前へ。リスタートでリードを奪ったのは

ディロンで、その直後のバックストレッチでバイロンの左前タイヤがいきなりバースト。後ろを走っていたチェイス曰く、

リスタート後から左側を引きずってると思ったらデブリーが飛散してバーストした、とのことで、リスタート時点で

既に車がおかしかった可能性があります。当然コーションとなり、バイロンはこれで車体に大ダメージ。

プレイオフへ向けても打撃になります。

 88周目にリスタート、バックストレッチで3ワイドの見事な争いからハービックがリードを奪って視聴者大興奮、

の直後、ブレイニーがクラッシュしておりまたしてもコーション発生。ちょっと無理して自滅しましたね。

 

 92周目、気づいたらハービック、ハムリン、という先週も見た気がする顔ぶれでリスタート。ハムリンは

ハービックを狙いたいところでしたが、むしろさっきと同じパターンでチェイスに抜かれてしまい3位に後退しました。

 

 ステージ残り3周、アレックス ボウマンは左2タイヤ交換でファイナル ステージを睨んだ戦略に出ますが、

ハービックはリード ラップ維持をもくろんだボウマン陣営の考えを一瞬で打ち砕いてラップ ダウンにしてしまい

ボウマンの作戦は崩壊。ハービックがステージ2を制しましたMatt Dは4位です。

 

 

 たぶん9台ステイアウトでファイナル ステージ。2列目のハムリンとクリストファー ベルが結託、バックストレッチで

ブースターのようにベルがハムリンを押してリーダーに押し上げようとしますが、ハービックがしのぎます。

ただチェイスを抜くことには成功したのでまたハービックvsハムリンの対決になります。

 ハムリンはハービックの背後に接近し2位以降は離れていく展開。ピット ウインドウは120周目あたりから

開くので、ここでどう動くか、先週のポコノーと同じ展開になります。ただハムリンは先週と違って対ハービックで

航続距離が長いわけではないのでオーバーカットは狙いにくい状況。すると122周目、ハムリン陣営が先に

ピットへ。それを見てハービックもピットに呼ばれます。

 

 しかしハービックは左側のタイヤ交換にやや手間取り、コースに合流する前にもうハムリンが先行、

アンダーカットに成功しました。コース上ではリード ラップの19位、20位、といった位置です。

 

 133周目、まだハムリンの前では9台がピットを終えていないという状況で8位のアレックス ボウマンが

激しいクラッシュ。やはりタイヤのトラブルが原因のようです。インディアナポリスはターンが90度で侵入速度が

速いですから、旋回途中にタイヤが壊れてしまうと高い確率で深い角度でのバリアへの衝突になってしまい、

どうしてもダメージが大きくなりますね。

 


牽引されるボウマン車、クラッシュの激しさを物語ります。。。

 

 ステイアウトはハムリン、ハービック、ベルの3台、ピット組は4位にマット ケンゼス。ケンゼスはコーション前の

段階でまだピットに入っておらず暫定のリーダーでした。

 残り22周でリスタート、ここでハービックはターン1でミスをしてケンゼスに先行を許し大ピンチ。しかし必死で

抜き返して2位を取り返すとハムリンの背後に迫ります。リスタートのごたごたで少し右前のフェンダーを

傷めたようですがお構いなしです。

 

 ハムリンは車がタイト方向なようでハービックが背後に貼りついたまま。タイトな車でロング ランを行えば

タイヤの問題が起きる可能性があるので、クルー チーフからも気を付けるよう指示が出ます。

そしてそんな中古タイヤの2台を、タイヤの新しいケンゼスが後ろから待ち構えており、前に何か動きがあれば

ケンゼスに大チャンスが到来する面白い展開になりました。

 

 トップ3は膠着し残り7周、それは突然に起こりました。

ハムリン、恐れていたタイヤトラブルでクラッシュ。手にしかけたブリックヤードの優勝は一瞬で砕け散りました。

危ないかも、と思って見てはいても、実際に起こるとは思ってないので言葉がないですね。

 

 これでNASCARオーバータイムとなり上位勢はステイアウト。1列目はハービックとケンゼス、

2列目はエリック アルミローラとコール カスター。トップ4はケンゼス以外スチュワート-ハースですね。

 

 リスタートでカスターはハービックを好アシスト。2位はケンゼスになりましたが、バックストレッチで既に

ハービックと8車身ほどの大差。そのままハービックは残る1周半を走り切ってチェッカー。これでハービックは

インディアナポリスで2年連続3回目の勝利。インディアナポリスでは通算20戦で平均順位8.6となっており、

これはハービックにとってホームステッドに次いで2番目に成績が良いトラックです。

(2戦しかしていないシャーロットのローバルは除く)

 

 最後のリスタートは、自分よりタイヤが新しいケンゼスが2位に来てはいましたが、条件的にハービックには

有利な状況だったと思います。4位のアルミローラは、自分が勝つにはケンゼスを押していく必要がありますが、

押しまくってケンゼスを先行させた結果チームメイトの勝ちだけ奪って自分も勝てなければ大目玉。

現実的にケンゼスを助けにくい状態でした。カスターからすれば新人の立場でハービックを出し抜いて

勝つというのはなかなか難しい立場ですから、ハービックから見て脅威ではありません。唯一、カスターが

変な押し方をして回されることぐらいしかリスクは無かったように思います。

 こう考えると、ケンゼスは4位で2列目外側リスタートの方がおそらくまだ勝てる可能性があり、2位からでは

よほどハービックが出足でミスらない限りは、優勝は近くて遠い存在だったかなと思います。

それでもやっぱり期待してしまいましたけどね。

 

 さてさてMatt Dはどうなったろうか、9位あたりにいたから堅実にトップ10フィニッシュかな?

ハービックのチェッカーと同時に「後ろでクラッシュだ!」って実況してたけどなかなか映像が来ないn

うそ~(T T) ターン3の進入でディベネデトーが無理にディロンのインに入ってしまったのが原因。

あれは入っても曲がれないので引かないといけない場面でしたね。そのまま行けば8位あたり、

ポイントが大事なのに痛い判断ミスです、ディロンのファンのみなさんごめんなさいm(_ _)m

 

 ただ不幸中の幸いだったのは、リードラップ車が19台しかいなかったので19位にはなれたことと、

ステージ ポイントを稼いだいたため、獲得ポイントではこのレースで10番目に多かったこと。

 

 このレースを終えて、ポイント リーダーはハービックがさらに点数を伸ばして85点のリード。

2位はチェイスになりました。

 そして12~16位あたりはというと

 

12 Matt DiBenedetto 413

13 Clint Bowyer        410

14 William Byron       392

15 Jimmie Johnson   390

16 Austin Dillon        360

17 Erik Jones           354

18 Tyler Reddick       344

 

 Matt Dが12位になってくじ引き1巡目の参加権獲得、欠場のジョンソンは15位へ。バイロン、ジョーンズが

ともにクラッシュしてしまいましたので、RCRの2人がなんとかプレイオフ圏に食らいついています。

 

 次戦はケンタッキー、トヨタのおひざ元です。ケンタッキーでは出場した9戦全てトップ10、通算2勝のカイルが

そろそろ覚醒してくれないと面白くありませんね!