5月17日にシーズンが再開されるNASCAR Cup Seriesですが、それを前にして小規模チームで

統合が行われた模様です。5月14日、FOXスポーツのボブ ポクラスがTwitter上にて、

『リック ウェアー レーシングがプレミアム モータースポーツの買収で合意した模様』と発信。

https://twitter.com/bobpockrass/status/1260600149941850115

元々3月ごろから噂があり、5月3日にもポクラスは買収を示唆するツイートをしており、まだ正式に

発表は行われていないようですが、状況を詳細に考えるとRWRがかなりの大所帯になった可能性が浮上します。

 

 まず整理しておくと、RWRが元々動かしていた車はNo.51、52、53の3台、PMSはNo.15と27の2台です。

既にその一端は週末のエントリー リストに反映されており、J J イェリーは元々No.52でしたが、

最新のエントリー リストでNo.27へと変更。ポクラスのツイートでも、52のスポンサーが27に移った、とあります。

 チャーターという点では、PMSは15、27とも自らチャーターを保有、一方RWRは2つのチャーターを借りており、

51はリチャード ペティー モータースポーツからのもので、RPMとは提携を結ぶ形となっていてエントリー名も

『ペティー ウェアー レーシング』となっています。

53はフロント ロウ モータースポーツからのものです。

 52は元々のRWRの3台の中で唯一チャーターが全く無い状態ですから、52を27にしたのもチャーターの関係、

これで15、27、51、53で4台のチャーターを支配下に置いたことになりますから、52番は今のところ不要な車番、

と言えそうです。ただ、15に関しては少なくとも今週のエントリーリストではPMSの名前でエントリーされています。

 

 で、さらにややこしいのが、この週末になってなんと、B J マクラウドがXfinity Seriesで活動していた

『B J マクラウド モータースポーツ』というチームを新たにカップシリーズに参戦させ、No.78で今季のこの先

15戦程度に出場する方針を明らかにしたこと。1日完結のレースが続くので費用が安いことが要因で

参入のチャンス!と見たそうなんですが、そのBJMSはRWRの車両を使います。

 

 そして今週末はトミー ボールドウィン レーシングのNo.7もジョッシュ ビリッキが参戦しますが、

こちらの機材はPMSとの提携関係。

 さらに、スパイアー モータースポーツのNo.77もPMSと関係があるようで、全部合計すると、

RWRがPMSを買収したなら 7、15、27、51、53、77、78 の7台が事実上傘下に入ったと考えることができます。

 

 既にカップシリーズでは、大規模チームとそれに提携するいわゆるサテライトが陣営を形成する状況が

かなり進んでいます。サテライトと言っても、車体・エンジン供給契約を結んでいる『お客さん』程度のものから、

データまで共有して『事実上のもう1台』のところまで提携具合は様々なので同列には扱えませんが、

大まかな現在の提携関係を示しておくと

 

ジョー ギブス レーシング 11、18、19、20

 JGRのサテライト:リバイン ファミリー レーシング 95

 (事実上JGRの5台目と言えるほど緊密な提携)

 

チーム ペンスキー 2、12、22

 ペンスキーのサテライト:ウッド ブラザーズ レーシング 21

 (事実上ペンスキーの4台目と言えるほど緊密な提携)

 

ラウシュ-フェンウェイ レーシング 6、17

 RFRのサテライト:フロント ロウ モータースポーツ 34、38

 (車体・エンジン・技術等の基礎的提携と思われる)

 

スチュワート ハース レーシング 4、10、14、41

 SHRのサテライト:GoFas Racing 32

 (今季からの提携で車体・エンジン・技術等の基礎的提携と思われる)

 

ヘンドリック モータースポーツ 9、24、48、88

 HMSのサテライト:JTGドアティー レーシング 37、47

 (車体・エンジン・技術等の基礎的提携と思われる)

 

リチャード チルドレス レーシング 3、8

 RCRのサテライト:ジャーメイン レーシング 13

 (車体・技術等の基礎的提携と思われる。オーナー・リチャード チルドレスの孫・タイ ディロンが所属)

            リチャード ペティー モータースポーツ 43

 (技術等の基礎的提携と思われる)

            スターコム レーシング 00

 (車体・技術等の基礎的提携と思われる)

 

チップ ガナッシ レーシング 1、42

 

リック ウェアー レーシング 15、27、51、53

 RWRのサテライト:トミー ボールドウィン レーシング 7

 (一度プレミアム モータースポーツに売却された経緯があり、車体はPMSのものを使用)

            スパイアー モータースポーツ 77

 (公式に提携関係等の情報は無いが、プレミアムのドライバーでもあるリード ソレンソンが

  掛け持ちしているほか、昨年の最終戦ではSMS、RWR、PMSの間で不正な順位操作があったことが

  レース後に認められて罰則を受けており、一体となって動いていると思われる)

            B J マクラウド モータースポーツ 78

 (新規参戦、RWRの車体を使用するとされている)

 

MBM モータースポーツ 66

 (ドライバーのティミー ヒル曰く「どことも組んでない単独」だそう)

 

 こうして見ると、『8陣営と1台』というぐらいに連合が組まれており、RWRは7台と大所帯になりました。

とはいえ、トヨタのワークスと言えるJGR陣営をはじめ、それぞれの陣営は

メーカーからの手厚い支援を受ける大規模チーム>それと組む中小規模チーム

という構図になっており、RWRは数こそ多いものの寄り合い所帯、トップ25フィニッシュも簡単ではありません。

オーナーであるリック ウェアーが何を目指しているのか分かりませんが、Next Gen Carが導入される

2022年からは、チャシーはNASCARが各チームに共通コンポーネントを販売すると思われますから、

規模を大きくすれば部品やデータ共有がスムーズに行えます。

 チームはこれらの動きと呼応するように、シリーズ再開を前に人事異動とショップの移転も発表。

フォードとシボレーを併用していて特定のメーカーとの繋がりもない状態ですが、もし万一新規参戦のメーカーが

現れるようなことがあれば受け皿になる(あるいはチームを売却する)ことも考えられます。

もっとも今の経済状況でそうした可能性は極めて小さいとは思いますが。

 

 仮に日テレG+が放送していたとしてもまず取り扱われることはないであろう弱小チームの話題ですが、

ちょっと頭の片隅に入れておくと良いかもしれません。