NASCAR Cup Series

Fan Shield 500

Phoenix Raceway 1mile×312Laps(75/115/122)=312miles

winner:Joey Logano(Team Penske/Shell/Pennzoil Ford Mustang)

 

 NASCAR Cup Series at フェニックス、今季の最終戦でも使用される重要なトラックです。

今年の1月にISMとの命名権契約が終了し名前が元に戻りました。

 大会スポンサーのFanShieldという会社は、ファンを守るという名前の通り、購入したイベントのチケットが

急用で行けなくなったけど返金できない!といったチケットのトラブルを防いでくれる保険の会社だそうです。

 

 さて、フェニックスのレースの前には、2021年からの次世代車両のホイールのナットがセンター ロックになる、

ということが正式に明らかになりました。5穴では耐久性が30%低くなり、必要な強度が得られないことが

理由だそうです。NASCARらしい光景は1つ失われることになりますが、クルーが作業の迅速化を

突き詰めることに変わりは無いでしょう。緩んだら全然走れないので、レース後のラグナット点検作業や

それに付随した違反も基本的には無くなるようです。ボンドで1つ1つナットをくっつけておく作業も無くなりますねw

 

 また。2021年のClash at デイトナがオーバルではなく24時間レースで使用されるロード コースを使用する

見通しであることも明らかになりました。

 

 さて、今回のレースはステージ制導入以来初めて、ステージ1と2で距離が異なる設定となりました。

正直その効果はさっぱり分かりませんが、レースは終盤にかけて目まぐるしく展開が変わり、ジョーイ ロガーノが

早くも今季2勝目を手にしました。

 今回トラック上には外側におなじみの PJ1 トラクション コンパウンドが塗られました。おかげでラインの

選択肢が非常に多く、全部外を走る、やや速度超過気味にアウト、ミドルと入ってアウトに流れたやつを

トラクションコンパウンドで止める、というダーリントンのようなラインも使われました。ただ、走るほどに

どんどんハゲていくので、路面の変化が非常にハゲしくなります。

 また、今季のショート トラックはスポイラーが小型になった、2年前に似た仕様に変更されたため

ダウンフォースは昨年より大きく低下しており、さらに今回はタイヤも摩耗しやすい新スペック。

マネージメントも重要です。

 

 PPはチェイス エリオット、2位の砂漠王・ケビン ハービックと序盤は静かな追いかけっこが続きました。

そんな中でスタートから魅せてくれたのが我らがマット ディベネデトー。9位スタートから非常に安定した走りで

次々と順位を上げていき、なんと40周目には3位にまで浮上( ゚Д゚)

ステージ1を結局4位で終えましたが、トラクションコンパウンドが多いときに車が合っていたのか、ステージ2以降

順位を下げることになり、最終的には13位でした。

 

 58周目にリッキー ステンハウス ジュニアのスピンで初コーション、ピットでハービックが逆転します。

そして64周目にリスタート。フェニックスと言えばこのドッグレッグを使った争い!なーんて浮かれてたら

ターン3で事故発生、デニー ハムリンがブラッド ケゼロウスキーに接触、ライアン ブレイニーが巻き添えでリタイア。

 この後ステージ残り4周でリスタートされ、ハービックがステージ1を制しました。

 

 ステージ2もハービックとチェイスが争う展開でしたが、、ついさっき事故に遭ってたケゼロウスキーが次第に

順位を上げて来て2位にまで浮上します。ケゼロウスキー陣営は、車体のダメージは少なかったので

タイヤ交換と簡単な修復を行うと、最後の4周を完全に捨てレースにしてタイヤをセーブ、そのまま

ステイ アウトして大きく挽回していました。

 さらに新人のタイラー レディックもこの時間帯に快走。こちらはステージ1終了後にタイヤを替えているので

タイヤの優位性が理由かと誰もが思いましたが、この後条件がイーブンになっても好調を維持します。

 

 131周目にそのレディックのチームメイト、オースティン ディロンがクラッシュしてコーション、

ちょうどピット時期だったので全車ここで入りますが、ハービックは作業に手間取り5位へ後退。

ロガーノはアンコントロール タイヤのペナルティーで最後尾へ。

 

 しかしリーダーとなったチェイスもルース ウィールで緊急ピットとなり、最後はステージ最終周に

ギャレット スミスリーがトラブルで止まってコーションでステージ終了、ケゼロウスキーがステージ2を制しました。

レディックはステージ4位となる驚きのパフォーマンスを見せました。

 

 

 ファイナル ステージ。3位からリスタートのレディックは2位へ浮上したものの、争いでラインを外してしまい

9位付近まで後退。残念。

 その後214周目にクイン ハウフがエンジン故障から自分でオイルを踏んでスピンしたようでコーション、

ここから戦略が分かれ始めます。マーティン トゥルーエックス ジュニア、レディックら数台が2タイヤ交換で

トラックポジションを取りに行きました。個人的には、レディックはデビューしたばかりなのだから変なギャンブルで

大穴を狙うんじゃなくて、堅実に走って一流ドライバーと正面から争わせる方が良かったと思います。

 

 リスタート後は4タイヤ組のロガーノ、続いてハービックがリードを奪い、レースは残り60周ほど。

そろそろ最後のピット時期が気になるのでラリー マクレイノルズに戦略を解説を尋ねました。

 

ラリー「興味深いタイミングでコーションが出てますからね。213周目にコーション、

    ピットに入ったのが216周でリスタートしたのが91周残り・・」

マイク ジョイ「トラブル、ターン2!」

と思ったらエリック ジョーンズが事故ってコーション、ラリーの仕事が無くなりましたw

 

 そしてここからレースは一気に慌ただしくなりました。259周目にリスタートし、ロガーノがドッグレッグを使って

ハービックを抜いたのも束の間、265周目にレディックが無念のクラッシュ。そしてピットでロガーノは

ジャッキが壊れてしまい大きく順位を下げることになります。ハービックもピットに入りましたが、ステイアウトが

9台もいて益々フィールドも脳みそも混乱。

 

 ここからのランで速かったのはカイル ブッシュで、4タイヤ交換組ではぶっちぎりのリスタートを決めて

2位にまで浮上しましたが、リーダーのケゼロウスキーを捕まえる前にクリス ブッシャーのクラッシュが発生。

するとカイルはまたここでもピットに入ります。ケゼロウスキー陣営はステイアウト戦略を継続。Go like Hell!

 

 283周目、リスタートするもすぐクラッシュ発生(´・ω・`) トゥルーエックス脱落。

 

 289周目、残り24周でリスタート、さすがにいつまでも古いタイヤで耐えられるはずもなく、着実に

順位を取り戻していたロガーノがリーダーに戻ってきました。

 このまま終わりかと思いきや、残り9周でロス チャステインがウイリアム バイロンに押されてスピン。

このコーションでケゼロウスキーはとうとうピットへ、常に逆張り思考です。

 

 残り4周、1列目にロガーノとハービック、2列目に彼らより少しタイヤが新しい弟ブッシュとカイル ラーソン。

カイルはリスタート直後が非常に速いので、じゅうぶんチャンスありと思われましたが、

リスタート後ほどなくまたアクシデントでコーション。本日12回目、これでオーバータイムになります。

 

 そしてオーバータイム、ロガーノなら最後にぶつけられても不思議じゃないな~とか思いましたが、

ハービックがフェアな争い、さすがにこのレースで指折りの速さを持つ車をぶつけずに2周で抜くのは

難しく、カイルも2列目の外からのリスタートだったので特に動けずフィニッシュ。

ロガーノが今季2勝目、通算25勝目を挙げました。

 

 

 トラクションコンパウンドは最初に頼ると結局車が合わなくなるので、意図的にレースを動かすための

強引なツールとはいえ結局最後はセッティングと適応力が試されますね。ロガーノ陣営が無線で

トラクションコンパウンドを『awesome sauce』と言っていたため、インタビューも含めてちょっとした

流行語になってましたが、オーサム ソースを味方に付けて、二度のピットでのトラブルを取り返しました。

 

 序盤速かったディベネデトーを含めて、ペンスキーは4人全員が速かったあたりフェニックスでの

今年の車のセットでライバルより一歩前にいる印象、これは最終戦に向けた好材料です。

 その最終戦に向けた印象としては、ホームステッドよりも確かに接近戦ですし、一旦流れができると

空力的に抜けない、ということもない中でこういったレースになりましたから、NASCAR的にも

『最後の1周まで分からないチャンピオン争い!』と宣伝できるので営業的には良いレースだったでしょう。

ただ、ロガーノの話で茶化して書きましたが、実際問題コンテンダーが終盤のリスタートから争えば

ほぼ確実にぶつけることになるでしょうから、果たして長い1年の戦いの成果が最終周の当てた、当てられた、

で決着してしまって良いものか、そういうタイプのトラックで良いのか?という不安要素はあります。

それがNASCARだ!と言い張れるぐらいならそれはそれで構わないでしょうが、当てられた側のファンが

納得しないであろうことは確実です。

 

 もちろんそういう展開になると決まったわけではないですが、ドライバーの皆さんにはプライドを忘れずに

11月にここに戻ってきて戦ってもらいたいものですね。