2020年もダカールラリーでモータースポーツのシーズンが始まりました。今年のダカールラリーは、

2009年以来開催されてきた南アメリカ大陸ではなくアジア大陸へ移動、サウジアラビアで開催されています。

昨年はチリ一国開催になり、そのチリも現在地下鉄の値上げを発端に政情不安。

 国民が生活に不満を訴える一方で多くの予算が娯楽に費やされることが良しとされないのは、フォーミュラEが

開催されるジャカルタでも現在起こっており、今年仮にチリで開催する予定なら中止もあり得たでしょう。

移動の決断はそういった点からも必須だったと思われます。

 

現在前半戦が終了し、

 

2輪部門ではリッキー ブラベック(MONSTER ENERGY HONDA TEAM 2020 / HONDA CRF 450 RALLY)

4輪部門はカルロス サインツ(BAHRAIN JCW X-RAID TEAM / MINI  JOHN COOPER WORKS BUGGY)

トラック部門はアンドレイ カルギノフ(KAMAZ-MASTER / KAMAZ 43509)

 

がそれぞれトップになっています。

今年もJ SPORTSが連日デイリー ハイライトを放送していますが、ここ数年行っていた独自取材車両・

J SPORTS号をサウジアラビアには出さなかったようで、今年の放送は久々に国際映像多めの構成。

Dakar HereosやDakar Newsといったコーナーがきちんと放送されています。

 

 Heroesは何人かの参加者にカメラを渡して密着する形で映像を収録・放送するもので、車内での

ドライバー/コ ドライバーのやりとり、ステージを終えた歓喜、転倒の瞬間、他の競技者との助け合い、

地元の人との交流、途方に暮れる姿、などダカールラリーの多くの姿を映し出してくれます。

 Heroesの選手たちは、我々が聞いたことのない個人レベルの名もなき人たちばかりですが、300組以上の

ラリー参加者のほとんどはこうした人たち。優勝を争うワークス体制の競技者は一握りであり、多くのこうした

名もなき選手たちが自然に挑む姿こそダカールラリー、創設者ティエリー サビーヌの精神を最も表した

人たちだと思います。だからこそ、参加者一人一人が「ヒーロー」なのでしょう。ここ数年のJ SPORTSの放送では

独自映像を盛り込むためにこれらのコーナーがほぼカットされていたので、個人的にはこっちの構成の方が

見ていて興味を持てます。

 

 今年はそんなダカール精神を取り戻すためか、いくつかのステージではロード ブックをスタートの前になって

渡され、少ない時間で対応する新しい試みも開始。どうも最近は技術が発達しすぎて、前日のゴール後に

渡しておくと衛星画像やらなんやらで予習されてしまい、有力チームほどさらに有利になる傾向が

強かったようですね。

 

 2輪部門では18連覇中のKTMを倒すべく今年も気合いの入ったホンダがラリーをリード。2位には

ハスクバーナのパブロ キンタニーヤ、3位にKTMのトビー プライス。ホンダは毎年速さはありながら

致命的なトラブルやクラッシュで脱落していっており、ブラベックがこの座を守れるかが後半の注目。

ヤマハはザビエー ドゥ スルトレイ、アドリエン ファン ビフェレンの2枚看板がいずれも早々にクラッシュ。

大けがするような大クラッシュが立て続けに起きるあたり、足回りがちょっと固いとか車体側にも

やはり扱いづらい部分があるのか?と素人目に感じてしまいました。

 

 4輪はフェルナンド アロンソという元F1ドライバーが昨年の優勝車両であるトヨタ ハイラックスで参戦し、

なんとコドライバーに元2輪クラス王者・マルク コマを連れてくるという至れり尽くせりっぷりでしたが

ステージ2でトラブル発生。修理屋さんに。

コマって引退後は運営側でステージ設定とかの担当してたはずなんですけど^^;

 

 一方「はず」と言えば、ステファン ペテランセルは今年夫婦での参戦を表明し、他のラリーでも

準備を重ねてきていました。が、直前にコドライバーをパウロ フィウザに交替。アンドレア夫人、

健康上の理由で参加できなくなったそうです。しかし急な変更、慣れない英語のナビゲーションも

なんとかこなして現在3位。2位にナッサ― アル アティアー。優勝争いは現在のダカール御三家の

争いになりました。4位の地元ドライバー・ヤジード アル ラジにもまだチャンスありと思われます。

爆発するとめっちゃ速い人なので要注目。

 

 今年もトヨタ車体はランドクルーザー200で参戦。初めてオートマチックのトランスミッションを採用して

市販車部門ことT-2クラスでの7連覇に挑戦。といってもこのクラス、調べた限りそもそも5台ぐらいしか

いないですね。こんなに大量のスポンサー背負って挑んでるのはたぶんここだけでしょう。

 

 トラックはカマズのカルギノフが2014年以来2度目の優勝へトップを奪取。ステージ3までトップだったMAZの

シャルヘイ バイアゾビッチは徐々に後退し3位。 4位にはプラガというチェコのメーカーのトラックを駆る

アレス ロプライスがつけています。このV4S DKRというレーシング トラック、かなり全長が短いのが特徴的です。

 

 こちらには日野チーム菅原が2台体制で参加。伝説のドライバー・菅原 義正はとうとう引退してしまい、

息子の菅原 照仁が中心となって新たな時代へ。車両も照仁が日野500、そして2台目のドライバーとして

招聘された塙 郁夫はボンネット形状の日野600と分けてきました。残念ながらその塙の車両は

ステージ2でリア部分が壊れて修復できずリタイア、ステージ4以降は章典外で走行しています。

日野は今年も『排気量10L未満クラス』での11連覇を掲げています。ただこの10L以下の車両も

調べた限り日野以外にはメルセデスの1台しかそもそもいないみたいですね。しかもいわゆる

市販車クラスのT4.1なので、改造トラックのT4.2クラスである日野とはだいぶ性能違うし^^;

 

 ラリーは折り返しから後半へ、紅海沿いを走るステージは大きな岩の間を抜けたり、路面にゴロゴロと

大きな石が転がっていましたが、内陸へ移動していき本格的な砂丘が到来、難所はまだまだ続きます。