2017年10月に発売されたグランツーリスモSPORT。従来作と違ってeスポーツ要素が強い本作において
ゲームの中心要素となるFIAグランツーリスモチャンピオンシップは概ね3月~9月の開催で、その後の
ワールドファイナルも終了し、現在は"2年目のシーズンを終えた"ような状態です。
2年目となる今年はFIA以外にも、国体こと全国都道府県対抗eスポーツ選手権 2019 IBARAKI、
ポルシェ Eスポーツレーシングジャパン、さらにはイベントにおいてスーパー フォーミュラ・ヴァーチャルシリーズと
公認の大会も増加し、大きく活動範囲が拡大したシーズンだったと思います。私も国体の大阪府代表決定戦まで
進出することができ、初めてこうした『人前でゲームをプレイする』ことを経験しましたが、最近はメディアでも
eスポーツが取り上げられる機会も増え、時代の流れにうまく乗りつつ自ら道を開いている最中かなと思います。
一方で、実際に参加したり、また参加した方の話を聞いていますと、まだまだ詰めの甘い部分も多く、
少し気を付ければ済む部分に手が付けられていないために評判を落としていると感じる部分も多くありました。
きちんとこうした問題を改善していかないと、せっかくの盛り上がっている機運がしぼんでしまいかねず、
それはすなわち私が遊べる場所が無くなってしまうので()、課題と提言を記しておきたいと思います。
願わくば暇な社員さんがGT SPORTのエゴサーチをしてここに辿り着いてくれることを願いますw
(まあ概要は実際にメールを送っているのですが)
◎見つけ辛かった国体レギュレーション
国体は自宅でタイムアタックするオンライン予選と、その成績上位者を集めて会場で都道府県代表を決める
オフライン予選(都道府県代表決定戦)の2段階に分かれていましたが、今目の前で遊べばよいオンライン予選に
対して、実際に当日会場に行って一発勝負のオフライン予選は事前準備がきちんとされていないといけません。
ところが、その大会規則がなかなかに分かり辛いな、というのが印象に残りました。
コースやカテゴリーは公表されているものの、プレイヤーにとって重要なタイヤ・燃料の消耗倍率と時間帯・天候が
レギュレーションに記載されていなかったのが最たるものでした。
結局我々の多くは、既に終了した大会に参加された方の情報を頼ることになりましたが、実際に会場へ行って
改めてブリーフィングを受けた際、こんな説明を受けました。
「消耗倍率に関しましては、サイトのFAQに記載されている通り各1倍です」
記載されてる??? 大会を終えて家に帰ってから確認して気づきましたが、消耗倍率はレギュレーションの
欄には記載されていなかったものの、FAQの下の方には記載がありました。
”レギュレーション”のページの記載事項。倍率に関する記載はない
”FAQ”の記載事項。ここに倍率や車種選択の内容が記載されていた
FAQは最初の頃に何度か見ていますが、たぶん最初は書いていなかったはずです。問い合わせが多いので
後から書き足したのでしょう。それは良いことだと思います。しかし、競技規則に関わる内容なのだから、
この時点でレギュレーションにも追記していただきたいなと思いました。レギュレーションは私は間違いが
無いように何度も確認しましたから、こちらに書かれていれば気付いたと思います。
国体は、GT SPORTのサイト上にランキングページがあり、レギュレーションなどはプレイステーションの
サイト内のGT SPORT国体ページにあり、その項目もFAQ、大会詳細、レギュレーションと分かれていて、
なおかつ全国都道府県対抗eスポーツ選手権のサイトもあるので、情報が散らばっていて正直探すのが
結構面倒でした。オフライン予選の会場に関しても、『大阪は一般観覧不可ですね』とか他の人に言われて
「え、会場の情報とかどっかに書いてあるの?」と思ったぐらいです。もうちょっと分かりやすく集約を
していただきたかったですね。
◎存在が謎だった審判
都道府県代表決定戦では、規則は事前のブリーフィングで、審判がレースを見て、ゲーム内のペナルティーとは
別に接触、幅寄せ等の行為に1~99秒のタイム加算ペナルティーを課す、と説明されていました。
幸い私のいる大阪府の代表決定戦は3レースとも大きな事故なく進行しましたが、前日の奈良県では
旧知のマッキーさんが最終周に接触でスピンさせれらてレース1で敗退。しかしペナルティー無し。
さらに他のプレイヤーでは、ストレートで壁に押し付けられるところまでやられたけどはやり無罪、という
全く審判が機能していない状態だと聞きました。マッキーさんは審判に事情説明を求めたものの、
「画面に映っていないから」と一蹴。
これに対してマッキーさんは「自分のはレーシングインシデントで片づけられても仕方ない。でも
壁にまで押しやられてペナルティーが無いのはおかしい」と、競技全体に関わるという問題意識から
・レギュ説明でペナにあたるとされた行為であるのにペナがほとんど無いケースが多かったのは何故なのか
・判定すべき審判員が居るのに全て機械判定任せと説明されたが審判員は何を判定する役割なのか
といった趣旨で運営に質問メールを送信しました。返事が来たのは約2か月後^^; その内容は
貴重なご意見ありがとうございました。
選手同士で敬意を払いながら、クリーンなレースが実施できる大会の環境づくりに努めてまいります。
といった感じだったそうです。うむ、会話が噛み合ってないぞw
会場によっては、厳しめに判定をした審判もいたそうで、地域によって対応にも違いがあったようです。
本来であれば抗議とリプレイ検証は必要な要素のはずですが、残念ながら会場ごとにスケジュールが
がっちりと固まってしまっているため、そういったことを行う時間が現実的に用意されていないというのが
そもそもの欠点でした。パズルや格闘であれば、明確なチートでない限りこうした案件は発生しないので、
多人数が常に予測不能な変動要素となる自動車レースならではの問題と言えます。そもそも判定には
それなりの知識が必要ですが、運営に携わっているのは別にレースの専門家でもなければ、おそらく
ポリフォニーデジタルのスタッフでもなく、このeスポーツ選手権のスタッフでしょう。他のプレイヤー(のお父さん)が、
「審判というのは講習を受けるなどして知識を有しているのか?」と質問したところ、特にない、と答えられたそうで、
(元々知識があったのなら別だが)審判にそもそも判定技能があったのかも疑わしい、ということになってきます。
FIAグランツーリスモチャンピオンシップのワールドツアーでは、ゲーム上の機械判定以外のペナルティーが
状況に応じて機敏に出されているようで、ポリフォ側には最低限の体制は整っていると思われます。
判定は事案が発生しないにこしたことはないですが、起こった際に最も問題になる部分。規約でいくら
『一切の責任を負いません』などと免責事項が書かれていたとしても、運営が最低限の体制を保証しなければ
不当で過剰な免責と言わざるを得ませんから、このあたりは最も注意を払うべき点です。
できれば審判は全日程を通じて統一、「私が責任をもってこの競技を扱います」と言える人物をきちんと
選定すべきでしょう。
◎さらに不親切だったポルシェ Eスポーツレーシング
それでも国体は比較的きちんとしていたな、と感じるほど色々不備が多かったと感じたのが
ポルシェ Eレーシングでした。最初に告知された段階では、ポルシェ モータースポーツ ジャパンのFacebookに
詳細が書いてある、とGT SPORTの公式サイトからリンクが貼られており、そこを見ると
参加条件は18歳以上というだけなので、18歳以上なら誰でも出れそうな気がします。が、その下の画像には
ひっそりと『ポルシェ契約ドライバー限定』と記されていました。私もこれに気づいておらず他の方の指摘で
気がつきましたが、実際にエントリー受付が開始されると、マニュファクチャラーシリーズでポルシェと契約した
ドライバーだけが参加できるシリーズでした。なぜテキストにその情報を入れなかったんでしょうか?
画面詳細:以下の画像をご確認ください
で全て説明したというのであればちょっと不親切すぎる気がします。
この段階はちょうど2019FIAグランツーリスモチャンピオンシップの本シーズンのマニュファクチャラー契約を
決める時期でしたので、これに出たいなら本シーズンをポルシェで戦う、というイコールの関係でした。
それはそれできちんと説明されていれば構わない方針だと思うんですが、結局いくらかのプレイヤーは
別アカウントを作成、あるいは元々持ってる別アカウントでポルシェと契約する手法を採ったようです。
そしてこれは事後に結果的に発生したことですが、本来この2019プレシーズンのマニュファクチャラー契約は
本シーズンまで継続だったはずが、『グローバルマニュファクチャラーランキングの計算方法を変更した』ことを
理由にして、なんと話が変わってプレシーズン~本シーズン間で契約変更が可能になってしまいました。
「だったら俺もポルシェと契約すればよかった」と、半ば後出しじゃんけんのような運営に呆れた方も
いらっしゃったのではないでしょうか。
そもそも、公式サイトから貼られたリンクはFacebookのポルシェモータースポーツジャパンそのものですから、
時間とともに記事は下へ押し流されて行きます。1か月ほどのイベント期間という短いシリーズではあるものの、
情報を発信する場として適切とは思えません。この記事を書くためにどれだけ投稿を遡ったことか。
記事と直接リンク付けできるwebサイトか、最低でも大会用の別のFacebookアカウントを作成すべきでは
なかったのかと思います。GT SPORTのロビーのイベントを行う個人ですら、運営用のTwitterアカウントを
別途作成して人がいるんですけどね。
◎リアルイベントを目前に梯子をはずされる
そして、全3戦のシリーズを終えて富士スピードウェイでの決勝に向けての間にもまた問題が起こりました。
まず、ランキング上位者への連絡が非常に遅かったようで、予定を立てないといけない社会人にとって
不便であったことが1つ。その内容に対して疑問があって質問を返信すると、またその返事が来るのが、
と、極めて時間が無い状況だったそうです。
そしてなんと、デュアルショックを使用する方が念のため大会でも使用できるか問い合わせたところ、返って来た
答えが「デュアルショックは使用できない」という返答を受けた、というのが最も驚きでした。
最初に貼った画像をご覧いただくと分かる通り、国体ではレギュレーションできちんと使用可能デバイスの
記載があり、会場ではデュアルショック4かT-GTのいずれかであることが明示されていました。
一方でこちらのイベントにそれはなく、返って来た答えが「使えない」。使えていれば出るはずだった方、
相当な怒りようでした。当たり前です。
2つの大会について見聞きした内容から悪かった点をざっと並べてみましたが、このうちのいくつかは
比較的簡単に解決が可能だったはずの問題だと感じました。
そもそも改めて確認しておくと、こうした大会は全部GT SPORTの開発元であるポリフォニーデジタル社が
何から何までやっているわけではなく、ポリフォの許可や助言を得ながらそれぞれの大会の主催者、あるいは
そこから委託を受けた企業等が主体となって運営を取り行っているはずです。それゆえに、大会主催者ごとに
何が重要な情報か、などの認識がバラバラであることがこうした問題が起きる一因と考えられます。
なんでもかんでも問題の原因を全部ポリフォのせいにするのは誤りですが、結果的に問題が起きると
ポリフォやGT SPORTの全体のイメージ低下につながるのも間違いないところ。ですから、大会規則に関しては、
普段ゲーム上で書いているようなレギュレーション表のフォーマットを主催者に必ず渡し、主催者は
それに従ってコース、時間、倍率、そして今回問題になった使用可能デバイス、出場者への連絡方法や
応対速度について、関係するものは必ず全て記入するように指導をすべきだと思います。
抜けがあれば必ず問い合わせが来ますし、そうすれば結果的に運営の作業負担も増えます。少人数の部署で
作業をしているとなると、時間がかかってしまい、全部自分たちの信用に跳ね返ってきますから、入り口で
きちんと企業同士で意見のすり合わせをしておくことは極めて重要だと思います。
また、情報を記載したwebサイトが、ページが複数に跨ってしまっていたり、SNS上に設けるのも可能な限り
避けるべきで、分かりやすい1か所で必要な情報が手に入るようにする努力も不可欠でしょう。
そして、見やすく、どんなイベントでも同じ見た目でユーザーが理解しやすいようにするために、やはり上記のように
ポリフォ側が用意したフォーマットが役に立つと思います。
マッキーさんとはこの運営とのやり取りに関して情報交換をしたんですが、話の最後はこう結ばれていました。
少しでも良くなるきっかけになればと思います。このまま廃れないためにも
今はまさに黎明期で、話題性で盛り上がれるのなんてせいぜい数年ですから、これが定着するのか
廃れるのかはまさに今の対応、運営が鍵を握っていると思うので私も全く同じ思いです。
高額賞金が貰えるわけでもなければ、我々レベルで日本一になれるわけでもないですが、それでも
生活の時間の一部を注ぎ込んでみな真剣に、楽しみに取り組んでレースに臨んでいます。それが、
言ってることと違った、急に話が変わった、聞いてない話が出てきた、こんな話で台無しになるなんて
あってはならないことです。今年は許されても、来年同じことは許されないでしょう。
「フライングは失格になりますよ」と言いながら、検知装置が無くて映像も録画してないから、審判が目で見て
分からなかったらフライングにならない、そんな陸上競技会があるでしょうか?
まだまだGT SPORTは参加者も多く(ゲーム業界関係に縁があるプレイヤーさんと会話したところ、
発売2年でこれだけの参加者が維持されているオンラインゲームはなかなか無い、とのこと)
来年もまた色々とイベントが仕掛けられることでしょう。ハラキリさんなんて色んなところに顔を出して
すんごい交友関係になっていて、SNS時代という時代背景とも相まって、GT SPORTが繋ぐ人の縁というのも
想像できないレベルになっています。たぶんこんなゲームなかなか無いです。eスポーツ大会はその根幹、
ここが崩れてユーザーが減れば、色んなものが無くなっていきます。もちろん大した予算もなく限られた人員で
ノウハウもないのにやらなければいけない苦労も重々承知していますが、エントリーしている人たちの名前には
それぞれに思いが込められていて、単なる電子データではないぞ、ということを肝に銘じて”3年目”へと
進んでいただきたいと思います。