2019 AUTOBACS SUPER GT Round 5 FUJI GT 500mile RACE
富士スピードウェイ 4.563km×177Laps=807.651km
(GT300 class leader:163Laps)
GT300 class winner:T-DASH ランボルギーニ GT3 高橋 翼/André Couto/藤波 清斗
(Lamborghini HURACAN GT3/JLOC)
GT300クラスの富士500マイルはやはりSCが絡んで想定外の結果になりました。レース中ほとんど
注目されていない存在だったT-DASH ランボルギーニ GT3がライバルの裏をかく作戦で優勝、
JLOCとしては2014年第4戦SUGO以来となる3勝目、前回はまだガヤルドだったのでウラカンでは初優勝、
カー ナンバー87では初優勝でと初物ずくしなレースでした。なお、前回優勝した2014年SUGOは
サッシャが実況でデビューしたレースでもあります(@_@)
PPは埼玉トヨペットGB マークX MCで、2位にHOPPY 86 MCとマザーシャシーが1列目を独占。MCは
直線が遅くて富士で不利、と言われたのは今も昔、彼らは開発努力で抵抗を削って最高速を伸ばす一方で、
GT3車両はむしろダウンフォースを付けてセクター3を早くした方がレースに強いしタイヤも守れる、とコーナーを
重視する傾向が強まっているようです。
3位に最近予選で早いけどレースではやはり有力チームに劣るRUNUP RIVAUX GT-R、
4位がSUBARU BRZ R&D SPORT、と、マークXから見れば自分と同じく遅い車と、レースではおそらく落ちる車が
固まっているので、序盤の混戦を避けることができそうな顔ぶれになりました。
スタートでRUNNUP GT-Rは加速が良くさっそくリーダーに、さらにこの後HOPPY 86もマークXを抜きます。
RUNNUP GT-Rは予想通りじわじわ落ちて、HOPPY 86とマークXの1、2位へ。いずれもタイヤの摩耗が少なく
タイヤに関して何らかの作戦を行使しそうなので、それでいて先頭を走るというのはかなり有利な状況です。
1回目のピットはHOPPY 86が34周目で左2輪、マークXは35周目で無交換、これでマークXは実質トップに。
しかし2本とはいえ交換したかどうかの差はあり、10秒以上あった差がじわじわと詰められていきます。
2回目のストップは先にマークXが66周目に行いますが、ここに実はまず1つ大きな出来事が。
ここで四輪交換を行いますが、左後輪のナットが噛んで時間を要してしまいました。そしてこれが原因で、
まだ入っていないHOPPY 86にセクター3で周回遅れにされてしまいます。そしてその直後にSCが入りました。
仮に、作業があと5秒速くてHOPPY 86の前でSCになっていれば、この時点で彼らはGT500のトップと同様、
ほぼ1周差のトップになっており、優勝確実に近い状況になっていました。
この時点ではHOPPY 86としては、まだ2回目のストップを終えていませんが、次も2輪交換であればおそらく
リードを奪うことができる状況ですから悪い話ではありません。が、実は彼らはスタート直後にマークXと
接触してちょうどエアー ジャッキのホースを刺す部分が壊れており、この2回目のピットで
『タイヤ交換をする前にそもそも車が持ち上がらない』という試練に遭遇。長い作業になってしまいます。
一方マークXはリスタート後にLEON CVSTOS AMGが背後にいましたがタイヤのトラブルですぐ脱落。
マークXからすればライバルが2周のうちに次々脱落していった形です。
で、この時点で実は既にもう1つ事件が起きていたんですが、私は全く気付いていませんでした。
SC時に最大の利益である『SC前にライバルよりも多い回数のピット義務を消化し、リード ラップに残っている』
という条件を満たしていた車が1台いたのです。それがT-DASHウラカンでした。
私は「画面に映ってないだけでタイヤはめなおしたとか緊急のやつで2回のうち1回は関係ないやつだろう」と
展開から思い込んでいて、『関係ない車』だと思っていました。しかし実際は全く違うものでした。
彼らは40周まで一度目のピットを引っ張ると、ドライバー交代をしてコースに入り、
そしてその周にまたすぐにピットへ。また給油をしつつドライバー交代を行って、短い作業でロスを避けつつ
2回目の義務も立て続けに消化していたのです。
GT300クラスはGT500と比べれば距離が短く、車両によっては航続距離的に3ピットでも走ることが可能です。
ただ、規則上『4回のドライバー交代を伴うピット作業』が義務付けられているので、連続ピットすると
作業時間的に、ドライバー交代作業が他の作業に対してどこかで『余る』ことが多く、そしてスティントが長くて
ペースを保つのも大変。不確定要素への対応も難しいため、あまり採用するものではありません。
ある種、自分たちがコンテンダーでない、という割り切りがあったからこその作戦だと思いますが、既にこの時点で
機能していました。空気抵抗が少ないせいかウラカンはGT3車両の中でも燃費が良いそうです。
この後2度目のSCでも、T-DASHはサイクルがズレているのでもう3回目の義務を終えている一方、マークXは
やはりピットを未消化。SC明けには、周回遅れのマネパ ランボルギーニ GT3がなぜか道を譲らずに
挙句の果てに軽く接触までしてしまって損もしましたが、ピット サイクルのズレに比べれば軽微な問題でした。
T-DASHとマークXは、残り1回ずつのピット義務を残して1分以上の大量の差。マークXは3回目に続いて
4回目の最後のピットでもタイヤを替えないまさかの『トリプル スティント』を行いますが、1分差が40秒差に
なっただけで焼け石に水状態。個人的にはむしろ、どうやっても追いつかないし後続とも差があったので、
きちんと四輪替えて、万一SCがまた出た際の体制を整えた方が賢明だと思いました。
実際、この後Modulo KENWOOD NSX GT3が猛烈に追い上げてきて2位も危うくなりました。
結局T-DASHはぶっちぎりのトップでチェッカー。ちょうど時間切れの頃にフィニッシュ ライン近くを
走行しており、しかもGT500のリーダーが最終コーナーで自分を抜いていきました。ちょっとアクセルを戻して
後ろにつけば綺麗に2台でチェッカー!だったんですが、
追い抜くんかーいw 変なことして優勝を失いたくなかったんですかね。まあ、GT500のリーダーがチェッカーを
受けた時点でGT300の2位以下が間にいなければ、新しい周回の入るのは自分たちだけなので、仮に
この先の1コーナーでブレーキが壊れて車両が全損しても、結果上は優勝のはずなので変わりませんけどね。
1台でチェッカーの方がテレビに映ってスポンサー的にもおいしいか。
ただ、このT-DASHという会社、調べた範囲では、うーん。。。(※個人の感想です)
2位のマークXは勝ちゲームだったので惜しかった、この奇策の車両がいなければ、というところではありますが、
マザーシャシー車両として速さを見せられたので、そのうち勝てるでしょう。。。マークX自体が無くなったら
どうするのかというのは気になりますけど。
HOPPY 86 MCはトラブルで止まってしまい無得点でちょっとショック。一方選手権リーダーの
ARTA NSX GTは重たいハンデでしぶとく6位になって加点。
選手権2位のK-tunes RC F GT3は1周目からピットに入る『実質3ピット作戦』に出たもののサイクルズレを
起こすことができず無得点に終わり、7位に入ったリアライズ日産自動車大学校GT-Rが選手権で2位となりました。
リアライズのサッシャ フェネストラズは来年早くもGT500に引き抜かれるという噂が出てますが果たして。。。